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安倍首相も乗っかる「#うちで踊ろう」若手ミュージシャンには” 星野源アレルギー反応”も

星野源

 新型コロナウイルスによる自粛ムードの中で、なんとか世間を盛り上げようとSNSを通じてアーティストやタレントたちも立ち上がっている。

 多くのボーカリストが参加している「#うたつなぎ」なる企画ではDragon AshのKjや菅田将暉といった人気ミュージシャンたちが自作曲を歌い、次のヴォーカリストへつなぐ形でユーザーを励ましている。

 そうした中で、最も話題となっているのが星野源の「#うちで踊ろう」だ。安倍首相が貴族風の生活を見せつける“自主参戦”によって炎上騒ぎとなったが、それ以外に目を向けるとミュージシャンのみならず俳優や芸人、一般人なども参加して大きなムーブメントとなった。

 この「うちで踊ろう」なる楽曲は、星野がアコースティックギター1本で作ったもので自身のInstagramアカウントへ「誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」といったコメントとともに投稿。この開放された音源にアーティストが続々と参加していった形で、SNS上ではかつて一線級の海外アーティストが参戦した「We are the world」になぞらえる声もあがりはじめるほど。

 SNS上での広がりを見るに、”仕掛け”的にはWe are the worldを現代的にアップデートしたものと言えよう。

 「We are the worldは、クインシー・ジョーンズやマイケル・ジャクソンといったアーティストが一堂に会して“レコーディングを行う必要がありましたが、『うちで踊ろう』は一緒にレコーディングする必要もなく、楽曲を引用さえすれば誰にでも参戦できることが大きな利点です」(音楽メディアスタッフ)

 例えば、大泉洋は寝起きの自分をアップして、そのさまを見ている自分という“表現”で自分らしさをみせた。このように楽曲さえ使えれば、特定の業種限定でバトンを回すスタイルのものよりも、気軽に多くの人が参加できるのだ。このハードルの低さによって、まだ有名ではないが編集能力の高いミュージシャンや一般人も参戦。さらなる広がりを見せたのだ。

「音楽業界の社員たちと『誰々もアップしたよ』なんて盛り上がっていますよ。曲としてももちろんクオリティが高いので、『家で作ろう』とかいってミュージックビデオが配信される可能性もあるんじゃないですかね」(同)

 一方で、このムーブメントに参加したがらない層もいるようだ。

「いまミュージシャンもライブを控えている状況なので、活動をしていても芽の出ないアーティストに『便乗しろ!』と声をかけているディレクターやA&Rもいますが、どうも星野源アレルギーを持っているアーティストもいるようで……。積極的じゃない若手ミュージシャンもそれなりにいますね。ですので、バナナマンや香取慎吾、大泉洋といった星野と親交のある芸能人、さらに加藤ミリヤや中島美嘉や三浦大知などタレント性のあるアーティストに参加してもらい、”誰でも参加できる雰囲気作り”をしているようにも見えます」(音楽レーベル関係者)

 現に『アメトーーク』(テレビ朝日)で運動神経悪い芸人として名を馳せているサバンナ高橋は曲に合わせてダンスを披露するが、本当に全然乗れていないし、中島美嘉は自宅でマイクも入れず携帯片手に歌っているが……、なんというか素朴な仕上がりとなっていた。

「中島美嘉なんて、久しぶりに見たという人も多いかと思います。旬を過ぎたアーティストが、クオリティが高くない形で参加すると、いかにも便乗しているように見えて、返ってイメージが悪くなりそうですが……。星野さん的にはむしろ“それでいい”ということだと思います」(同)

 一般人を巻き込んだ形で企画を拡散させるには、アーティストのみが参戦すると却って気が引けてしまう。敷居を下げるためにはクオリティを問わないことが必要だったが、その結果、何かを勘違いした安倍首相が参戦してしまったのは星野サイドにとって痛し痒しといったところだろう。

 「うちのアーティストにも、やってほしいみたいなオファーがあったんですが、安倍首相が参加して批判が起こったことで、残念ながら著しくイメージダウンとなってしまいました。今、乗っかると便乗臭もしちゃうので、損をしそうですね」(別の音楽レーベルスタッフ)

「あと自粛時期に限らず、こうした1分に満たない曲をSNSにアップする有名アーティストって、結構いるんですよ。それを長尺にしてアルバムに収録したりしていますね。この時期だから星野さんの動画が注目を集める理由もわかりますし、まあ、彼の人脈勝ちというところが出ているかと思います」(同)

 思い起こせば星野は『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)とその主題歌「恋」で本格的にブレイクした当初、女性ファンを一蹴してしまい、今でも根強いアンチもを生んでしまっている経緯もある。その後、さらなるブレークを果たして日本でもトップクラスのスターとなりつつあるが、ミュージシャンに限らず一定数“星野源アレルギー”を持つ層もいることは確か。

 彼が始めたこの優しくも素晴らしい取り組みが、仲間たちの手を借りて一人でも多くのアンチやアレルギーを持っているアーティストにも伝播していくといいのだが……。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2020/04/19 18:34
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