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さらば築地市場──新旧巨大市場の全貌を紹介した『市場をゆく』

『市場をゆく』(イカロス出版)

 10月11日、豊洲市場が開場した。築地から豊洲への移転が決定してから17年。石原慎太郎氏→猪瀬直樹氏→舛添要一氏→小池百合子氏と4都知事の交代を経て、二転三転した市場移転だが、紛糾した土壌汚染問題に加え、腐敗臭が漂っている、地下水位が上がりやすい、通路や店舗スペースが築地に比べて狭いなど、いまださまざまな問題を抱えている。10月15日には、ターレ(荷役用運搬車、ターレット)の荷台に乗った70代女性が事故により負傷するというニュースも報じられた。

 いくつかの不安材料を抱えた新市場だが、その実態はどのようなものなのだろう。『市場をゆく』(イカロス出版)は、そんな知られざる市場の機能を解説したMOOK本だ。閉場した築地市場、新たに開かれた豊洲市場、戦後間もない頃の闇市や、金魚や馬の専門市場など、市場のすべてを全5章にわたって仔細に紹介している。市場用語集や“せり”のハンドサインなど、マニアックな情報も掲載され、楽しい一冊となっている。

 件の豊洲市場は、青果棟、水産仲卸売場棟、水産卸売場棟の3つの棟を中心に構成され、市場全体の広さは約40万平方メートルと、築地市場の約1.7倍。主な特長として「建物全体を閉鎖型にし、商品の適温管理(コールドチェーン)を可能にした」「従来の市場とは違い、仕入れと出荷の流れを一方向に整理し、物流をスムーズにした」「卸売場棟と仲卸売場棟の間に巨大な連絡通路が通り、運搬車に乗ったまま移動できる」「見学デッキを設け、観光客の安全な見学を実現」など、新しい技術が導入されている。また、都心と結ぶ幹線道路「環状2号」が11月4日に暫定開通し、銀座の隣であった築地市場に比べ、渋滞も大幅に改善されている。

 東京五輪後の2023年には、食を中心とした観光施設「千客万来施設」も開業される予定で、豊洲市場のさらなる発展が見込まれている。諸問題がうやむやにされないことを祈りつつ、新市場の今後を見守っていきたい。
(文=平野遼)

最終更新:2018/11/27 22:30
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