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『フリースタイルティーチャー』ついにバトルスタート! ゆりやんの絶品ビートアプローチ、カミナリたくみのNOコンプラな「枕営業」ディス!?

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『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)

 8月12日に『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)が放送された。ラッパーが芸人をレクチャーする特訓のフェーズは前回で終了。今回からは、いよいよ芸人同士のMCバトル総当たり戦がスタートする。

体重“110kg”を“百獣”の王で踏むゆりやんレトリィバァ

 バトルのルールは、前番組『フリースタイルダンジョン』とほぼ同じだ(判定が全員一致だと即勝利確定となる「クリティカル」はなし)。ジャッジを務めるのは、いとうせいこう、LiLy、AKLOの3人。それにしても、審査員として登場するせいこうとLiLyの姿を見るのは久々である。ダンジョンを思い出して、否応なしにテンションは上がる。

 第1試合はレイザーラモンRG(ティーチャー:輪入道) VS ゆりやんレトリィバァ(ティーチャー:TKda黒ぶち)の一戦。実は、立命館大学卒と関西大学卒の高学歴対決でもある。「輪入道さんと同じにしてきました!」と公開したRGのヘアスタイルは師弟の絆を感じさせたが、それよりもキャップを取ったTKのアフロヘアにびっくりしてしまった。早くも火花バチバチだ。RGが取った戦法は、ゆりやんを自分の妹に見立てたラップだった。

「お前 痩せたことにより 俺の妹ソックリになっちゃってる
 妹ソックリ そして 俺の妹も『ゆり』って言うんだ
 ゆり 今日はゆりだと思ってやらせてくれ」

「お前いつも 俺みたいな奴とミニコントしてくれてありがとう
 お前が でも ミニコントするのはRGじゃねぇ
 海外に行ってジャスティンとやってこい ジャスティン・ビーバーと」

 自分の妹と対話するスタイルを仕掛けるRGに、ゆりやんは全く付き合わない。

「ゆりじゃねぇ 私はゆりやんレトリィバァ
 まさにMIC持って ディーバ
 いいか 今はじゃねぇ
 まさにアクリル板のリモートの時代
 元々あった110の体重 落とし 今じゃ百獣の王
 つまりキング お前は天狗 納めろよ年貢を」

 ゆりやんが上手くてびっくりした。要所要所で声色を変えているし、「妹」を「リモート」で返すアドリブ力も凄い。ちゃんと即興で韻が踏めているのだ。何より、ビートアプローチが素晴らしい。4人の芸人の中で、最もリズム感があるのは彼女だった。

 対するRGは全く韻が踏めていないし(踏もうともしていない?)、相手を全くディスっていない。輪入道の熱い部分を模倣しすぎな気がする。あと、「ゆりやんレトリィバァ」と踏むために言ったはずの「ジャスティン・ビーバー」も、結局は踏まずじまいだった。ただ、RGは2ラウンド目の終盤が光っていた。

「輪入道さんの髪型
 前は刈って 細川たかし
 細川たかし&輪入道
 お前の前にいるのは 細川入道
 演歌とラップ 繋げるのは
 全部架け橋 俺が矢切の渡し
 お前を絶対 闇に放り込む
 ここはHIP HOP界の北酒場」

「演歌とラップ 繋げるのは私」は完全にパンチラインだ。細川入道から北酒場のつなぎもアツい。もしかしたら、「闇に放り込む北酒場」は「墓場」で踏むことができたかもしれない。

 結局、このバトルは覚醒したゆりやんの勝利で終わった。RGを圧倒したと言ってもいい。もしかしたら彼女、どこか小箱のイベントなら優勝できるかもしれない。風格さえ感じさせたほどだ。

ついに下ネタを解禁した紺野ぶるまのフリースタイル

 第2試合は紺野ぶるま(ティーチャー:DOTAMA) VS カミナリ・石田たくみ(ティーチャー:KEN THE 390)という顔合わせ。アンサー型のたくみに対し、ぶるまは「余裕で先攻です!」と必ず先手を取りに行く。仕込んできたネタを存分にたくみへぶつける作戦なのだろう。

 しかし、いかんせん、たくみが上手すぎた。1ラウンド目のビートがNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの「STILL SHININ’」だとわかると「クサレ外道 光浴びて」と歌詞からサンプリングするHIP HOP偏差値は見事! 圧倒的だ。

 2ラウンド目に入ると、遂にぶるまが下ネタを解禁した。

ぶるま 「あんたは【コンプラ】小せぇ カミナリたくみ
     相方のまなぶがいなくて何も出来ないと ここで学ぶ
     どつき漫才は犯罪です」

たくみ 「犯罪じゃねぇ 漫才だな
     何も分かってねぇ ただの女
     お前 言ったな【コンプラ】
     自分にあるものをネタにしろ
     お前がやってんのは 無い物ねだり
     自分にあるものをネタにするのが等身大の自分だろ」

 ツッコミで鍛えたアンサー力を発揮するたくみ。「チンコ小せぇ カミナリたくみ」というディスに「自分にあるものをネタにするのが等身大の自分」と返した箇所はパンチラインだった。そのまま、たくみはツッコミ力を生かしたディスを放ち始める。

たくみ 「分かってねぇな 紺野ぶるま
     運動会みてぇなラップしてんな」

ぶるま 「運動会なら穿いてきた ブルマ」

 自らスカートをまくり上げると、本当にブルマを穿いて来ているぶるま。使えるものは何でも使おうとする姿勢は、まさにフリースタイルだ。ここから繰り出したのは、以下のライムだった。

「どつき漫才 犯罪なら裁判
 私はハンケツ 焦らして その辺の男を傍聴させる」

 ブルマを見せて、半ケツ(判決)で男たちの股間を膨張(傍聴)させるという、ぶるまならではの下ネタパンチライン。彼女お得意のチンコ謎掛け「裁判とかけましてチンコと解きます。その心は、どちらも“はんけつ”想像して“ぼうちょう”するでしょう」からの引用である。芸風を生かしたダブルミーニングは見事! しかし、用意してきたものを出そうとしすぎるきらいもある? 対するたくみの切り返しは辛辣だった。

「ていうか ラップ好きのイメージが全くねぇのに
 フリースタイルティーチャーに出てる理由がさっぱり分かんねぇ
 お前 やってたよな 前の番組の前説 おそらくそれの癒着
 お前がやってんのは 枕営業
 ブルマちらつかせてる お前に明日はねぇぞ」

 エグい。っていうか、「枕営業」にコンプラは入らないんだな……。ツッコミをそのままビートに落とし込むたくみのスタイルは、ボキャブラリーの豊富さも相まって無双状態。ぶるまも頑張ったが、たくみが強すぎた。このバトルは、たくみが勝利した。

 2試合を見て感じたのは、やはりたくみが頭1つ抜けているということ。10年来のヘッズ感がビシビシ伝わってくる。茨城訛りをうまく使えているのもいい。冗談抜きで、「戦極 MC BATTLE」辺りからオファーが来てもおかしくない気がする。

 他の3人も良かった。ぶるまは練習のときより断然うまいし、RGは面白かった。ゆりやんのビートアプローチとアンサー力は素人とは思えないレベル。1カ月の特訓で、こんなに上手くなるものなんだな……。正直、想定していたより遥か上のレベルだった。畑違いとは言え、言葉を商売にしている芸人だから伸びしろが凄い。4人を見ていると、キャラクターの成長を追いかけるスポ根漫画と同じ感慨があった。

 次回のバトルは、ゆりやん VS ぶるまRG VS たくみの2試合だ。同性同士の組み合わせも楽しみ! そして、次々回に行われるであろう一戦、たくみ VS ゆりやんは事実上の決勝戦である。本当は、ティーチャーとスチューデントが組んだ2 vs 2のバトルも見てみたかったが……。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2020/08/18 15:00
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