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「鳥貴族でも流れるポップスがやりたかった」菊地成孔の“アヴァター”によるFINAL SPANK HAPPYとは何か?

文=宮崎敬太

ポップスはチャラく、涼しく、甘くないといけない

ーーちょっと話が変わりますが、タイトルの『mint exorcist』にはどんな意味が込められているんですか?

BOSS 最初は何も考えない思いつきだったんです。exorcist(エクソシスト)は悪魔払いのことですよね。あれって、ものすごく大変そうじゃないですか。それをミントを食べるみたく涼しげにやっちゃおうよ、ということですね。でも、今から思えば、ですが、ある日、テーブルのいろんなところに、賽の河原の石積みのような小さな塊があることに気づいたんです。そこでODに「これ、何?」って聞いたら、「ミントに決まってるじゃないスか」って答えたので、「え?」って。確かにODはいっつもミントを食べてるんですよ。で、なぜかあの小ちゃいミントを食べ切らず、口から出して積むという奇癖がありまして……。

OD 積むじゃないスか。

BOSS 私はその盛り塩のようなミントの塔に呪術性みたいなものを感じ、そこからエクソシストを連想し、さらに、昨今SNSや日本社会に対して感じていることと、恋に関する普遍性、どちらも、メッセージとして込めることにした、というわけです。

ーーそのメッセージとは、『mint exorcist』のラストに入っている「音楽はみなさんが考えてるより、ずっと簡単じゃないスか」に込められたものですね。

BOSS SNSは人のガードを固くしたり、逆に、変なふうに全開させてしまって、それをみんなで笑ったりするメディアです。あれの存在で、人間の世界観、というか、社会性とか社交性が根本から変わってしまった。そもそも音楽というのは、好き/嫌い、できる/できない、得意/苦手というリージョンにはありません。誰でもできるものなんですよ。私もODも、菊地君も小田さんも、音楽が簡単だったからこそ、のめり込んだ。音楽が一番似ているものは恋愛です。誰でもできる、したくてもできない、したくなくても始まってしまう。スキルもテクニックも本当はいらない。でも怖がったりしてしまう。今の世の中ではみんなあらゆることに警戒心を持ちすぎじゃないかと。私は「これやったら恥かくんじゃないか?」「自分がやったら攻撃されるんじゃないか?」みたいなことはないと思っている。好きなようにやればいい。じゃないと、通り魔とか、極端なものにだけ、命がけのジャンプが必要になってしまいます。思い切って誰かに告白する。その瞬間から、その人はずっと音楽を奏でているのと同じ状態になります。

OD ミトモさんもSNSやっているデスが、傷つくことも含めて気持ちいい地獄だって言ってたじゃないスか。そんでもって音楽と恋は似ているっていうのも、自分もまったく同意見じゃないスか!!……「恋」とか……ちょっとまだわからないデスが(笑)。

BOSS このメッセージこそ我々のオリジナリティです。菊地成孔と小田朋美が真剣にアルバムを作って、最後の最後で「音楽なんか簡単だよ」とか言っても全然説得力ないでしょ。むしろ、嫌味に聞こえる。東大出の人間が、中卒の人間に「世の中出たら学歴なんか関係ねえよ」と言っているようなものです。最初に言ったけど、FINAL SPANK HAPPYはとにかくポップなことしかやりたくなかった。今の時代に響く音楽とメッセージ。そして、私にとってのポップスとは、荒井由実さんの「中央フリーウェイ」のように、ライフスタイルが感じられるもの。どういう車に乗って、どこに出かけて、なんていう店で何を食ったっていうね。“シティポップ”という場合、主役は歌の一人称ですが、半分は街が主役です。今の音楽は、心象風景をグリグリ探求して、ロマン派の作曲のようです。街という、もうひとつの主役を音楽に再び召喚しないとね。自分の内面ばっかり追い詰めるのは文学者や詩人や画家に任せますよ。あれこそ最高の自己愛性人格障害アートです。ポップスはチャラく涼しくないと。こんな考えは古いとわかっていますが(笑)。

OD “涼しく甘く”デスね! 自分も、自分の内面がそりゃあ大切デスし、そういうアートも大好きデスが、街やお店や、楽しい、切ないことがスキスキじゃないスか~。 

BOSS もっとみんな、気合い入れないで、楽しくデートしたり買い物したりすればいいんだよ。金使うとスッキリしますよ(笑)。音楽は文学や詩じゃない。恋愛を空気の振動にしたものです(笑)。

OD うおー。自分もこれから恋愛するじゃないスかー!!(笑)

FINAL SPANK HAPPY(ファイナルスパンクハッピー)
1994年にハラミドリ、河野伸、菊地成孔の3人でSPANK HAPPYとしてデビュー。98年、菊池のみの1人ユニットとなったのを経て、岩澤瞳と再デビューするが、2007年に活動終了した。それから12年の時を経た2018年、突如として復活。ただ、首謀者である菊地成孔は参加せず、菊地の代役であるBOSS THE NKと新ボーカリストODの2人となり、「最終形態」のユニットはFINAL SPANK HAPPYと改称。デビュー・シングル「夏の天才」を発表し、夏フェスなどのイベントにも多数出演した。そして19年10月、デビュー・アルバム『mint exocist』をリリース。完全自主制作・自主流通ながらヒットし、12月にはリリース・ツアーも成功させた。
https://www.bureaukikuchishop.net/spank-happy

最終更新:2020/01/21 00:00
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