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誤解されたからこそ売れた? THE YELLOW MONKEYの根底にある“シリアスな表現衝動”

イエモンがロックファンに与えた影響

 だからこのバンドにとってイメージのギャップとか誤解なんて、ずっとつきまとってきたものなのだ。また、いい意味で誤解されたからこそ売れたという側面もあるだろう。ただ、現在の4人は、そうした誤解が生じないような状況で音楽を奏でていると思う。

 さて。イエモンが、特にロック・ファンに与えた影響は絶大で、それは01年の活動休止後に、身にしみてわかった。その頃たまたま知り合った人や仕事を一緒にした子、若いバンドマンとかで「イエモン、大好きなんです」「すごいファンなんですよ」という話をされることが多々あったのだ。

 しかもそれを言ってくるのは思った以上に男が多く、そのたびに彼らは「実は好きです」的な、隠れファンだったような言い方をしてきたものだ。そして共通するのは、ことごとく90年代のイエモンを生で見たことがない、という話である。

 これは当時のイエモンの女性人気のすごさを示している。あの頃の彼らのライヴのお客さんはほとんどが女性で、どんなに会場がデカくても、男なんて数パーセント程度。そんな状態が当たり前に感じつつ、僕は「男にも、もっとウケていいはずだよなー」と思っていたのだが、やはり男性ファンも多かったのだ。ただ、男だと一緒に行く友達がいるかどうかとか、チケットを取ろうにも女性の行動力のほうが上回ったりで、難しい面があったのだろう。

 それが16年の再集結後のコンサートには、大人の男性ファンも相当な割合で足を運んでいる。ちなみに、ライヴ中に吉井が女性ファンに向けて「みなさんの黄色かった声援が、今は茶色っぽくなってますよ」と言ってたことがあったな(笑)。また、親子連れのお客さんもいたりして、それもほほえましい。これはベテランのアーティストほどよくある光景ながら、イエモンは活動していない時期が長かっただけに、ちょっと感慨深い。

 そういえば俳優の山田孝之も、10代の頃にイエモンがすごく好きだったのにライヴが見られなかったと言っていた。テレビドラマの『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)の中で、カラオケで「カナリヤ」を唄っていたな……。

 01年に活動休止をしたのは、音楽の方向性も、またメンバー間の関係性も混沌としてしまったことが大きな要因だったが、今のバンド内の雰囲気は良好で、いい状態で音楽に臨めているようだ。ただ、現在の作品には、彼らなりの引き締まった思いが込められている。そして、それは生きることについてのものである。

 今度のアルバムを通じて、このバンドが一貫して表現してきた大切な何かが、聴く人たちに伝わることを願う。

●あおき・ゆう。
1966年、島根県生まれ。男。
94年、持ち込みをきっかけに音楽ジャーナリスト/ ライター業を開始。
洋邦のロック/ポップスを中心に執筆。
現在は雑誌『音楽と人』『テレビブロス』『コンフィデンス』『 ビートルズ・ストーリー』『昭和40年男』、
音楽情報サイト「リアルサウンド」「DI:GA online」等に寄稿。
阪神タイガース、ゲッターロボ、白バラコーヒー、ロミーナ、 出前一丁を愛し続ける。
妻子あり。
Twitterアカウントは、@you_aoki
 

最終更新:2019/04/19 09:16
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