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「モラハラのトリセツ」第2回

モラハラ加害者も、実は被害者だった……「世代間連鎖」はなぜ起こる?

イメージ画像(ぱくたそより)

 前回(参照記事)「モラハラ」とはなんぞや、というお話をさせていただきました。しかし、説明だけではまだピンとこない方も多いと思いますので、今回は具体的な実例を見ていきましょう。なお、本連載で取り上げる例は、僕がカウンセリングしたご夫婦(「元」含む)から許可をいただいて、個人情報に関わる部分やエピソードの詳細を一部ぼかしたものとなります。

 まずは典型的な「モラハラ」事案、Iさんご夫妻の例です。きっかけは、旦那さんからのご相談でした。

 会社員のIさんは30代前半で1つ年下のKさんと社会人サークルで知り合い、結婚。2年後に第一子が誕生し、一見幸せ家族として生活していました。ところが、子どもが生まれてから1年ほどたったある日、妻は子どもを連れて家を出て行ってしまったのです。突然の出来事に呆然とするIさん。妻から届いたメールには「あなたのモラハラがつらいので、しばらく実家に帰ります。これ以上、一緒に暮らしていると離婚も考えてしまいそうなので、いったん距離を置いて別々に暮らしたい」と書かれていました。

 妻子を養うために必死に働いてきたIさんにとって、まさに青天の霹靂でした。途方に暮れたIさんは「妻がなぜこんなことを言うのか訳がわらないし、どうしたらいいのかわからない」と、僕のところに相談にきました。

「(妻の主張は)到底納得できるものではないが、もし、自分が何かまずいことをしていたのならそれは直していきたいし、心当たりもまったくないわけではない。このまま何もせず、家族がバラバラになってしまうのは耐えられない」という言葉に、僕は少しホッとしました。というのも、本人にモラハラの自覚がなかった場合、その後の相談が非常に難しくなってしまうからです。

 そもそも、まったく自覚のない方が相談に来ること自体がほとんどないので、Iさんは相談に来た時点である程度の自覚なり、心当たりがあったということでしょう。

 まずは、Iさんの“心当たり”について伺うことにしました。Iさんいわく、家のことに関して意見のぶつかり合いが多く、夫婦げんかが頻発していたとのこと。具体的には家のものを買う際のお金の使い方が主だったそうです。歯ブラシや子どものおむつ等の日用品や、ベッドやソファ等の家具に至るまで、買い物となると必ずと言っていいほど衝突があったといいます。妻は「できるだけ安いものがいい」という考えですが、Iさんとしては「少し値が張ってもいいものを買うべきだ」という考えで、なかなか意見がかみ合わなかったのです。

 そんな折、妻から「最近は安いものでもいいものがあるよ。高ければいいってものでもないと思う」と意見を向けられたIさんは激高し、「俺をバカにしてるのか!!」と大声を上げて妻の言葉を遮り、自分の意思を押し通したという出来事があったそうです。似たようなエピソードはほかにもいくつかあり、Iさんは妻から自分に対する反対意見が出ると、ほぼ毎回、同じような対応を取ってしまっていたのです。

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