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週刊誌スクープ大賞

森友自殺財務省職員の遺書による告発を、コロナ騒動で有耶無耶にしてはならない!

文=元木昌彦(もとき・まさひこ)

 さて第1位は文句なしのスクープである。文春に掲載されたが、これは、相澤冬樹大阪日日新聞記者、元NHK記者の大スクープである。

 タイトルは「森友自殺財務省職員 遺書全文公開『すべて佐川局長の指示です』」

 2年前の2018年3月2日、朝日新聞が「財務省が森友の国有地取引関連の公文書を改ざんした疑いがある」と報じた。その5日後の3月7日、改ざんを命じられた近畿財務局職員・赤木俊夫(54)が自宅で首を吊って自殺した。

 当時、赤木の妻に遺書とメモが残されている、そこには文書の書き換えを指示されたとあり、佐川理財局長や麻生財務相の名前が書かれているといわれた。

 相澤はNHKで司法を担当していて、森友学園事件を追っていた。

 彼がNHKを辞めてから書いた『安倍官邸VS.NHK』(文藝春秋)によると、ある記者が赤木のメモの内容を掴んできた。そこには、改ざんは財務局が勝手にしたのではなく、本省からの指示があったこと。佐川(前理財局長)の指示で書き換えたこと。決裁文書の調書の内容について、上から、詳しく書きすぎているといわれ書き直しをさせられた。このままでは私一人の責任にされてしまう、などと書かれていたというのである。

 早速、遺族取材を始め、赤木の父親、妻にあたるが、一切の取材を拒否されてしまう。「こうしてご遺族の取材は頓挫した」(同書より)のである。

 森友学園取材を続ける相澤は、安倍官邸と近い小池報道局長に疎んじられ、記者職から外されてしまう。

 相澤は、「森友事件は私の人生を変えた」と思い定め、この事件の深層を追うためにNHKを辞めて大阪日日新聞へと移るのだ。

 相澤とは2019年の2月に会って話を聞いている。

 彼は「森友事件は森友学園の事件ではない、国と大阪府の事件だ」といった。

 自殺した財務省職員については、「改ざんはなぜ行われたのか、どんなふうに行われたのか、亡くなった方はどうしてあそこまで追い込まれたのか。そういうことを解明して、彼の無念を晴らしてあげたい」といったが、この事件の闇は深いから解明には時間がかかる、「正直、一生かけてやっても、結局、最後の最後の本当のところは分からなくて、死ぬ間際に真相解明できませんでしたと言って死んでいくかもしれませんけれど、そのぐらい一生かけてやっていきますよという覚悟」でやるといい切った。

 それがこのスクープに結実したのである。

 文春の相澤の手記によると、森友学園事件を追って上司とぶつかり、NHKを辞めたことを知った赤木の妻のほうから「会いたい」と連絡があったという。

 赤木が亡くなってから半年余りが経った11月27日に、大阪・梅田の喫茶店で会った。彼女は、「これ、見たいですよね」といいながら、パソコンの中にあった夫の手記を手渡したそうだ。

 内容の重大性はよくわかったが、コピーもメモも写真も断られたという。後に彼女が相澤にこういったそうだ。

 この手記を相澤に渡して、そのまま自分も夫の後を追うつもりだった。だが、相澤の興奮する姿を見て、手記を渡すのも死ぬのもやめたそうである。

 今年の3月7日に赤木俊夫の三回忌を迎えたが、その間、財務省は彼女に対して、誠意のない態度をとり続けてきたという。

 そうしたことで、彼女の気持ちにも変化が出て、手記を公開することを決意し、それと同時に、3月18日、夫・俊夫が自殺したのは、「公文書改ざんに加担させられたからだなどとして、赤木さんの妻が18日、国と佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長に計約1億1200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした」(朝日新聞3月19日付)のである。

「森友問題 佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それにNOを誰もいわない これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる なんて世の中だ、手がふるえる、恐い 命 大切な命 終止符」

 これは赤木が死の直前に書き遺したものである。「手がふるえる」という箇所に下線が引いてあるそうだ。

 手記では、2018年2月から7月まで、「これまで経験したことがない異例な事案を担当し」て、強度のストレスが蓄積して7月から病気休暇を取るに至ったことや、森友学園への国有地売却問題で、財務省が国会等で虚偽答弁を貫いていることが、この事案を長期化・複雑化させていると指摘している。

 さらに「佐川理財局長の指示を受けた、財務本省理財局幹部、杉田補佐が過剰に修正箇所を決め、杉田氏の修正した文書を近畿局で差し替えました」。「3月7日頃にも修正作業の指示が複数回あり現場としてはこれに相当抵抗しました」が、本省から来た出向組の小西次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ」と調書の修正を悪いこととは思わず、あっけらかんと修正作業を行ったというのである。

 赤木は「大阪地検特捜部はこの事実関係を全て知っています」と書いている。だが、大阪地検は全てを知りながら、全員不起訴にした。

 赤木の心の支えは、7月の人事異動で担当部署が変わることだったが、他の職員も上司も全員異動させられたのに、赤木だけが同じ職場に残されてしまったのだ。

 この当時、赤木は、自分も罪に問われる、検察に狙われていると怯えていたという。

 家で療養している赤木に、久保田検事から電話がかかってくる。

「ぼくは職場に復帰したら検察に呼ばれる。検察は恐ろしいとこや。何を言っても思い通りの供述を取る。(中略)ぼくが何を言っても無理や。本省の指示なのに最終的には自分のせいにされる。ぼくは犯罪者や」

 普通の生活を送ってきた公務員なら、検察の事情聴取と聞いただけで怖れ、震えるのは当然のことであろう。

 財務省が全ての責任を負うべきなのに、最後は逃げて近畿財務局の責任にする。「怖い無責任な組織です」(赤木)

 手記の最後に、「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者」の筆頭に、佐川理財局長の名前を書いている。だが、「この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することが出来ません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(五十五歳の春を迎えることができない儚さと怖さ)」、最後に「気が狂うほどの怖さと、辛さ こんな人生って何?」という言葉と「さようなら」で結ばれている。

 この手記を読んだ人間の何人かは、彼は弱い人間だ、何も死ななくてもいいのに、と思うかもしれない。私も読みながら、そう感じたことは事実である。

 だが、赤木俊夫という人間は、巨大な財務省という組織と闘うためには、死をもって告発するしかないと考えたのであろう。赤木の妻には失礼ないい方になるが、夫の死の直後に、これを公表していれば、安倍政権と財務省に大きな打撃を与えられたはずである。

 もちろん、今回のスクープを、コロナ騒動で有耶無耶にしてはならないこと、いうまでもない。森友事件も加計学園問題も、安倍首相と妻の昭恵の関与は明らかだと思うが、メディアは彼らを追い詰められていない。

 赤木の遺言を無にせず、第2、第3の相澤記者が出て来こなくては、彼も浮かばれまい。

 今朝の朝日新聞と東京新聞は一面トップでこれを報じていたが、読売新聞は第二社会面に小さく載せただけである。読売新聞はメディアとして恥ずかしくはないのだろうか。(文中敬称略)

【巻末付録】

 現代から。

「写真家・沢渡朔の世界「愛しき人よ」-時を超え鮮烈な色香を放つ 桃井かおり、小柳ルミ子、岸本加世子」「女たちの性欲と自己解放、その時代的変遷-男より積極的かつ大胆」

「ゆきぽよ、再び-大好評にお応えし、未公開写真もドーンと公開!」

袋とじは「結城るみな 初めてのAV現場-偏差値70の有名私立大ミスコン優勝者」

ポストは。

「華村あすか、眩しすぎるひと-グラビア界注目の新進女優が魅せた」「映画女優が気迫で演じたあの絶頂濡れ場を語ろう-名作プレイバック」

袋とじは「『前貼り』の裏側-濡れ場映画の必需品!普段は見えない世界へご招待」

最後は「なをん/大島さんは自由律。」

 迫力では「なをん/大島さんは自由律。」だが、可憐でいうと「結城るみな 初めてのAV現場-偏差値70の有名私立大ミスコン優勝者」。やはり可憐さがSEXYに勝つな。今週は現代の辛勝だ。

元木昌彦(もとき・まさひこ)

元木昌彦(もとき・まさひこ)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

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最終更新:2020/03/23 22:45
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