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熱血!”文化系”スポーツ部

過剰なテロップ、うるさすぎるDJ……ラグビー&バレーW杯から考える「スポーツ中継の課題」

ワールドカップバレーでは、DJがうるさすぎ!

 この「スポーツ中継における主役は何か?」をもっと考えさせられる世界的大会が、フジテレビで放送されているワールドカップバレーだ。

 私が指摘するまでもなく、バレーの国際大会というと、「アイドルがうるさい」という感想が毎度毎度の風物詩。だが、今大会ではこの「アイドルがうるさい」以上に、「DJがうるさい」「チャラいDJとうるさい応援でとても観てられない」「バレーのDJ、相手国に失礼」といった否定的な声が大きい。

 DJとは、競技場内で応援を盛り上げるために配置されているスタジアムDJのこと。得点が入るたびに選手名を連呼し、観客にもっと盛り上げていこうぜぇ、と促す。はっきり言って蛇足でしかない。

 テレビ中継ではこのDJ音声を積極的に集音しているわけではないのだが、それでも気になるのだから、会場にいる人にはもっとうるさいのではないか。ただ応援だけしている人であればそれでいいかもしれないが、観客のなかには純粋に世界のプレーを観戦に訪れている人だっているだろう。

 スポーツにおける「音」は、視覚情報以上に大事な要素だ。シューズがこすれる「キュキュッ」という音だったり、ときには選手たちの息遣い、掛け声からも緊迫感が増すことは多い。それこそがスポーツにおける大事な情報であり、情緒だ。が、バレー中継ではDJの音にかき消され、それら繊細な音が届いてこない。

 このスタジアムDJは、中継局の問題とはまた別であるのは重々承知。ただ、「どうすればスポーツの素晴らしさが伝わるか」という視点が弱いからこうなるのでは? という部分で、問題の根っこは同じではないだろうか。

 余談だが、バレー中継の合間に、「東洋の魔女」以降の日本女子バレーの名シーンを編集したNOMURAのCMを見ることができる。とても情緒的な仕上がりになっていて、グッと心をつかまれる。スポンサーのほうがスポーツの価値をしっかりわかっている、というのがなんとも皮肉だ。

 ラグビーの話に戻れば、今大会で選手たちは、決勝トーナメント進出という成績面の目標だけでなく、「ブームではなく文化として定着させる」という重たい使命を口にしているのが印象的だ。それって、選手たちだけでなく、伝えるメディアや運営側も同じ気持ちでなければ達成は難しい大テーマのはず。大願成就のための道のりは、なかなかに険しい。

(文=オグマナオト)

◆「熱血!”文化系”スポーツ部」過去記事はこちらから

最終更新:2019/09/26 18:00
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