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漫才のレベルは飛躍的にアップも……『べしゃり暮らし』に感動がない理由

間宮祥太朗の人間性と漫才技術の成長

 いろいろな意味で、間宮の成長が見て取れる第4話だった。まず、機材トラブルが原因で花田のライブが20分遅れの開演になったとき。あの場面で「行こうぜ」と辻本潤(渡辺大知)を伴い、間宮は前説を買って出る。なかなかできることではないが、楽屋裏で「やらせてください!」と頭を下げて頼み込む姿には感銘を受けた。漫才コンクールで「客が馬鹿」とキレて帰ってしまった醜態が記憶に新しいだけに、すごく安心したのだ。

 そして、舞台である。今まで、間宮と渡辺はわざと拙く漫才していたのだろうか? 通常時は2人とも外側を向き、ツッコむ(ツッコまれる)ときだけ内側に体を向ける。テンポも以前とは見違えるように安定している。このドラマの漫才監修・ヤマザキモータースと小林知之(火災報知器)の指導の賜物だろうが、にしても、以前とは明らかにレベルが違って見える。観て笑えるレベルを漫才素人の2人に求めるのは酷だが、なんとか“らしく”なってきた。初回から順に成長の跡が見えるよう、以前は意図的に技術レベルを調節しながら漫才を演じていた可能性がある。感心した。

 寺島は間宮と渡辺の2人に、蕎麦屋を由来としたコンビ名「きそばAT」の使用を禁じた。つまり、「蕎麦屋を継ぐ」という間宮の選択肢をあえて潰す父からの厳しいエールである。間宮に残されたのは芸人への一本道だけ。正直、やっと始まったという感じだ。こうして、間宮は精神的な面でも成長した。

 息子の退路を断った父。これは、しのぶと田中の交際を認め、蕎麦屋の跡継ぎとして田中を認めたからにほかならない。「蕎麦屋の跡継ぎ」という保険を手放した間宮と、芸人にすがる自分を捨てた田中。2人は”中途半端”から脱した。そして、毒舌なネタを恐れる過去を清算したねず花と、芸人を恨む過去を清算した寺島。過去を捨て、前へ進む人間を描いた回だった。

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