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一瞬の判断ミスが命取りに! 第一線の新聞記者が明かす、危険地帯の取材裏『戦場記者』

 そんな“ダン吉”とまでいかなくとも、危険地で取材している記者たちが、一体どうやって安全を確保し、取材しているのか? 本書では、爆弾テロが発生したらどのタイミングで近づくのか、どんな場所に宿泊するのか、催涙弾を受けたらどうするのか、危機や紛争に記者とともに現場に飛び込む“戦場運転手”の存在など、危険地取材の舞台裏が、石合氏の身に起きた実際の体験をもとに短いエッセー形式でつづられている。また、戦地で携帯は使えるのか、一日の滞在費用の相場など、一般人の素朴な疑問に対して、戦場の常識があまりにもぶっ飛んでいて、安全を確保することがどれだけ大変なのかを痛感させられる。場所はエジプト、シリア、レバノン、イラク、パレスチナ自治区など、日本人にはあまりなじみのない中東での経験がベースとなっているので、読んでいるうちに、中東情勢が難解ながらも少しずつわかってくる。

 危険地に行かないから関係ない――。このご時世、なかなかそうも言っていられない。フランス・パリで起きた同時多発テロのように、いつ先進国の観光地がテロの現場となり、自分たちの身に危険が降りかかってくるかわからない。まして、4年後には東京オリンピックが開催されるのだ。今こそ、サバイバルスキルを上げておくべき、なのかもしれない。
(文=上浦未来)

●いしあい・つとむ
1964年、大阪市生まれ。朝日新聞国際報道部長。88年入社。カイロ、ワシントン両特派員、政治部次長、国際報道部次長、GLOBE副編集長、中東アフリカ総局長などを歴任。フセイン政権下のイラクや“アラブの春”に揺れる中東、アフリカ各国を現地取材。2013年6月から現職。同志社大学一神教学際研究センター共同研究員。

最終更新:2016/02/12 21:00
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