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超問題作を引っさげ、大型新人監督がデビュー!! 発達障害者の性と承認欲求を描いた『岬の兄妹』

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障害を持つ兄妹を主人公にした問題作『岬の兄妹』。売春行為を重ねることに、良夫と真理子の兄妹は生きる希望を見いだす。

 障害を抱えた兄妹が、犯罪に手を染めることで生きていく。片山慎三監督のデビュー作『岬の兄妹』は、タブー知らずの大問題作だ。地方都市で暮らす良夫は発達障害の妹・真理子の面倒を見ていたが、職場をリストラされて困窮。真理子に売春させることで、生活の糧を得ることになる。社会のドン底を描いたインディーズ映画ながら、兄妹のタフな生き方に圧倒される魅力的な作品となっている。ポン・ジュノ監督や山下敦弘監督の助監督を務め、念願の劇場デビューを果たす片山監督に、企画意図や助監督時代の体験を語ってもらった。

──自閉症の妹・真理子(和田光沙)に1回1万円で売春させ、脚に障害のある兄・良夫(松浦祐也)は女衒として振る舞う。日本映画にはなかなかない衝撃作です。デビュー作にこの企画を選んだということは、片山監督がどうしても撮りたいテーマだったということですね?

片山慎三監督(以下、片山) いくつか企画は考えていたんですが、このテーマは以前からずっとやりたいと思っていたものです。でも、デビュー作だからこのテーマを選んだというよりは、自主制作だったのでお金をあまり使わずに済みそうだなという現実的な理由から決まった企画でした。自主映画で、監督としてのキャリアのない自分に何ができるかを考えて、これならやれると考えたんです。

――新人監督が有名キャストを使った作品を撮ることは難しい。なら、無名のキャストを使って、メジャーな作品ではできない内容のものにしようと。

片山 そうです。この映画を観る人の多くは、自閉症の真理子を演じた和田光沙さんを観るのは初めてだと思うんです。そんな人たちが「もしかしたら本物?」と錯覚するような作品にしたかったんです。和田さんはインディーズ映画ではかなり知られている存在ですが、まだまだこれから有名になる女優です。松浦祐也さんは、山下敦弘監督の『苦役列車』(12)で1日だけ主演の森山未來さんが現場に来れないときがあって、そのとき森山さんの代役をやったんです。それがすごくよかった。和田さんと松浦さんは以前から知り合いで、相性も抜群でした。そんな2人とじっくり時間を費やして、妥協しない映画を作りたいなと思ったんです。

 

■売春はお金のためではなく

──身体障害者の性について扱った映画は最近少しずつ公開されるようになりましたが、発達障害者や知的障害者の性問題を取り上げた映像作品はほとんどありません。白石和彌監督のデビュー作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(09)か、野島伸司脚本の『聖者の行進』(98年放送/TBS系)くらいまで遡ってしまう。

片山 野島伸司さんのドラマは好きで、『聖者の行進』はリアルタイムで観ていました。けっこう影響を受けている部分はあるかもしれません。今はテレビドラマはもちろん、映画でもこういうテーマのものは難しくなっている気がします。野島さんのドラマは他の作品でも障害者のキャラクターがよく出ていました。親戚にも障害を持っている人がいたので、自分としては身近に感じるテーマではあったんです。

──障害者たちが何度も犯罪を繰り返してしまう実情を取材したルポルタージュ『累犯障害者』(新潮社)も、参考にしているそうですね。

片山 脚本を書く上で、ヒントになりました。いちばん大きかったのは、知的障害を持った女性たちが仕事として売春しているけど、罪の意識がないというところでした。売春は犯罪行為なんだけど、彼女たちも他の女性たちのように認められたいという承認欲求があり、男に抱かれることでその欲求が満たされ、売春が止められなくなってしまうわけです。お金のためではなくなってしまう。その部分には、すごく興味を惹かれました。

──ヒントになる題材はあったわけですが、自分の作品としてどのように肉づけしていったんでしょうか?

片山 脚本は想像も交えて書いたんですが、障害者やその家族と交流する地区のイベントに参加したりもしました。障害者と一緒に絵を描いたりする触れ合いの場にボランティアとして参加したんです。自閉症やダウン症など、いろんな障害を持っている人たちの集まりでした。様々な障害があり、障害の度合いも人によってまったく違うんです。それもあって、この障害の人はこういう症状なんだと型にはめた描き方はやめようと。映画の中の真理子は架空の存在ですが、ひとりのキャラクターとして自由に成立させることができればいいなと、勇気づけられた部分がありました。

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真理子(和田光沙)は1回1万円で男たちに体を委ねる。売春は犯罪だが、真理子にとっては社会と繋がる手段でもあった。

■口紅を塗るシーンで役とシンクロ

──オーディションで真理子役を選んだそうですね。

片山 10人くらいの女優に声を掛けて、真理子のポケットから1万円札が出てくるシーンを演じてもらいました。和田光沙さんもそのオーディションに参加してもらったんです。「脱ぐ」ことと撮影が1年間続くことがこちらからの条件でした。この条件をクリアする女優は他にもいたと思います。でも和田さんが真理子役を演じると、あまり可哀想な感じがしないんですよ(笑)。この映画を観る方たちもそう思うはずです。それもあって、和田さんを選んだんです。

──和田さんが演じることで、真理子は陽性のキャラとなった。季節ごとに撮影を重ね、撮影期間は1年以上に。撮影の度に役に入り直すのはキャストも大変だったと思います。

片山 和田さんは特殊な役だったので、難しかったと思います。兄役の松浦さんは普段からああいう感じの人なんです(笑)。和田さんは最初は手探りでの演技でしたが、季節を追うごとにうまくなってきました。どのタイミングで真理子役を掴んだのかは、はっきりとは分かりません。でも、僕がいちばん好きなのは、公衆トイレで口紅を塗った真理子が鏡を見るシーンです。あのシーンの和田さんは、すごく真理子役にハマっていました。その後の撮影はどんどんよくなっていったように思います。

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