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映画『最後の命』NYチェルシー映画祭にて最優秀脚本賞を受賞! 芥川賞作家・中村文則の作品を初映画化した若手映画監督とは?

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 10月16日より、ニューヨークで開催されたチェルシー映画祭。そのコンペティション部門に、松本准平監督作品『最後の命』が日本映画として初出品された。

 1990年代以降、ニューヨーク・アートの中心となったチェルシーにて、2013年よりスタートした同映画祭は、主に普遍的なテーマの作品を上映すると同時に、若手クリエイターたちの発掘と紹介を主眼とするため、海外映画祭でのコンペティションに初入選を果たした松本監督は、開幕式へと出席すべく直ちに渡米したものの、自作の映画祭上映を見届けた後、授賞式を待たずして帰国してしまった。

 ところが日本へと戻ったその日、映画祭側からのメールで最優秀脚本賞の受賞を知ったのだった。

 受賞直後の発言では、原作者の中村文則氏、共同脚本の高橋知由氏への気遣いや、作品に関わったすべての人々とともに喜びを分かち合いたいという、幾分か控え目なコメントを残して沈黙したことが、逆に本作に賭ける静かなる意気込みを感じさせずにはいられなかった。

 劇場長編デビュー作となった『まだ、人間』(2012)に続く、劇場長編2作目となる本作は、『土の中の子供』で第133回芥川龍之介賞を受賞した作家・中村文則氏の同名小説が原作。そのショッキングな内容から、映像化は不可能とまでいわれた作品だったが、松本監督は版元との映画化交渉を粘り強く続ける一方で、共同脚本として名を連ねる高橋知由氏との脚本執筆作業に没頭。そして、桂人役に唯一無二の俳優だと確信した柳楽優弥氏に出演を切望する手紙を記し、さらには中村氏への直談判を経てクランクインを果たしたのだった。

 今回の受賞と前後して取材を続けていたところ、媒体取材の傍らでさまざまな音楽コンサートやトークイベントに松本監督が出演し、聴衆や参加者との交流を念頭に置いた宣伝活動を展開していることを知った。

 去る10月8日、『最後の命』の音楽担当である小瀬村晶氏のコンサートがルーテル市ヶ谷ホールにて開催され、そのオープニングトークのゲストとして松本監督がステージに登壇。映画のサウンドトラックの発売を記念したコンサートなので、トークでは映画音楽が完成するまでの秘話も明かされるなど、思い悩む登場人物たちの心の機微を肯定的にリクエストされた楽曲の数々が、ピアノと弦楽四重奏によって繊細に演奏された。

 続いて、松本監督が帰国した直後の10月20日、下北沢の本屋「B&B」にて、念願の中村文則氏と松本監督による公開記念トークが開催された。アメリカでの文学賞受賞と海外からも高い注目を集め続ける中村氏だが、翌日から渡米し、デイヴィッド・グディス賞の授賞式、米国での新刊発売などハードなスケジュールが組まれる中、帰国直後の監督と渡米前夜の原作者というなんとも絶妙な組み合わせで、中村文則作品の初映像化はいかにして実現されたのかを、互いが満席の聴衆を前に語り尽したのだった。

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