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NHK大河ドラマ『麒麟がくる』放送再開を待つ間に!

『麒麟がくる』カラフル衣装の謎──大河ドラマ必勝セオリーは『篤姫』にあり?

『天地人』直江兼続が編み出した“色”によるモチベアップ術

『麒麟がくる』カラフル衣装の謎──大河ドラマ必勝セオリーは『篤姫』にあり?の画像2
『篤姫』完全版 第壱集 DVD全7枚(NHKエンタープライズ)

 たとえば『天地人』(2009)の主人公だった直江兼続(1559-1620)のケース。彼がお仕えする上杉家が(すごくわかりやすくいうと)江戸幕府ができると「関ヶ原の戦い」で豊臣家に味方したなどの理由で没落、国替などもさせられ、領土全体が経済難に襲われた時に、直江は農民たちに向け、生産力を上げるためのアドバイス集を書いたといわれています。

 それが通称『四季農戒書』(しきのうかいしょ)です。この中で、直江は「農家の妻たるもの、疲れた男たちに少しでもやる気を出させるため、赤い色に染めた手ぬぐいを頭にかぶって、軽食などの差し入れを男たちが働いている田畑にもっていきなさい」などとわざわざ書いているのです。衣服を赤くするのが難しければ、せめて、カラフルな手ぬぐいを用意しましょうということでしょうね。

 直江いわく、赤い華やかな衣服を着た女性は、それだけで疲れた男たちにエネルギーを与えるのだ……と。おそらく色は赤に限らず、少しでも華やかな色彩の衣服をむしろ積極的に推奨するという考え方だったわけですね。

 今回の「大河」がカラフルな衣装の農民推しなのは(とはいえ、その後、とくに登場した印象はないのですが)、そういう理由もあるのかな、とは思います。

 あとはNHK制作側の「大人の事情」ですね。

 冒頭からかなりの明るさ、カラフルさは、NHKが今でも固執しがちという『篤姫』(08)での成功セオリーの踏襲でもあるのかな、とも思ったりしました。

 明るくキレイな画面の『篤姫』には、「大河」や歴史ファン以外の“女性視聴者”が多く、それが高視聴率にむすびついた……などという話は聞くのですが、はてさて、「女性視聴者」はそんなに単純なものでしょうか。

 などなどと思いつつ、次回は『麒麟~』に感じた筆者の二大違和感のうち、「女性キャラの立膝座り」の問題を考察します!

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『隠されていた不都合な世界史』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 12:12
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