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週刊誌スクープ大賞

安倍政権ベッタリの産経とフジ合同世論調査で不正発覚! 下請けに責任転嫁は許されない

 さて、安倍首相は「逃げるは恥だが役に立つ」とばかりに、国会の会期延長を拒み閉会してしまった。新型コロナウイルス対策をどうするのか、第2波にはどう対処するのか、景気浮揚策はなど、重要案件が山ほどあるのに、逃げ恥を晒した。

 中でも、安倍が一番嫌がっていたのはこの件だろう。6月18日、東京地検特捜部が公職選挙法違反(買収)容疑で、衆院議員の克行前法相(57)と、参院議員で妻の案里(46)を逮捕した。

 文春によれば、案里の選挙の際、安倍の指示で1億5000万円ものカネが彼女の陣営に振り込まれ、そのカネが、ウグイス嬢への違法な報酬となり、多くの有力県議などへの袖の下として流れた疑惑がある。

 さらに、これを指揮したのが、安倍の地元の事務所軍団だったため、「安倍秘書軍団の動き。彼らがどこをどのように回ったのか、入念に調べているのです。安倍秘書軍団に関する調書も作っています」(捜査関係者)というのである。

 ホテルニューオータニで開かれた「桜を見る会」の前夜祭の参加費が安すぎる問題で、差額を安倍事務所が補填していれば、公選法で禁止されている寄付行為にあたる。

 様々な疑惑を抱えている安倍首相は、そこから逃げるために、ポチである黒川弘務を検事総長に、無理やり定年を延長させ据えたかったのだが、文春が「賭け麻雀の常習者」であることを報じ、それも潰えた。

 安倍の起死回生は、コロナ騒ぎが一段落したところで、消費税引き下げを掲げて解散、総選挙ではないかと囁かれている。だが、ここまで悪事が露見し、コロナ対策にも国民の多くが「遅すぎる」「失敗」だという声が渦巻いているのでは、自民党の中から造反が起こる可能性大である。

 政治部デスクが、佐藤栄作の連続在位日数を抜いた9月に退陣して、後継に岸田文雄政調会長を指名するのではと見ているが、私は、もはやここまでレイムダックになった人間が、後継を指名するなどできはしないと考えている。

 ところで、黒川と賭け麻雀をしていた産経新聞の2人の処分が発表された。産経は参加していた東京本社社会部次長と記者=いずれも現在は編集局付=を出勤停止(停職)4週間とする懲戒処分とした。朝日新聞は当該の人間を停職1カ月とする懲戒処分だった。

 ともに同じである。軽すぎる! 新聞社は読者や国民を舐めている! 検察のトップになろうという人間と賭け麻雀していたのは、何のためだったのか。権力監視を忘れ、権力と癒着するような奴らを、お前の社はまだ飼っておくのか。

 そう憤っていたら、6月20日朝刊に朝日新聞が「私たちの報道倫理、再点検します 朝日新聞社員と前検事長、賭けマージャン問題」という文章を載せた。

 書いたのは「朝日新聞執行役員編集担当兼ゼネラルマネジャー 中村史郎」なる人物。このごちゃごちゃした役名は、編集局長または編集主幹ということなのか。

 読んでも何をいいたいのか分からない「悪文」の典型である。賭け麻雀問題が出てから社に約860件のご意見が届いたそうだ。中でも一番多かったのは「権力との癒着」という批判だった。当然だろう。

 今回のことは、「取材先との向き合い方が問われる報道倫理の問題と受け止めています」というのも当然すぎて、何をいまさらという感じである。

「政治や行政、司法などの内側に迫り、社会に伝えることは、『知る権利』にこたえる重要な柱です」として、公式の会見だけではわからない事実や意思決定のプロセスを知るため、「権力の核心に迫り、本音や内情を聞き出す関係を築くことが必要です」とわかりきったことを並べ立て、取材先に肉薄することで相手の代弁者になったり、都合のいい情報ばかり提供されたりする危険は常にあるから、取材先との緊張感を失わず、デスクやキャップは、記者と取材先との関係性を含めて、報道の公正を担保するよう努めていますと書いている。

 だが、今回、社もその人間と取材先との在り方がまずいと判断し、大甘だが、処分したのではないのか。元記者が取材先と癒着し、デスクやキャップがその人間と取材先との公正性を疑わなかった、または、できなかったから、多くの批判を受けることになったのではないか。

 それなのに白々しく、「今回の問題で、朝日新聞の報道姿勢が揺らぐことはありません」といい切れるのはどうしてなのか。

 慰安婦問題から、否、それ以前から、朝日の報道姿勢が揺らいでいることは指摘されてきたではないか。

「時代に合った取材活動とははどうあるべきか」を再点検するだと? 記者の行動や倫理は、時代によってクルクル変わるのか?

 権力の監視という役割はいつの時代でもジャーナリズムの最大の柱ではないのか。すべてのメディアがその役割を放棄したから、第二次世界大戦という最大の悲劇が起きたのではないのか。

 知る権利にこたえる、権力の監視などというのを、単なる「お題目」としてしか捉えていないことを、とうに国民は知ってしまっているのだ。気付かないのはメディアの内側にいて、高給を食み自らが権力側の一部になっている、こういう人間たちである。

 朝日新聞に期待しても仕方ないか。これを読んで正直ガッカリした。

 同じ朝日新聞の「論座」で、高田昌幸東京都市大学メディア情報学部教授がこう書いている。

「産経新聞社と朝日新聞社は賭博が常習的になっていた構造を徹底的に検証すると同時に、今からでもいいから当の記者や元記者に記事を書かせるしかない。当の記者らは記事を書くしかない。

 官邸と黒川氏はどういう関係にあったのか、黒川氏は官邸をどう見ていたのか。つまり、『密着』の結果を報道で示すしかない」

 高田教授は、それがないのなら3人の行動はただの癒着であり、それを長らく許容していた新聞社幹部も同じ穴のムジナであると断じている。

 黒川と賭け麻雀していた2人の記者がいる産経新聞が、とんでもないことをしでかした。

「フジテレビと産経新聞社は19日、FNN(フジ系28局によるニュースネットワーク)と同新聞社が合同で行う世論調査で、実際には電話をしていない架空の回答が含まれる不正が見つかったと発表した」(朝日新聞DIGITAL6月20日 5時00分より)

 調査業務を委託していたところが不正をしていたと、下請けに責任転嫁しようとしているが、この重大事は、そんなことで済むはずはない。

 数字は、何かを語るうえで最もベースになるものである。その世論調査まで信用できないのでは、新聞やテレビなど存在理由はない。

 しかも、安倍政権ベッタリの産経とフジである。他のメディアが政権の支持率が低いときでも、このベッタリメディアは、比較的高いことがこれまで何度もあった。

 政権に忖度して、数字をいじっていたのではないか。テレビでよくあるように、下請けに「支持率を高く出せ」と押し付けていたのではないか。

 下請けが挙げてきた数字を何も疑いもせず、そのまま発表していた。メディアが最低限守らなくてはいけないルールを、この2社は守らなかったのだ。

 もはやメディアを信用しろというのは無理だ。読売新聞も毎日新聞も産経とフジに石を投げられるのか? では、文春だけは信用できるのか? 長く週刊誌の現場にいた私には、そういい切れる自信はない。

 よく、ネットで情報がタダになったから、既存メディアが苦しくなっているという駄法螺を吹くやつがいる。嘘っぱちだ。既存メディアが垂れ流す情報のほとんどが、官製情報や権力側の都合のいいリーク情報ばかりだと、読者が気が付き、それならどこの情報でも同じだ、「YAHOO!ニュース」で事足れりだと知ってしまったからである。

 自らが自らの首を絞めてきた。結果、この様である。自業自得。それしか言葉はない。

 さて、今週の第1位も文春。

 いつの時代も、渦中の人間に会って話を聞くのは取材の醍醐味である。

 中でも、明日か明後日にでも逮捕されるかもしれない河井案里に会って、心境を聞いてみたいと思うのは、ジャーナリストなら誰でも思うことだろう。

 新聞、テレビはもちろんのこと、雑誌でも、狙っていた人間はいただろう。それを苦もなくやってしまったのが、この男である。

 文春で、ノンフィクション・ライターの常井健一が、河井案里の独占告白3時間をものにした。天晴れである。

 6月5日、参議員会館の案里の事務所。

 冒頭、彼女は自殺未遂について語りだした。

 昔から鬱病があるので、強い睡眠薬を持っているという。3月28日、家にある酒を薬と一緒に飲んだ。普段は飲めないのに、意識を失くしてしまいたいという気持ちから飲み干し、その場に倒れ、救急車で病院へ運ばれた。

 両親同士や姉と親の仲が悪かった子ども時代。27歳の時、10歳上の克行と結婚。夫にはスキャンダルが多いが、女性記者の身体を触るセクハラもあるがと聞くと、

「あれには怒った。『ちゃんと最後までやらないからこんなことになるのよ。途中でやめちゃダメ』って」

 ホテルで夫といる時、15人くらいの検察に踏み込まれ、調べるというので、全裸になったという話は?

「『そんなに言うなら全部調べれば』と言って、私は部屋着をパーツと脱いで、生理中だったから、『ナプキンの中も調べたらいいでしょう』って、ポンと投げたんです。(中略)『膣の穴でも、お尻の穴でも見ればいいじゃない?』って」

 問われている容疑については、「裁判で勝てます」、問われている内容については、「まあ、もらい事故って感じですよ。自分は、まったく(違法行為に)手を染めていないので」と、夫・克行と秘書に任せきりだったといっている。

 案里は、「黒川さんも私も同じように権力闘争のおもちゃにされてしまって、権力の恐ろしさを痛感します」と、半ば他人事のようだ。そして、一区切りついたらミラノにファッションの勉強に行きたいと話す。

 バカな女ではない。だが、精神的な病気のせいなのか、現と夢の間をたゆたっているようで、自分の置かれた現実を認識することができないのではないか。国会議員などに絶対なってはいけない人間の喜劇と悲劇である。ある意味、可哀想な女である。

 このインタビューで、河井案里は株を上げたのだろうか。私は、読後、チョッピリ彼女が好きになってきたように思う。(文中敬称略)

【巻末付録】

 まずは現代から。

 巻頭から「綾瀬はるか、女優の休日-最新フォトブックから先行公開」。私は綾瀬が好きだ。一番好きなのは吉永小百合だが、綾瀬には、小百合にない底抜けの明るさがある。そこがいい。

 後半は「感じる、とは何か、官能と感応の狭間で-『気持ちいい』のメカニズム」「脊山麻理子、ついにここまで-元日本テレビアナウンサーの弾けるお尻」「松嶋えいみ&緒方咲『美脚ツインタワー』を見よ!」

 そして袋とじは「北欧美女が日本のAV嬢に憧れて-透き通る肌にブロンドヘア」。綺麗だね~。7月7日に、初の主演作が発売だそうだ。買いに行かなくちゃ。

 お次はポスト。

「2020上半期大ヒット写真集大賞-専門家イチ押しの7人が大集合!ゆきぽよ、アイドル研究家・北川昌弘、今田美桜、熊切あさ美」「対談/『グラビアでタレントが売れていく瞬間が一番気持ちいい』アーティストハウスピラミッド・森山幸男社長、本橋信宏」

袋とじは「桐野女史『ワケアリの女』2020再会」

「奥山かずさ、『愛鍵』で私を開けて-26歳の最旬エロス」「二階堂夢、VENUS誕生-断トツの視聴数を誇る新星のフレッシュヌード」

「COCO、ソファで泳ぐワタシ-歌手としても活躍する人気グラドル」「井上茉倫、ヌードで三冠王目指します!-新星グラドルがハダカで再出発」

 桐野女史と北欧美女か。北欧と綾瀬はるかでは、ポストは見劣りする。よって現代の勝ち!

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

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もときまさひこ

最終更新:2020/06/23 10:30
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