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イーストウッド88歳の主演&監督作『運び屋』ほか、2019年注目すべきメジャー洋画を一気に紹介!!

現在公開中のレディー・ガガ主演作『アリー/ スター誕生』。バーブラ・ストライサンド主演版以来となる42年ぶりの映画化。 (c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT

 あけましておめでとうございます。お正月休みには、たっぷり映画を楽しみたいという方が多いのではないでしょうか。そんな映画好きなみなさんへ、2019年注目のメジャー洋画をどどんとご紹介したいと思います。2月24日(現地時間)に開催されるアカデミー賞授賞式に向けて、米国ではノミネートが有力視される話題作が年末に続々と公開されました。ちなみにノミネート発表は1月22日になります。WOWOWの映画情報番組『週刊ハリウッドエクスプレス』(毎週土曜朝11:30~)の飯塚克味ディレクターに、賞レースに絡んでいる注目作、気になる話題作について語ってもらいました。

──番組の収録・編集で忙しいところ、すみません。ハリウッドの最新情報に詳しい飯塚ディレクターに、日本でも話題になりそうなオススメ作品を教えてもらえればと思います。

飯塚克味(以下、飯塚) 仕事に追われてなかなか本編を観ることができずにいるんですが、僕で話せる範囲でよかったら(笑)。アカデミー賞ノミネート間違いないのは、日本でも公開が始まったレディー・ガガ主演作『アリー/スター誕生』ですね。米国では初週1位にはなれなかったものの、高いアベレージで動員を続け、米国内だけで興収2億ドルを超えています。レディー・ガガはテレビドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル』(16)でゴールデングローブ賞テレビドラマ部門女優賞をすでに受賞していますが、ネームバリューのある彼女ならアカデミー賞にノミネートされるだけで大変なニュースになるでしょう。

──監督を兼任しているブラッドリー・クーパーも、ステージシーンでがんばっていますね。

飯塚 ブラッドリー・クーパーはもともと監督志望だったけれど、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09)でブレイクし、イケメン俳優として有名になってしまった人です。ロン・ハワードと境遇が似ていますね。ロン・ハワードも『アメリカン・グラフィティ』(73)などに俳優として出ていたんですが、“B級映画の帝王”ロジャー・コーマンのお陰で『バニシングIN TURBO』(77)を主演と兼ねる形で監督させてもらった。多分、ブラッドリー・クーパーも出演を兼ねることを条件に、監督をやらせてもらったんじゃないかと思います。『スター誕生』というタイトルですが、実は『スター没落』でもあるんです。女は輝き、手を貸した男は逆に落ち目になっていく。なぜか米国人はこの物語が大好きで、映画化されるのは『栄光のハリウッド』(32)も含めると今回で5度目なんです。

■今年の賞レースの大本命はこれだ!!

──KKKに潜入捜査する黒人刑事を主人公にした実録映画『ブラック・クランズマン』は賞レースで本命視されていますね。

飯塚 スパイク・リー監督はここ何本か日本での劇場未公開が続きましたが、『ブラック・クランズマン』は期待できそうです。2016年のアカデミー賞で白人俳優ばかりがノミネートされていたことを、スパイク・リーはツイッター上で批判し、翌年はアメリカンアフリカ系の俳優たちが大挙ノミネートされました。彼の発言の影響が大きかったと思います。今年のアカデミー賞はさらにすごいことになりそうです。スパイク・リーはパームスプリングス国際映画祭で生涯功労賞を受賞することが決まっており、アカデミー会員たちも彼のことを無視できないはず。また、2018年はライアン・クーグラー監督の『ブラックパンサー』が全米で7億ドルという驚異的な大ヒットを記録しました。単なるヒーローアクションものと思われがちな『ブラックパンサー』ですが、アフリカ系アメリカ人映画批評家協会の最優秀作品賞に選ばれるなど、賞レースにも絡んでいます。主人公が最後にスピーチする「愚か者は壁を作るが、賢き者は橋を架ける」という台詞は、米国人の胸に刺さったようです。『ブラックパンサー』は日本で考えられている以上に、米国では大きな作品となっています。アフリカ系の監督や俳優たちが今年のアカデミー賞を席巻しそうです。

──人種差別を題材にした『グリーン ブック』もアカデミー賞で有力視されています。監督のピーター・ファレリーって、もしかして……。

飯塚 そうです、ファレリー兄弟のお兄ちゃんのほうです(笑)。まさか『ジム・キャリーはMr.ダマー』(94)を撮った監督がアカデミー賞の有力候補になるなんて、誰も考えなかったでしょう。同姓同名の別人かと思いますよね(笑)。人種差別が残っていた1960年代の物語ですが、ピーター・ファレリーの笑いのセンスはそう変わってないんじゃないかなぁ。でもヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリといった演技派俳優が出演しているので、ピーター・ファレリーも彼らとコミュニケーションを図りながら、バランスの取れた作品になっていると思います。米国では11月末に公開され、興収的にはまだまだな感じですが、アカデミー賞にノミネートされたら大きく伸びるでしょうね。

クリント・イーストウッドが主演&監督した実録犯罪映画『運び屋』。日本での公開は3月8日(金)から。 (c)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

 

■イーストウッドとアカデミー賞との関係

──製作費6,000万ドルを投じた大作『ファースト・マン』(日本では2月8日公開)は、米国での興収は奮わなかったようですね。

飯塚 『ラ・ラ・ランド』(16)のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ注目作ですが、ゴールデングローブ賞では助演女優賞と作曲賞の2部門にノミネートされただけでした。月面に初めて立った英雄ニール・アームストロング船長の伝記映画に対し、アカデミー賞がどう対応するのか気になるところです。宇宙飛行士たちを主人公にした実録ものといえば、名作『ライトスタッフ』(83)があるので、どうしても比較してしまいますよね。配給のユニバーサルは作品内容には自信を持っているらしく、日本での試写はIMAXシアターで行なっています。アカデミー賞の結果次第では、日本で化ける可能性のある作品だと思います。

──クリント・イーストウッドの主演&監督作『運び屋』が公開されるのも2019年の大きなニュース。

飯塚 88歳になるイーストウッドが、実在した麻薬の運び屋を演じるという大注目作です。米国では年末に公開され、イーストウッド主演作としては歴代2位、監督作としては3位という好スタートを切っています。個人的にも、とても楽しみにしている作品ですが、これはアカデミー賞には絡まないんじゃないかと思います。『ミリオンダラー・ベイビー』(04)で作品賞・監督賞などを受賞して以降、アカデミー賞ではイーストウッド作品は選考の対象から外れています。イーストウッドほどの存在になると、アカデミー賞にノミネートされましたが受賞はできませんでした……というわけにはいきませんからね(笑)。今では誰もが名監督・名優として認めるイーストウッドですが、かつてはオラウータンと共演した『ダーティファイター』(78)や続編『ダーティファイター 燃えよ鉄拳』(80)なんて、おかしな映画に主演しています。それもまた、彼の魅力。イーストウッド映画を観て育った世代には、『運び屋』は見逃せません。

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