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「モラハラのトリセツ」第1回

三船美香、湘南ベルマーレ前監督、織田信成……意外と知らない、モラハラの境界線

夫婦ゲンカとモラハラの境界線は?

 これが夫婦ゲンカであればパワーバランスは拮抗している状態なので、モラハラ発言があったとしてもそこまで大きな問題にはなりませんし、お互いの考える正しさはそれぞれ違っているが、相互に尊重されるというルールのもと、どこかでお互いが納得するところに着地するか、少し距離を置いてクールダウンするという解決も見られます。

 ですが、どちらかが一方的に相手を責め立てる形になっているとすれば要注意。相手に、「不倫をした」「家族に内緒で借金を作った」といった明確な落ち度があったとしても、限度を超えて責めることはモラハラになり得ます。

 一方的に価値観を押し付られた側は、最初こそ反発する気概があるかもしれませんが、それが何度も繰り返されると徐々に反発する気もなくなっていき、責められるがまま、いつもビクビクして傷が深まっていく一方という負のループに入ってしまいます。これが、夫婦ゲンカとモラハラの違いといえるでしょう。

 そして夫婦間モラハラの被害者は、最後に残された力を振り絞って家を出る・離婚を切り出す等の行動に出るというパターンが多く見られます。

 僕の元には、そこまでこじれてしまった末の当事者からの相談が多く寄せられます。僕はいわゆる元「モラハラ夫」で、過去にそれが原因で離婚しています。その経験や自分自身の脱暴力、回復の過程の中で当事者理解を少しずつ深め、今ではDVやモラハラの当事者(加害被害・男女問わず)に対するカウンセリングや、DV・モラハラからの脱却を目的とした脱暴力グループワークという自助グループイベントでのファシリテーターをしながら、Web系エンジニアの仕事もしています。

 また、3年前に再婚し、今は一児の父でもあります。こちらに関して詳しくは、共著書『DVはなおる 続』または「DVは なおる 続 note無料公開分」を読んでいただけるとうれしいです。

 当事者として、カウンセリングやグループワークの支援につながってから6年ほど。カウンセラーとして看板を上げては3年ほどになりますが、その間に多くのモラハラやDVの当事者と触れ合い、学び合ってきました。

 自分自身カウンセラーと名乗ってはいますが、当事者性も持ち合わせています。だからこそ同じ問題を抱えている当事者に対して、他人事ではなく支援ができると思っていますし、そうありたいと願っています。

 僕の周りにいる多くの当事者は、加害者・被害者ともにカウンセリングや脱暴力ワークで少しずつでも回復し、モラハラの頻度や程度が軽くなったり、こじれずに離婚したり、別居しながらもお互いに良い距離感を保ちながら家庭を営んでいるケースが多く存在します。また、加害被害には男女関係ありません。実際に、男性の被害/女性の加害の相談が寄せられることも、最近増えています。

 次回以降ではそんな実例を、加害者・被害者それぞれの視点から紹介しつつ、モラハラからの回復・脱暴力の可能性について、お伝えしていきたいと思います。

中村カズノリ(なかむら・かずのり)

1980年生まれ。WEB系開発エンジニアの傍ら、メンズカウンセリングを学び、モラハラ加害者としての経験をもとに、支援を行っている。

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Twitter:@nkmr_kznr

なかむらかずのり

最終更新:2019/12/16 19:25
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