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銀幕を彩る古今東西の女優へ、等身大の愛を語る『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』

 私が初めて秋本鉄次さんの映画批評を読んだのは、1979年の春、「キネマ旬報」誌に掲載された角川春樹プロデュース&村川透監督による東映映画『白昼の死角』評だった。

 当時は日本映画界が2本立プログラムピクチュアから1本立大作路線へとめまぐるしく変貌していった時期で、映画マスコミはそれらの作品群を「贅肉のつきまくった大作」と頭ごなしに批判しまくっていたが、このとき秋本さんは「そんな贅肉なんて、バリバリ食ってやる!」といったエネルギッシュな気概で当時の風潮を一蹴し、その上で『白昼の死角』を贅肉の少ない映画として評価されていた。

 SNSなどの影響もあってか、もはや1億総評論家時代なんて言葉すら死語になりつつある中、昔も今も映画評論というやつは権威主義的で上から目線の傲慢なものか、シネフィル気取りでやたら小難しいことばかり書き連ねるか、逆にわざとおちゃらけながらオバカを装いながら、ともに己のエリート意識を満たすかのようなものが大半を占めてしまいがちではある。

 しかし、秋本さんの映画批評は常に簡潔かつ明快で歯切れがよく、その上Hだ。

 要は「この映画に出ているパツキンの女優はエロい!」といった一言で、その映画を見たくなるような文章を書ける人なのである。

 この「エロ」という要素、一歩間違うと下世話になるし、あまり高尚に書いても気取りと捉えられて反感を買うし、実はものすごくモノカキにとって表現が難しいものなのだが、そこを秋本さんは軽々と、それこそ天性の才能(?)でクリアーしているのがすごい。

 現に秋本さんの文章は、男性のみならず、実は女性ファンが多い。

 このたびキネマ旬報社から刊行された著書「パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男」(何というタイトルじゃ!?)の担当編集者も女性で、そもそも彼女は「キネマ旬報」誌で秋本さんが長年連載している「カラダが目当て」「カラダが目当てリターンズ」(キネ旬で、このようなタイトルのコラムが存在していること自体、奇跡的!?)の編集担当で、およそ10年に及ぶこの長期連載を抜粋して1冊の本にまとめるべく奔走し、めでたく悲願(?)を達成したのであった。

 彼女だけでなく、秋本さんには「いざ鎌倉」ではないが、何かあったら協力は惜しまないという想いを誰しも抱かせる、そんな人間的かつ文章的魅力が備わっているのだ。

 帯に「ボクは頑迷なパツキン原理主義者」と記載されているように、本書の中身は明快で、それこそキャバクラに通うかのように映画を見ては、その中の女優たちを愛で、讃えることを主旨としている。ロリ的少女趣味は皆無に近く、あくまでもグラマラスなねーちゃんがお好き。

 基本はパツキン女優だが、アンジェリーナ・ジョリーのような非パツキンも無問題。世界最愛の女優はキム・ベイシンガーで、ミラ・ジョジョヴォヴィッチを「美裸女菩」と、スカーレット・ジョハンソン(秋本さんはヨハンソンではなく、この呼び方にこだわってらっしゃる)を「スカ・ジョ」と呼ぶ。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)にスキンヘッドで登場したシャーリーズ・セロンにも「エア金髪のシャリ子」と最大級の賛辞を惜しまない。キッ子ことニコール・キッドマンが全裸で街をさまよう『虹蛇と眠る女』には「やっぱり全裸は勲一等だね」などと、読んでる側が思わずウンウンとうなづいてしまうほどに、うれし恥ずかしといった言葉のオンパレードなのである。


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