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痰を吐いた中年男性をナイフでメッタ刺し……中国名物「痰吐き」に嫌悪感を示す若者たち

痰を吐いて刺された男性。7回も刺されたという

 中国人観光客のマナーの悪さが語られる際、真っ先に挙がるのが「痰(たん)吐き」だろう。銀座やミナミの路上での痰吐き行為がテレビなどで問題視されたこともある。一方、中国では20~30年前まで、公共施設などに「痰壺」が置いてあることも珍しくなかったが、現在ではほとんど見かけなくなった。北京五輪あたりを境に、政府がマナー向上キャンペーンに力を入れた結果、若い世代に中心に、痰吐きは恥ずべき行為という認識が広まったからだ。

 こうした世相を反映してか、悲惨な事件が起きた。「南方都市報」(9月30日付)などによれば、広東省広州市内の路上で、中年男性が痰吐きを理由にナイフで刺されたのだ。被害男性は、いつものように何気なく路上に痰を吐いたところ、近くにいた26歳の男がいきなり、持っていた果物ナイフで7回も突き刺したというのだ。警察によると、男性の吐いた痰が犯人にかかったというわけでもなく、痰吐き行為に立腹しての犯行だったとしている。男性は重傷を負ったものの、病院に搬送され、一命は取り留めた。

「都市部に住む30代以下の層では、痰吐きはありえない行為という認識で、公園や地下鉄などでも頻繁にそれ絡みのトラブルを目にします。先日も商業施設内のトイレの床に痰を吐いた中年男性がいたんですが、清掃員に注意されて激高し、両者つかみ合いのケンカをしていました。中国動画サイトの『世直し系動画』では痰を吐く人に注意したり、ケンカをふっかけるものが定番コンテンツになっており、痰吐きは世代間の認識の差や地域格差を象徴しているといえます」(上海市在住の日本人エンジニア)

 内陸部では、まだまだ痰吐きの習慣はなくなっていない。内陸部の各エリアでは今年に入ってようやく、公共の場所での痰吐きに罰金を科す法律ができたところも多い。例えば河南省鄭州市では、7月に、公共の場所での痰吐きや排泄行為に対し、50元(約820円)の罰金を定めたばかりだ。

開通したばかりの高速鉄道で、下車した直後に痰を吐く女性

 

 

 

 一方、9月23日に開通した、中国本土と香港を結ぶ高速鉄道の最初の列車が香港に到着した際、下車した大陸の女性が、扉が開いた途端にホーム痰を吐く姿が激写され、ニュースになったばかり。

 毛沢東や鄧小平は外国要人との会談の際も、相手を気にせず傍らに置かれた痰壺にペッペと痰を吐いていたというが、21世紀になってもまだ、人民の悪い癖は完治には至っていないようだ。10月は国慶節(建国記念日)の大型連休で、今年も多くの中国人観光客が来日しているが、痰吐きだけは勘弁願いたいものだ。

(取材・文=五月花子)

最終更新:2018/10/03 14:00

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