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満州引き揚げ者が「焼き餃子」を普及! 本場とは異なる“日本風中国料理”進化のヒミツ

中華合わせ調味料「Cook Do」の逆転現象

 こうした料理テキストと共に家庭における中華料理の普及に大きく貢献したのが、中華合わせ調味料である。

 「1971年に丸美屋が『麻婆豆腐の素』を発売して以降、複数のメーカーが参入しますが、もっとも影響力が大きかったのは78年から販売が開始された味の素の『Cook Do』でしょう。青椒肉絲や回鍋肉など種類も豊富で、これにより家庭で中華料理を作ることに対するハードルがぐっと下がりました。また、開発者の方に話を聞くと、新商品の試作中は常に白いご飯を脇に置いているそうです。つまり、合わせ調味料もご飯のおかずに最適化されており、同時に中華料理を白米という絶対的な主食にアジャストさせるスタイルを強化しました」(同)

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家庭に中華料理を広めた味の素の「Cook Do」。(写真/Getty Images)

 この「Cook Do」が打ち出したイメージ戦略にも興味深いものがある。

 「発売当初は“本格中華”をうたい、テレビCMもいかにも中国っぽい厨房で、中国人らしき料理人が中華鍋を振るようなものでした。しかし、その味はかなり日本人向けにカスタマイズされていた。それが、時代を追うごとに黒酢や花椒を使うなど味はどんどん本格化し、イメージは家庭的になるという逆転現象が起こります。特に2000年代に入ると、男性タレントが家族のために台所に立つようなCMを打ち、男性でも気軽に作れる日本の家庭料理のひとつとして中華料理を位置づけるようになったんです」(同)

 以上のように、中華料理は独自の展開を見せながら日本に定着していったわけだが、その流れの中で1960~80年代に町中華が全国で急増する。

 「この時期に開かれた町中華の特徴のひとつは、そのほとんどが日本人によって経営されていること。これは世界的に見ても珍しく、欧米ではチャイナタウンで中国系の人がチャイニーズレストランを経営するというのが普通です。しかし日本では、どこの町にも日本人が経営する中華料理店がある。これも、中華料理が日本独自の変化を遂げたことの表れでしょう」(同)

 では当時、なぜ町中華の出店が相次いだのか?

 「当時はまだ、今のようにチェーンの飲食店がなかったんです。マクドナルドが銀座に日本1号店を出したのも1971年でしたから。そんな状況下で、高度経済成長期の働き盛りの人たちにとって、安くてお腹いっぱい食べられる大衆的な中華食堂がうまくハマった。さらに、中華料理が日本の外食に特徴的な“定食”というフォーマットに乗ったことも重要。つまり、メインのおかずとご飯があり、汁物(中華スープ)、漬物(ザーサイ)、場合によってはサラダやデザート(杏仁豆腐)も付く。また、店側も新規参入するにあたって和食や洋食ほど敷居が高くなかった面も確かにありました」(同)

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