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「ジュリアナ東京」も大阪で復活! トレンディドラマの再放送や主題歌ノンストップCDも話題に! 90年代バブルの流行を探る

『Love Story~ドラマティック・ミックス~ Compilation』()

 時代はめぐっていく。何度も、何度でも……。

 そんな想いをめぐらせると、リリー・フランキーの軽妙なMCを背景に、横山剣(クレイジーケンバンド)や田島貴男(オリジナル・ラブ)らの多彩なアーティストが、昭和を代表する歌謡曲やポップスの名曲を次々とカバーして歌う『The Covers』(NHK BSプレミアム)へとたどり着く。

 2014年のスタート以来、過去に埋もれてしまった歌謡曲や、人知れず歌い継がれてきた珠玉のポップスの魅力をリリーが切々と語り、そんな楽曲をリスペクトしてやまないアーティストたちがカバー・バージョンを披露する番組構成が人気を呼んでいる。

 そして、この番組が火付け役となって、地上波の音楽番組や音楽フェスのカバー特集にまで、少なからず影響を与えているのも事実なのだ。

 幾度も幾度も繰り返される現象。今また、我々は目の当たりにしている。四季の移ろいの中、街なかを歩いて気づくのは若者たちのファッションの変貌。90年代の若者たちが、こぞって愛用していたデザイナーズブランド風のダボッとしたシルエットのアウターやパンツ。それらをさりげなく着こなす昨今の若者が目立ち始めてきた。

 また、有名スポーツブランドなどのやたらと主張の強いロゴ入りインナーや、いわゆるジャージ風トップスやパンツを取り入れたコーディネートの人気も再燃。

 渋谷や六本木の人気ブランドショップのショーウインドウに目をやると、確かにそれらの組み合わせでモードが展開されている。一時はダサさの極みになっていた90年代ファッションも、今また洗練されたスタイルとして再び脚光を浴びるようになってきた。

 そんなムーブメントは、音楽やファッションの世界だけで起こっているのではない。

 今年9月から関東ローカルで14年ぶりに再放送されたフジテレビ系のドラマ『東京ラブストーリー』は、大方の予想を裏切って大きな話題となった。1991年の本放送時には、視聴率20%超えを連発した大人気のトレンディドラマだったのだ。

 とはいえ、このドラマが再放送されるというだけで、多くの人々がSNSで話題に飛びつき、ニュース番組で報じられてしまうような現象は、いままでに見られないものであった。

 誰もがドラマで描かれた「ねぇ、セックスしよ」みたいなシーンに、甘いときめきを覚えていたわけではない。再放送の話題に集まった数多くの声は、ある種の「ツッコミ」にまみれていた。

 その時代をリアルタイムで体験した世代、特に中年層となった男性は「ドラマのような日常なんて、今はもう……」とため息交じりにつぶやき、ドラマの放送以後に生まれた世代は、肩パットの入った奇妙なシルエットのブランド服や、太眉に代表される90年代の女優メイク、ソバージュパーマなどのヘアスタイルを面白おかしく見ては楽しんでいたのだ。

 だが果たして、それらのレスポンスは嘲笑なのだろうか?実際には、90年代を知る者も知らない者も、そんな個性的な時代が醸し出す“引力”に吸い寄せられていったのではないだろうか。

 昨年、筆者は『1985-1991 東京バブルの正体』(MM新書)を上梓した。

 この本では、バブル景気に沸いた世相とはなんだったのかを分析した。実のところ、景気動向としてのバブルは1986年12月から1991年2月までと意外に短い。

 だが、文化という側面で見ると長い。前兆となる80年代文化。バブルの余韻と、未来への不安とがごった煮になって疾走した90年代文化。それらバブル景気の前後を含めた時代への、一種の憧れ。それが、昨今のリバイバルの背景にあるのだ。それを感じたのは、本を読んだ読者たちからの感想の数々だった。

 ある者は、会社のカネで「研修」と称した海外旅行に幾度も出かけた感想を。ある者は、会社の経費だけで生活して、給料は全額貯金だったのが当たり前なことを。そして、バブルがはじけて財布の中身が寂しくなってきてもまだ、「刺激的なものは山のようにあった」と。

 1975年生まれの筆者は、バブルの恩恵なるものが記憶にない。

 鮮明な記憶として、テレビ朝日系列深夜の情報番組『トゥナイト』で幾たびも取り上げられた、港区芝浦に存在した伝説のディスコ「ジュリアナ東京」の潜入レポートを初めて観た時の衝撃が忘れられない。

 ハードコアテクノが高鳴るお立ち台で、ボディコン女性たちがジュリ扇(羽付き扇子)を振り回して踊る狂乱の映像は、岡山県の高校生に「何としても、東京の大学に進学せねばなるまい」と決意させるだけの、強烈なインパクトがあった。

 そして、上京した94年の春。ニュースでは日々、景気の低迷を報じるようになっていったものの、東京には無数のメインカルチャーとサブカルチャーが共存していた。労力さえ惜しまなければ、本からも、スクリーンからも、マンガからも大切なメッセージを受け止めることが可能な時代だった。そしてまた、狙いを定めればテレビやラジオ、ライブハウスのチラシや雑誌の隅の小さな情報欄からも、導かれるように貴重な情報が持たらされたのだった。

 そこには、肌身離さぬスマホからニュースや音楽が無機質に流れてくる現代とはまるで違った、特異な嗅覚が存在していた。

 人々は今、90年代特有の、あの空気を再び求めているのではなかろうかと、筆者は考えた。

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