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モーニングワイドショーレビュー

続く豪雨に再感染激増の新型コロナ、河合夫妻起訴… 問題山積みの中メーガンゴシップを特集する『バイキング』の見識

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一番お騒がせなのは?「坂上忍」

 令和2年7月豪雨災害は現在進行形で続いている。被災された方に心よりお見舞い申し上げます。コロナ禍の中での避難、心労は倍になるだろうと思うと胸が痛みますが、そんなわけで、メーガン妃です。

 えっ、何ですか? ええ、私もそう聞き返したくなりました。

 8日放送の『バイキング』(フジテレビ系)のメイン特集は、この豪雨真っただ中に「メーガン妃がメディアと法廷バトル!」。英・ヘンリー王子の妻メーガン妃と、父親や王室、メディアとの確執を、司会の坂上忍ほか、デーブ・スペクター、おぎやはぎ、南美希子、オンラインで松嶋尚美、英国王室ジャーナリストの多賀幹子らが並んで深堀りしていった。

 特集は「何かとお騒がせのメーガン妃ですが……」と司会の坂上が振って始まったが、まずはそこからお尋ねしたい。今この瞬間、日本でメーガン妃はお騒がせしているだろうか? 8日水曜日。人々の関心は豪雨であり、感染者数が増え続けるコロナであり、河合夫妻起訴であり、目が点になった。

 しかし、こちらの当惑などお構いなしにメーガン妃と父親の確執から深堀りが始まる。メーガン妃、どうやら実父と確執があって騒動となったようだが、それ、2年も前のことだし。その後も色々あってメーガン妃とヘンリー王子は王室を離脱してすべての公務から退いている。

 ほんと、何故、今なんだ? 

 ふと、見ると、次々解説用に登場する写真の幾つかが、「スペクター・コミュニケーションズ」からお借りした、という表示だった。あれこれの解説役もデーブ。もしや、これってデーブ持ち込み企画なの? もし、そうなら『アメトーーク!』(テレビ朝日系)のように、「今回はデーブ・スペクターさんの企画による~」と始めてくれたら、すっきりと明るいおふざけゴシップで盛り上がれるんじゃない?

 すっきりしないまま、番組はひたすらメーガン妃をぶっ叩きまくる。

 メーガン妃に関する「本を読んだんです」という南美希子が「メーガン妃は自分の権力のためにはバッサリ人を斬っていく」とか「義理とか人情とか眼中になく、自分のことしかない」と断罪する。すみません、たった1冊の本の情報にそこまで信頼を置く理由は?

 また、いきなり「英国王室好き」だと告白するおぎやはぎの小木博明が、「(一連の報道は)メーガン妃が仕組んでる」という陰謀論をぶちあげたが、小木ってこんな、陰謀論者でしたっけ? 英国王室ジャーナリストの多賀幹子もメーガン妃がヘンリー王子を「使えるうちは使うでしょう」とメーガン・バッシングに余念がない。多賀先生、経歴を見れば教育がご専門。会ったこともない人について、憶測でそんなこと言うのは、教育上よろしくないのでは?

 メーガン妃と王室の確執には彼女の母親が黒人で、黒人の血が王室に入るのが許されなかったという説もある。BLM(ブラック・ライヴズ・マター)……特集は一切そんなことには触れず、終わった。

和田靜香(ライター)

1965年生まれ。静岡県出身。主に音楽と相撲のライターで貧困問題やフェミニズムにも関心が高い。著書に『スー女のみかた~相撲ってなんて面白い』(シンコーミュージック)、『音楽に恋をして♪評伝・湯川れい子』(朝日新聞出版)、『おでんの汁にウツを沈めて~44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー』(幻冬舎文庫)などがある。

わだしずか

最終更新:2020/07/10 13:10
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