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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.537

安倍政権の長期化は「内閣情報調査室」のおかげ!? 官僚制の闇に迫る危険なサスペンス『新聞記者』

文=長野辰次

自殺者を出したモリカケ問題を題材にした『新聞記者』。シム・ウンギョンと松坂桃李、日韓を代表する若手俳優の共演作。

 菅義偉官房長官との定例会見での攻防で、すっかり有名になった東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者。望月記者の著書を原案にしたのが、社会派サスペンス映画『新聞記者』だ。韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』(11)や『怪しい彼女』(14)で名演を見せたシム・ウンギョンと『娼年』『孤狼の血』(18)での熱演が印象に残る松坂桃李が共演した異色作となっている。

 原案となっている『新聞記者』(角川新書)には、森友学園・加計学園問題を精力的に追う望月記者の生い立ちから、レイプ事件を起こしたTBSの元男性記者は官邸と懇意にしていたことから逮捕を免れた……などのマスコミの裏側について書かれている。また、加計学園問題で官邸側に不都合な発言をした文部科学省の前事務次官が出会い系バーに通っていたことを読売新聞がスクープしたのは、官邸側からの報復リークだった可能性が高いことにも触れている。

 テレビ局が入った製作委員会方式では決して作られることのない本作を企画したのは、配給会社「スターサンズ」を設立した河村光庸プロデューサー。北朝鮮と日本とに引き裂かれた実在の家族を描いた安藤サクラ主演作『かぞくのくに』(11)や寺山修司原作のボクシング映画『あゝ、荒野』(17)などクセの強い作品を次々と放っている。本作でも安倍政権に“忖度”することなく取材活動を続ける望月記者をモデルに、映画的フィクションも加えた上で「世界の報道の自由度ランキング」で下位に低迷するようになった現在の日本の問題点に斬り込んでいく。

 東都新聞に勤める社会部記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は、父は日本人、母は韓国人で、NYで生まれ育った帰国子女。そのため、日本語はどこかたどたどしく、場の空気を読むという日本社会の特性にもなじめずにいた。ある夜、東都新聞に差出人不明の怪文書が届く。両目が黒く塗りつぶされた羊のイラストの付いた怪文書は、新設大学の認可に疑問を投げ掛けたものだった。フェイクニュースか、それとも関係者からの内部告発なのか。デスクの陣野(北村有起哉)から命じられ、吉岡は盲目の羊の正体を追うことになる。

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