“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士が映画『クリード』を斬る! スタローンへの“忠誠心”強すぎ!?

――今をときめくマイケル・B・ジョーダンが演じた、アドニスについて思うことは?

純士 アポロって、過去キャラの中でも印象が弱いほうなんですよ。だから、アポロの息子ってことで今後も物語を紡いでいくのは、ちょっと花がないというのが正直なところ。

麗子 クリードの話は、今回で完結でええんちゃう?

純士 かもね。ロッキーの若い頃のほうが、荒くてハングリーでタフでした。一方、アドニスは結婚して子どもができたことで日和っちゃうあたりが、「今の子」って感じです。あの子は、体も顔つきも、きれいすぎる。エグザイルみたいな感じ。スタローンみたいな骨太さがない。あんな真面目な性格だったら、アポロと違って、隠し子も作らないだろうし(笑)。

――ところで今日は、公開初日の夕方6時台からの上演回でしたが、客入りがイマイチでしたね。

純士 前作のときは満員だったんですけどねぇ。公開初日の金曜のこの時間帯なら、もっと入ってもよかったのに。そこまで期待されてないのかなぁ……。この手のストレートな男臭さや、単純なスポ根は、今の若い子たちにはハマらないのかも。

――総合格闘家でもある瓜田さんから見て、この映画のトレーニング風景はいかがだったでしょう?

純士 インスタに一般の外人たちが投稿してるトレーニングをそのまんまやってる感じで、新鮮味がありませんでした。昔のロッキーはニワトリを追いかけたり、丸太を担いだりしてたから、見てて衝撃を受けたんですけどね。そういうのを超えてほしかった。原始的なネタがないなら、その逆でもいい。VRゴーグルを使って宇宙軍と戦うような科学的なトレーニングをしたり。

――虎の穴での特訓シーンはどうでしたか?

純士 あれの何が虎の穴なんだよ(笑)。アドニスが「ひどい環境だな」みたいに嘆いてたけど、別になんにもひどくない。お互いタイヤに片足突っ込んで殴り合う練習なんて、俺が今通ってるジムでもみんな普通にやってますから。

――試合のシーンはいかがでしたか?

純士 みんな目が肥えてきてるからなぁ。ついこないだ、メイウェザーの変幻自在な動き見た後に、いくらヘビー級とはいえ、役者のガチガチの“ボクシング風”の動きだと、ちょっと……。

麗子 メイ・ウェザーと那須川天心の、数分間の試合のほうが引き込まれたわ。

純士 この映画は正直、ボクシングのリアリティーは薄いですよ。あんなきれいに2連発は入らねえよとか、ここでブロッキングはねえだろとか、細かい粗を探すとキリがない。どうせ泥臭くいくなら、スローを多用して、嘘臭い「うぉぉぉぉぉ!」みたいな叫び声とかも入れて、もっと昔っぽくしたほうが映画的にはよかったのかも。

麗子 まあ、なんにせよありきたりで、心に残らん作品やったわ。ストーリーもすべて予想通りやし。

純士 確かにすべてが予想通りだった感は否めない。俺が監督だったら、こういうストーリーにしたかも。まず、強くなった途端にすり寄って来た元嫁や国に対し、ドラゴ親子がブチ切れる。「ナメてんのか。お前みたいなクソ女や、こんな国に応援されたくない!」と。で、追放処分を食らう。その代わりにロシアが用意したサイボーグみたいな怪物ボクサーと、アメリカのアドニスが戦うことになる、と。

――いいですね。そこから先は?

純士 試合前夜、アドニスのもとに、ヴィクターが1人の男として現れる。「何しに来た?」と問うアドニスに対し、ヴィクターがこう言います。「俺はボクサーは辞めたけど、親父の仇を取りに来た。ここで勝負をつけよう」と。そしてストリートファイトに発展して、ロッキーが止めに入って、アドニスとヴィクターの間に友情が芽生える。その翌日、アドニスのセコンドにヴィクターがついて、ロシアの怪物と戦う、みたいな話はどうでしょう?(笑)

――試合前日にタイマンを申し込むのは非常識極まりないですが、映画なら有りでしょう。なかなか燃えるストーリー展開ですね。

純士 昨日の敵は今日の友となり、共に戦う。で、ロシアの観衆も考えが変わっていく、みたいなストーリーだったら、もっと感動したでしょう。

――ソビエト連邦の時代だったら、さらによかったですね。

純士 確かに。今の時代、ロシア対アメリカと聞いても、かつてのような緊張感がないですもんね。映画の中でも、アドニスの嫁がアドニスの入場曲を生で歌わせてもらえたりして、会場はアウェイなのに丁重に扱われてたし。ザギトワが秋田犬を抱いてニコニコしてる現実社会の印象も加わって、映画の中でのロシアという国に脅威を感じなかったのは事実だわ。

麗子 『ロッキー4/炎の友情』のときは、あんなにハラハラドキドキしたのになぁ。

純士 ……って考えると、スタローンには悪いけど、ロッキーは前作で死んだほうがよかったのかも(笑)。その上で、ドラゴ親子に狙われて、アドニスが自力でどう乗り切るか。「ロッキーならこう言ったはず」「ロッキーならこうするはず」と亡き師匠の意思を想像しながら、アドニスが暗中模索するストーリーだったら、スタローン不在の次世代バトルでもヒリヒリできたと思う。

麗子 やっぱ誰かが死ななアカン、ってことやな。

純士 そう。だから、「スタローンの出番が少なくて寂しかった」という前言を撤回します。やっぱ、カツラや増毛してまで出しゃばってくるのは、いい迷惑だわ(笑)。プラセンタ注射を打ちすぎたせいか、オネエみたいになってたもんなぁ、スタローン……。まあでも、そんなスタローンのことも、好きなんですけどね。
(取材・文=岡林敬太、撮影=おひよ)

『クリード 炎の宿敵』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 78点
麗子 3点

※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング)
https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg

※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧
https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

最終更新:2019/01/21 20:00
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