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「モラハラのトリセツ」第3回

モラハラ加害者も、実は被害者だった……「世代間連鎖」を手放すには?

文=中村カズノリ(なかむら・かずのり)

イメージ画像(ぱくたそより)

前回の話はこちらから

妻と1歳になる子どもと、一見なんの問題もなく幸せに暮らしていたという会社員のIさん(30代)。ところが、ある日突然、妻が子どもを連れて家を出て行ってしまったことで、自身が妻に対し、モラハラをしていたことに気づきます。

 僕との対話の中で、Iさんは原家族(生まれ育った家族)で父親から受けたモラハラを、Iさん自身が結婚して作った家庭で再現していたという事実に気づきました。

 原家族での体験による影響がそのまま子の世代にも連鎖してしまうことを「世代間連鎖」といいますが、Iさんのケースはまさにこれでした。

 そこで僕は、Iさんの幼少期の体験をさらに詳しく聞いてみることにしました。

 世代間連鎖を受けた当事者が原家族での体験を語ることは、しばしば痛みを伴います。Iさんも例外ではありません。あまり強い痛みにならないよう、むやみに掘り下げすぎず、慎重に話を引き出していきます。

 時折、つらそうな表情を見せるIさんですが、それはモラハラの加害者としてではなく、被害者の表情でした。このようにDVやモラハラの加害者は、100%完全に真っ黒な加害者で理解不能なモンスター……なのではなく、そこには過去の被害者性も眠っていることが多いのです。

 モラハラ加害の連鎖が起きているということは、する方と受ける方が必ず両方存在します。Iさんも、連鎖の過程においては被害者だったのです。そして、Iさんにモラハラ行為をしたIさんの父もまた、その上の世代からの被害者だったという可能性もゼロではありません。世代間連鎖によるモラハラでは、連鎖の当事者の無意識に残る被害の傷が、自分がされたことをほかの相手にしてしまうというトリガーとなり得るのです。

 そんなモラハラの連鎖を断ち切るには、そこに気づいた当事者が回復し、モラハラをしなくなることがひとつの希望です。モラハラをやめるための第一歩は、「自分がモラハラをしてしまっていたことに気づくこと」「その行為がなぜ起きたのかを知ること」「モラハラをやめたいと願うこと」、そして「過去に連鎖で起きた傷を癒やすこと」です。そのどれもが困難な道のりではありますが、じっくり向き合えば不可能ではありません。

 そこで僕はIさんに、日本家族再生センターで開催している「脱暴力グループワーク」への参加を促してみました。脱暴力グループワークとは、DVやモラハラの当事者が、加害被害、男女関係なく集まる自助グループのひとつです。Iさんの場合、1対1のカウンセリングだけでなく、同じ問題を抱える当事者同士の交流が回復への近道であると感じたからです。

 脱暴力グループワークでは朝から多くの当事者が集まり、それぞれの近況を報告し合ったり、アイスブレイク(氷のように固まった雰囲気を和ませ、集まった人々のコミュニケーション促進のために行うグループワーク)の手法に近い、コミュニケーション力を育むためのワークがいくつか行われ、参加者同士の自由な会話も行われます。同じ問題を抱えている人同士の会話は当事者以外には理解してもらえなかったことも通じ合うので、お互いに受け入れ合うことができ、安心して話せます。また、ファシリテーター(進行役)が参加者に対して知識や正論を押し付けることはありません。「上から教えてやる」「間違いを厳しく指摘する」という方法ではそれ自体がモラハラ的なものとなってしまい、当事者の回復どころか、負の連鎖が起きかねないからです。

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