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熱血!”文化系”スポーツ部

NHK VS.フジテレビ、日曜夜の「平成スポーツ振り返り」勝負がアツい!

フジテレビ『S-PARK』

「人間の心身の能力がぶつかり合うスポーツは時代を映す鏡だと思う」

 以前、スポーツジャーナリストの増田明美がつづった一文だ。ならば、まもなく幕を下ろす平成という時代を振り返る上でも、スポーツの視点は重要なはず。

 その意味でも非常に意義深く、良質な企画がある。NHK『サンデースポーツ2020』(日曜21時50分~)における「スポーツ平成史」と、フジテレビ『S-PARK』(日曜23時15分~)における「平成スポーツ史 時代が生んだ名勝負」だ。日曜夜はスポーツを歴史的な視点から振り返ることができる至福の時間が続く。

 同じ日曜の夜、立て続けの放送になっても食傷気味にならないのは、『サンデースポーツ』なら「競技史」、『S-PARK』なら「アスリート視点」と、それぞれ切り口が違うから。それゆえ、浮かび上がる平成スポーツの風景が、少し違ったものになってくる。

『サンデースポーツ』の企画は、2月6日スタート。初回で「平成のオリンピック」を取り上げたあとは、「サッカー」「大相撲」「野球」……といった具合に毎回、ひとつの競技に絞って平成30年史を振り返り、その象徴としてレジェンドアスリートがスタジオにゲスト出演する。

 中でも出色だったのが、初回放送の「平成のオリンピック」だ。まさにこの回こそ、増田明美の言葉を借りれば、“時代を映す鏡”としてのスポーツの変遷が描かれていた。

 たとえば、「アスリート」という言葉がいかに平成で浸透したのか、という考察だ。昭和63年のNHKのニュースでは「アスリート」という言葉は一度も使われず、どこまでも「選手」と表現していたこと。また、ある調査によれば、昭和から平成で「アスリート」という単語のメディアでの使用頻度は50倍にも増えていたという。

 ここで番組では、

「選手=選ばれた人たち=国を背負って戦っていた」

「アスリート=自分自身を磨く人=自己実現としてのスポーツ」

という図式を提示する。

 この日のスタジオゲストは、アトランタ五輪での銅メダル獲得の際、「自分で自分を褒めたい」という流行語を生み出したマラソンの有森裕子。まさに、自己実現達成の瞬間だったわけだ。番組では、その後のプロ宣言も含め、有森の存在を「競技を自分の生き方のひとつにしていく、個人事業主としての自立化の象徴だった」と分析する。

 また、同じくこの日のゲストだった“キング・オブ・スキー”ノルディック複合の荻原健司の生きざまからは「アスリートが社会との接点を見いだし始め、社会の中でアスリートは何ができるか、深く考えながら競技する時代になった」と、平成時代を振り返っていた。

 企画の初回でこの視点を投げかけてくれたことで、その後の「サッカー」「大相撲」「野球」といった競技別の振り返りでも、社会とのつながり・変遷とともに楽しむことができるのだ。

 一方の『S-PARK』「平成スポーツ史 時代が生んだ名勝負」は、“アスリートから見た平成スポーツ名場面”がテーマだ。昨年末に企画がスタートして以降、ここまですでに10回放送。鈴井大地、松井秀喜、田村亮子、福原愛、荻原健司、川淵三郎、葛西紀明、田臥勇太、内村航平、三浦知良という、まさに時代の顔がずらり。このラインナップを見るだけで、番組側の本気度がうかがえる。

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