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漫才のレベルは飛躍的にアップも……『べしゃり暮らし』に感動がない理由

ドラマ版『べしゃり暮らし』に感動がない理由

 テレ朝土曜深夜枠のドラマは、全7話に設定されていることが多い。そして、原作『べしゃり暮らし』のコミックスは全19巻である。この長編を7話に収めるのは至難の業だと思う。だからこそ、エピソードの取捨選択が重要になってくる。時に、不要な箇所をバッサリ切り捨てる勇気も必要だろう。今回のドラマ化は、その辺がうまくない。多くのエピソードを網羅しようとするから、各話がいつもダイジェスト的になってしまう。駆け足すぎるのだ。

 ねずみ花火のエピソードを取り上げるなら、潔がねず花に「お前は花田っぽくないしお前は根津っぽくないから、名前が逆だろ」と指摘し、笑って許す場面をマストで描いてほしかった(花田役の駒木根がねずみっぽい顔ではないので難しいのもわかるが)。また、蕎麦屋を保険として考える圭右の甘さも描いてほしかった。そんな細部を端折っているため、観ていて感動がないのだ。

 次回予告によると、『べしゃり暮らし』で最もエグいエピソードが描かれる模様。「デジタルきんぎょ」を演じる駿河太郎と尾上寛之の演技力はわかっているので、そこについては心配していない。あとは、異常に濃いあのストーリーを腰を据えて再現し、心に響く重要回にしてほしいと願うだけだ。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2019/08/24 14:00
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