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週刊誌スクープ大賞

安倍政権が歴代最長に…長いだけで何もレガシーのない不思議な政権として歴史に刻まれることに

 今週の1位は、安倍首相に関する病状報道である。

 8月17日に突然、慶應大学病院へ検査のためだと行き、8時間近くも出てこなかった。

 その後は午前中自宅で静養、午後から5時間程度の執務をしていたが、1週間後の24日に、また慶應大学病院へ検査の結果を聞きにと称して、やつれ切った顔で赴いたのである。  

 安倍首相が第一次政権の時と同じように、持病の潰瘍性大腸炎悪化のために辞任するという見方は、確信に変わった。

 その火元はFLASH(8月18・25日号)だった。7月6日の首相動静に小池百合子都知事と面談を終えた11時14分から、16時34分に今井尚哉首相補佐官らが執務室に入るまでの約5時間強、空白の時間があった。この間に安倍首相が吐血していたのではないかという情報が永田町に流れていると報じたのである。

 それをきっかけに波紋はさらに広がった。甘利明税制調査会長が『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)に出演して、「ちょっと休んでもらいたい。責任感が強く、自分が休むことは罪だとの意識まで持っている」「数日でもいいから強制的に休ませなければならない」と発言した。

 さらに、FLASHの「吐血報道」について会見で質問された菅義偉官房長官も、「私は連日お会いしているが、淡々と職務に専念をしている。まったく問題ないと思っている」と回答したが、FLASHの記事については否定も抗議するともいわなかった。

 そんな中、8月17日、突然、安倍首相は定期検査だと称して、主治医のいる慶応大学病院に入ったから、騒ぎはさらに大きくなった。

 半年に1回は診てもらっているというが、前回は6月。わずか2ヵ月での検診が吐血情報にさらに信ぴょう性を与えたのである。

 私は、FLASH発というのがキーポイントだと思う。こうした一国のリーダーの体調に関する情報は、真偽にかかわらず、リークする側に何らかの思惑があることは間違いない。

 だが特定秘密保護法に匹敵するような重大情報を、大新聞やテレビに流せば、大騒ぎになり、安倍首相を含めた周辺が、徹底的に否定するとともに犯人探しに躍起になることは必至である。

 FLASHには失礼だが、ここが書いても、それだけでは大きな騒動にはならない。永田町ではよくやられることだが、アドバルーンをあげて、安倍陣営や世論の反応を見るには格好の媒体だったのではないか。そこにリークした側のしたたかな戦略が感じられるのだ。

 だが、予想外に事態は動き出したのである。自民党、それも安倍に近い議員たちから安倍の容態を心配する声が次々に上がり、安倍自らが、側近の今井尚哉を迎えに来させ、慶應大学病院へ入って8時間近くも出てこなかった。

 文春で首相秘書官の一人がこう呟いている。

「よくよく調べてもらわないと……。実際(安倍首相の身体が)どうなっているのか、分からない」

 官邸関係者も、安倍がこのところ「体調を崩した」「腰が痛い」といっており、「エレベーターの前で壁に手をついたこともある。新型コロナ対応で一月下旬から働きづめなので、疲労がピークに達しているようです」と語る。

 新潮でも、FLASHの内容を裏付けるような証言を、さる官邸関係者が漏らしている。

 7月6日に安倍総理は吐血はしていないが、朝から体調が悪く、「執務室で“クラクラする”と呟き、食べたものを吐いてしまった。その吐瀉物の中に鮮血が混じっていたんです」。やはり新潮で、自民党の閣僚経験者が、「総理は今回、がんの検査も受けました」と語っている。

 文春で慶應大学病院の関係者が、安倍が受けた検査について、こう話している。

「この日、安倍首相は顆粒球吸着除去療法(GCAP)を行ったようです。これは潰瘍性大腸炎がステロイドでは抑えられないほどひどい炎症を起こしているときに行うもの。GCAPの治療は、太い針を刺すので痛みも伴うし、頭痛などの副作用もある。治療後は身体がしんどく、一~二日は休む必要がある」

 その通り、安倍は翌日を休養にあてた。安倍を担当する医師団の一人を文春が直撃すると、「GCAPですか。それをやったか、やっていないかは何とも申し上げられない」と答えている。やはり、持病の悪化というのは間違いないようだ。

 この病気に一番いけないのがストレスである。自身の「桜を見る会」疑惑に対する追及、それに加えて、新型コロナウイルス拡散への対応と、ストレスが溜まる一方だったことは想像に難くない。

 小中高一斉休校から始まり、アベノマスク、「Go To」キャンペーンの失敗で、支持率も30%台を切るところまで落ち込んでいる。その上、夕食は出前の弁当を寂しくつつく孤独のグルメでは、身体だけではなく精神的にも追い詰められているのであろう。

 今月の24日に安倍首相は、大叔父・佐藤栄作を超えて首相在任記録が歴代最長になる。

 長いだけで何もレガシーのなかった不思議な政権として長く歴史に刻まれるであろう。それを機に、月末か9月中には辞任を発表するのではないか。その声しきりである。

 だが、「ようやくか」と喜んでばかりはいられない。新潮によれば、検査の前々日、安倍は私邸で麻生を呼び、そこで、「自分の身に何かあったとき、後は麻生さんにお任せしたい」と伝えたという。

 冗談ではない。われわれ国民は、持病を抱えてもしがみつくかもしれない安倍か、麻生かの「究極の選択」しかないのか。真っ暗闇じゃござんせんか。

 そう考えているのはポストも同様である。否、もっと悪いというのだ。

「安倍首相が入院すれば、いわば、“麻生臨時政権”になるのだ。国民にとってこれ以上の悲劇はないだろう。

 コロナ禍で麻生氏が政府のトップに立てばどんな政治になるか、これまでの言動を見ると容易に想像できる。

 まず、生活支援は見込めない。

 財務相を兼ねる麻生氏はコロナ対策の国民1律10万円の現金給付について、『リーマンショックの時の定額給付金は効果がなかった』『一律支給でやった場合、貯金に回らない保証はあるのか』と反対していた。

 給付決定後も、『手を挙げていただいた方に給付する』と口走り、できるだけ給付を減らすために記入間違いが起きやすい申請方式をとった。“下々”の生活はわからないのだ。

 感染対策も期待できない。第1波の感染者数が減少した6月、麻生氏は日本の死亡率が低いことを『(欧米諸国と)民度のレベルが違う』と誇った。裏を返すと“民度が高ければたいしたことない”と言っているようなもので、この人の発想は『コロナはたいしたことない』と対応が遅れた米国のトランプ大統領やブラジルのボルソナロ大統領とさして違わない。

 その程度の認識の“臨時総理”が指揮をとって第2波の感染拡大を食い止めることができるとは思えない。

 極めつきは、 安倍首相の体調をめぐって記者団に言い放ったこの言葉だろう。

『あなたも147日間休まず働いてみたことありますか? ないだろうね。140日働いたこともない人が、働いた人のこと言ったってわかんないわけですよ」

 体調不良で日帰り検査した安倍首相をかばったつもりかもしれないが、国民の命を預かる総理大臣にはまず自らの体調を維持する責任があり、不休で働くことは、誉められることでも自慢できることでもない。

 総理経験者にもかかわらず、

『総理だからこそ休まなければならない』

 という基本がわからない人物にとうてい政権は任せられない」(ポスト)

 麻生の悲願は1日でもいいから総理に再登板して、前回の総理時代に自民党が選挙で大敗して政権を失った汚名を返上することだという。

 だがポストがいうように、「これから1年間の麻生再登板など国民にはたまったものではない」のだ。

【巻末付録】

 今週はポストだけ。

 袋とじは「マインズVSビースター、ヘアヌード夏の陣 撮影・西條彰仁/小倉由菜、唯井まひろ、天使もえ、戸田真琴」

 あとは「優香先生、教えてください」「ちとせよしの、佐賀のがばいおっぱい」、以上。

 論じることは何もない。現代にもいえることだが、もうヘア・ヌードグラビアを毎週載せるのはやめたらどうか。

 これだけ部数が落ちているのだから、ヘア・ヌードがなくてもあまり部数は変わらないと思う。いいチャンスだ。

 いい写真があれば載せればいい。そうやってメリハリをつけて、ヘア・ヌードもニュースだと考えるべきだと思う。

 まあ、今の両誌では、ニュースはヘア・ヌードしかないのだろうが。

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

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もときまさひこ

最終更新:2020/08/24 21:00
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