“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士が熱弁!「志村けんは人間国宝に値する存在だった」

加トちゃんとのコンビは最強だった

――人物描写もすごかったですね。

瓜田 「ひとみばあさん」とかね。昭和の路地裏の寂れた飲み屋にいそうなおばあちゃんなんだけど、その演技がめちゃくちゃうまい。注文されても「あい?」ってな感じで、客の言うことなんて一切聞かないくせに、腰が痛いだのなんだの自分の話ばっかりしだして。しまいには、冷めたラーメンに指をズボッと突っ込んで客に提供するという。赤羽や北千住あたりの飲食店で実際に起こりそうな出来事を、デフォルメして描くから面白いんですよね。

「変なおじさん」を筆頭に、このゾーンに踏み込むのはずるいだろ、反則ギリギリだろ、というキャラに挑戦しているのも面白かった。下着を盗もうとしたり、若い女が使ったコップをこっそり舐めたり。そういう不謹慎な、親と一緒にテレビを見ていたら気まずくなるようなことを平気でするのもしむけんの魅力のひとつでした。

――今では放送できないようなキャラも多かったですね。

瓜田 はい。でも、そこに加トちゃんが加わることによって、子どもにウケる感じに仕上がったんですよ。しむけんはどちらかというと変態的なおじさんだったり、耳の遠いおばあちゃんだったり、頭に円形ハゲがある子どもだったりと、確かに面白いけど禁じ手ともいえるキャラを好んで演じていた。一方、加トちゃんは子どもを笑わすツボを心得ていて、すぐに「ちんちん」とか「うんち」とか幼稚なことを言うんですけど、それがしむけんのアクをいい感じに中和していたと思います。

――しむけんの面白さを最も引き立ててくれたのが、加トちゃんだと。

瓜田 はい。しかも、あの2人は、黙ると怖いじゃないですか。コントの序盤では、眉間にシワを寄せてコーヒーを飲んだりしながら、近寄りがたいおっさんみたいな顔をするんですよ。で、その直後にとてつもなくくだらないことを言うもんだから、誰もが噴き出しちゃうわけです。あの笑いは、関西関東などのエリアを飛び越えたものでしょうね。

 ウチの嫁は関西人で笑いにうるさいんですけど、彼女いわく「しむけんに関しては、大阪でも嫌いな人がいなかった。レベルが段違い」とのことです。この記事に載せてほしいということで、嫁から「志村けんさん、長い間ありがとうございました。大好きでした。これからも大好きです」との追悼コメントを預かりましたが、俺も本当にしむけんが大好き。神様みたいな存在でした。

――『バカ殿』などにおける、田代まさしさんとのコンビも人気でした。

瓜田 確かに面白かったけど、あれはマーシーが面白く見えるように、しむけんが仕向けてあげていたように見えました。マーシーがいやらしいダジャレを言う。それを笑って聞いてあげることで、「お前の武器を磨け。頑張れよ」とエールを送っているように見えた。そういう優しさを感じました。でも実際は、クワマン(桑野信義)のほうが、しむけんとの相性は良かったと思います。暴走するバカ殿を軌道修正するために四苦八苦する御家老を、出すぎず、引っ込みすぎずの絶妙な塩梅で演じ切ったクワマンはすごかった。

 今の芸人でクワマンの役をできるのは、ずんの飯尾(和樹)ぐらいかな。家来は、ハライチ澤部(佑)やノブコブ吉村(崇)あたりでしょうか。そういう面々での復活を望みますけど、肝心要のバカ殿を演じられる後継者が見当たらない。やっぱしむけんは、唯一無二の存在なんですよ。

――瓜田さんは不良時代も、志村さんを見ていたんですか?

瓜田 ヤクザになってからはあれやこれやで忙しくなり、ガキの頃みたいにテレビにかじりついて見ることはなくなったけど、ふと深夜にテレビをつけたときにしむけんが出ていると、「相変わらずバカなことをやっているよ」という安心感で、思わず笑ってしまっていましたね。

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