日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 登山家・野口健のテント村支援
『震災が起きた後で死なないために』発売記念インタビュー

「ルールは破る」登山家・野口健が提唱する、避難所に“テント村”という選択肢

――テント村は100点満点中何点くらいですか?

野口 うーん、走りながらすべて同時進行で作ったからね。たとえば「来年テント村やります」っていうなら、今から準備したら、もっといいものができる。ただ、今回は震災が起きてからイチから始めたんでね、それを考えると100点満点かな。最初はもちろん違いますよ。テントしかなかったし、もっとよくしようって、タープを入れたり、ラップポンを置いたり、JTさんの協力で喫煙所を設けたり、徐々に徐々に。最終的には、やれることは全部やった。ただ今回、災害が起きてからでは遅い、ということを痛感しました。先日、総社市と僕が代表を務めるNPOで「大規模災害時における支援に関する協定」を結んだんですけど、これは災害に備えて先に準備するためなんですよ。総社市には「大規模災害被災地支援に関する条例」というのがあって、日本国内で大規模な災害が起きた際は、市長の権限において即座に支援を行うことができる。そのための費用として、年間1,000万円の予算もつけているんです。そこに僕も「テント村班」としてセットになったわけです。そうすることで、テント村も、次に災害が起きてからやるんじゃなくて、もっとクオリティの高いものを準備できるんじゃないかと。

――次にテント村をやるなら、これを付け加える、というものはありますか?

野口 いろいろありますが、まず、大型テントですね。東京ドームを作っている業者さんが来てくれて、本当はテント村があるグラウンドの5分の1くらいを覆う巨大テントを作る予定だったんですよ。それがあれば、暑いときは涼しいし、卓球台を置いたり、ヨガの先生や床屋さんに来てもらったりできる。でもやっぱり、指定管理者が許可しなかった。僕らだったら勝手にやっちゃうけど、彼らは会社として来ているので、断念せざるを得なかったんです。

 あと、食堂テントもあるといいですね。食事は3食、コンビニチェーンが提供してくれていたんですけど、だんだんみんな食べなくなるんですよ。(指定管理者から)炊き出しはダメと言われていたけど、僕らは「ルールは破る」ってことで統一してましたから(笑)、テント村の人たちは、タープの中だけは自炊OKとしたんです。東北の場合は、街によっては大半が失われましたよね? でも、益城町はピンポイントで被害が出てるけど、車で15分も行けば、普通にスーパーもコンビニも、ファミレスもやっている。自宅は大変なことになっているけど、ちょっと離れたところにある会社は無事だったりするから、みんなテント村から出勤するわけです。夕方、帰りにスーパーで買い物して、コンロで自炊してましたね。やっぱり自炊って大事なんですよ。みんな温かいものを食べたいし、なんでもかんでも提供してもらっていると、生活のリズムが作れなくなるんです。

 それと、医療系は充実していたんですが、精神科医がいなかった。テント村って、体育館とかと比べると明るい雰囲気だったんですけど、そうはいってもみんな家を失っているし、不安はある。それが抜けていた。精神科医的なケアって、素人が中途半端にやるもんじゃないですからね。

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