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『シン・ゴジラ』の裏で14.5%の『陸王』リトグリの「Jupiter」は、うるさい? 効果的?

 プロジェクトを前に進めるのは、いつだって宮沢社長以外の人物が持っている「ノウハウと技術と実績と経験」です。宮沢社長が、ものすごい顔面で夢を語ると、みんなが「ノウハウと技術と実績と経験」によって物事を解決していく。それは「人」を見つめ、「人」を大切に思う宮沢社長の性根のよさによるものでもありますが、そんなに都合よくみんながみんな足りないパーツを持ち寄って奇跡を起こすことなんてあるんかいな、と斜めに見てしまいそうになる。

 毎回、後半になって「そんな都合のいいことあるんかいなー」と思い始めたタイミングで、リトグリちゃんが大音量で歌い上げるわけですよ。

 エーブリデーアイリッスントゥーマイハー、ひとりじゃぁなぁーいー♪

 ここまでバッチリと歌詞を聞かせる劇伴には、当初から賛否があったようです。

 深いぃー胸の奥でぇえー、つながってぇるぅー♪

 補強してるな、と感じるんです。歌詞を聞かせることで、物語の哲学を補強してる。歌声によって、私たちの雑念(?)を、力ずくでねじ伏せようとするのが、このリトグリちゃんの歌に任された役割なのでしょう。だからこそ、物語にすんなり感動できている視聴者に対しては、うるさく感じられてしまうのかもしれません。

 

■“怖い人たち”が怖すぎた件について

 

 このドラマで、原作以上に怖い人として登場しているのが、アトランティスの小原と、ダイワの城戸監督です。特に城戸監督のエキセントリックともいえる激情芝居は、ちょっと過剰なんじゃないのかと思っていました。

 今回、この城戸監督の怖さが、村野がこはぜ屋を伴って現れたときに、非常に効果的に作用したと思いました。あんなにめっちゃ怖い城戸監督がすんなり道を開けてしまう、敬意を表してしまうほど、村野という人間の陸上界における実績が偉大なのだ、という意図が、より明確に伝わってきました。

 もうひとつ、陸王を履いて記録会に参加し、最後は脚がつって倒れてしまったものの快走を見せた茂木くんに対し「サポートを取り戻せ」と部下に命じた小原。常に会社の利益優先、効率優先な“悪役”として登場していましたが、選手の走りを見る能力は本物であることが示されました。これも、小原を悪役一辺倒に描いてきただけにギャップが利いて人物像が一気に広がったように思います。

 このへんは原作には描きこまれていない演出の妙で、上手いよなぁと素直に感じ入るところです。

 それと、第2話で城戸監督が茂木くんに「お前は終わりだ! ──ミッドフット着地を身につけなければ」と倒置で言ったり、今回、茂木くんが記録会の後、宮沢社長に「この靴のせいです。──走っていて、こんなに気持ちのいいシューズは初めてです」と倒置で言ったりするところは、原作には描きこまれていない脚本の妙で、上手いよなぁと素直に感じ入るところでした。

 あと、宮沢社長が息子・大地(山崎賢人)に「茂木選手のファンなんだべ?」と尋ねたシーンがありましたが、私は埼玉北部の出身なので、この「だべ?」には素直に感じ入りました。

 まだ4話で、ずいぶん原作を消化しているので後半のダレが心配ではありますが、次回以降も楽しみたいと思います。はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2017/11/13 20:00
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