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中国“ヤバい”漫画家・孫向文の「チャイナめった斬り」

中国・河北省大洪水は人災だった? 政府の言論統制強化の裏で見殺しにされる人民たち

■隠蔽される被害、捏造される人命救助

 その一方、被害規模とは対照的に、救援体制については過大な数値が発表されています。政府は1万6,000人規模の救助隊を派遣したと公表しましたが、前出の香港メディアによると、実際の派遣人数はわずか数百人規模で、多くの被災者が見殺しにされたといいます。また、とある中国人ジャーナリストの証言によると、洪水が発生した直後、彼が所属する民間報道機関に対し、政府から「洪水に関する報道を中止しろ」という通達が寄せられたそうです。現在も被災地は電気が使えない状態のようですが、これが災害によるものか、政府の指示による人為的なものかは不明です。

 このように、疑惑だらけの今回の洪水被害ですが、国内のSNSやBBSには「被災地のみなさん、頑張ってください! 政府を信じています」「大災害が発生した時こそ、人民の団結力が強まる」「救助隊は多くの人々を助けた、感動した!」「災害の時は政府を罵倒する売国奴が発生する」など、不自然なほど政府の行動を美化する書き込みが寄せられています。これが「五毛党」(報酬と引き換えに政府を肯定する意見を書き込むネットユーザー)の仕業であることは明らかです。

 4月の熊本地震時の対応を見ればわかるように、日本では災害が発生した際、迅速に救援体制が敷かれます。危険を顧みず人命救助を行う警察官や消防署員、自衛隊の姿には強い感銘を受けます。一方、中国では、災害時は人命よりも政権を守るための対策が優先されます。

 もし、日本のような民主主義国家で与党が中国政府のような政策を行えば、各方面から糾弾され、ただちに退陣へと追い込まれるでしょう。僕は災害時の日中の対応の違いを比較するたびに、一党独裁制の弊害、ならびに民主主義、多党制政治の有効性を実感しています。

◆「チャイナめった斬り」過去記事はこちらから

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●そん・こうぶん
中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)、『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)がある。
<https://twitter.com/sun_koubun>
 

最終更新:2016/08/03 14:00
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