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単行本は、まったく売れていなかった……ジョージ秋山『浮浪雲』連載終了に安堵の声も

「ようやく終わってくれるのか……」

 小学館発行のマンガ雑誌「ビッグコミックオリジナル」にて連載されてきたジョージ秋山の『浮浪雲(はぐれぐも)』が、9月20日発売号で最終回を迎えることが話題を呼んでいる。

『浮浪雲』は、同誌創刊翌年の1973年から連載されてきた作品。『三丁目の夕日』(1974年連載開始~継続中)、『釣りバカ日誌』(1979年連載開始~継続中)など長寿連載の多い同誌連載作の中でも、群を抜いて長期間連載されてきた作品である。

『浮浪雲』は、ジョージ秋山が初めて青年誌に発表した作品であり、幕末の品川宿を舞台に、主人公・雲を中心とした日常を描いてきた。主人公の名前のように、ゆらゆらと綴られる物語には、さまざまな人生のヒントが込められている。そんな評価の下で、常に「ビッグコミックオリジナル」の後ろのほうに掲載され、「雑誌の読者なら必ず読んでいる作品」という地位を不動のものにしてきた。

 けれども、あくまで高いのは作品の人気だけであった。編集部の事情に詳しい関係者は明かす。

「作品は常に一定の支持を集めてきました。しかし、作品は人気があるのに、単行本はあまり売れないのです。そのため、ある時期からは単行本の発行部数を減らしていたんです。でも、先生の印税分を減らすことはできません。だから、印税は今まで通りとして、実際の刷り部数を減らしていたのです」

 つまり、印税は1万部分を支払うが、実際には5,000部しか印刷・製本しない……というスタイルで、連載は継続してきたのだという(実際の数字は不明)。

 日本雑誌協会の公表しているデータによれば、今年4月~6月期の「ビッグコミックオリジナル」の発行部数は50万部。「ビッグコミックスピリッツ」の14万5,833部。「モーニング」の20万8,358部から比べるとはるかに多い。

 とはいえ、2008年4月~6月期の82万8,333部からは、かなり目減りしている。それ以前には100万部を突破していた時代もあるわけだから、かなり台所事情が苦しくなっているのは、自ずと理解できる。

 そうした中にあって、単行本が売れない『浮浪雲』は、重荷になっていたというウワサも。ゆえに、関係者の間では連載終了に安堵の声も聞かれているのである。

 とはいえ、たとえ単行本の売り上げが芳しくなかったからといって、作品の価値が下がるわけではない。この連載終了を機に、新たに単行本の需要が伸びる可能性も期待できる。

 惰性で読んでいるつもりが、ふと深さに気づかされるのが『浮浪雲』という作品の最大の特徴。連載が終了する今だからこそ、本棚に余裕があるなら揃えておきたい作品のはずだ。
(文=是枝了以)

最終更新:2017/08/22 17:00
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