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【緊急】Kis-My-Ft2「おっぱいドラマ」をめぐる議論 メディア文化論教授が語る“傷ついたファン”とジャニーズ事務所への提言

文=日刊サイゾー編集部(@cyzo

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<目次>

 Kis-My-Ft2のドラマ『快感インストール』が物議を醸している。エイベックスとNTTドコモが制作・運営を行っている定額制動画配信サービスdTVのオリジナルコンテンツとして、キスマイの二階堂高嗣と北山宏光が主演するという同作。

 ストーリーは「恋愛未経験の男性が偶然女性のおっぱいに触れたことをきっかけに、その人物の“快感シーン”を自分にインストールできる特殊能力に目覚める。その能力を使いこなそうと奮闘するラブコメディー」というもの。公開された予告映像では、「たまたま酔っ払ってつまずいたモエちゃんの胸を触っちゃったんだよ。そしたら、電流が体中に走って、モエちゃんがエッチしてる映像が見えた」というセリフや、女性の喘ぎ声、セックス中のような女性の表情が差し込まれていた。

 これに対し、女性の権利やジェンダー平等について蒙活動が行われている昨今の風潮に逆行した作品なのではないかといった意見や、同意のない性的接触を“ラッキースケベ”と解釈するのは性暴力の一種なのではないかという声があがり、「#快感インストールの配信中止を求めます」というタグも生まれ議論はSNS上で拡散していった。

 大手メディアはこの件について扱うことはなかったが、ウェブメディアの「ハフポスト」では同作の問題点について以下のようにまとめている。

「ラッキースケベ」描写、何が問題ですか。太田啓子弁護士に聞いた(12月1日「ハフポスト」より)

 ここでは、作品の問題点を踏まえつつ、Kis-My-Ft2(およびジャニーズ)ファンの戸惑いについて考察し、今後のジャニーズ事務所について発展的な意見を提示できないか、メディア文化論、フェミニズムを専門とする大妻女子大学の田中東子教授と共に考えていきたい。

“フィクションだから問題ない”とは言えない理由

──『快感インストール』本編は4日(金)に配信が始まりました。しかし、予告の段階でかなりの物議を醸したんです。田中先生はこの予告を見て率直にどう思われましたか?

田中東子教授(以下、田中) これ本当に配信するのかな? って思いましたね。メンバーの北山宏光さんが原案を手がけたと大々的に宣伝していますが、これが配信されたらもうずっと「スケベキャラ」のイメージがつきまとうんじゃないかと。「ハフポスト」で取り上げられていた「ラッキースケベ」の描写の問題がまずはあるわけですが、それはあとで触れるとして、SNSで検索するとやっぱりKis-My-Ft2やジャニーズファンの苦悩が目につきます。

──そこなんですよね。私もオタクなのでわかります。やっぱり推しは愛おしいし、何があっても守りたい気持ちは痛いほどわかる。それがこういう形で炎上して、ファンはとにかく悲しいはずなんですよ。それでファンの間でも、二通りいて、ひとつは本当に何が問題なのか理解できないケースです。ジャニーズのファンは10代の若年層も多いですから、そもそもラッキースケベの何が悪いのか本当にわからない、だから推しの作品が炎上した理由も理解できず理不尽に感じている。

田中 そこはもう、順を追って説明するしかないですね。「ラッキースケベ」的な表現はフィクションの世界でこれまで散々用いられてきたものですが、現実世界で体の一部をいきなり触られるという女性の性被害は想像以上に多い。ラッキースケベを“装った”性被害に遭っている人もいる。今回の予告の建て付けだと、制作サイドがそのことをあまりわかっていないように感じます。非常に無邪気というか……。

──私は本編も見たんですが、主人公が初対面のクラスメイトの女性にいきなり「エロい雰囲気をお持ちですね」と声をかけたり、テニスの短いスコートを履いた女性たちの足を階段の下に座って覗き込むといったシーンがあって、ギョッとしました。

田中 予告の「このキャンバスにはおっぱいが大量にある」というセリフもヤバい。女性を人格ではなく「おっぱい」として矮小化して見ることは、れっきとした女性差別。女性の人格を貶める発言です。本編でそのことを内省する展開、それが女性差別であったと主人公が気づくような展開があれば話は別ですが、ただのコメディ的なセリフなのだとしたら、その視点はまずいぞと。

──こういう議論が起こる際に必ず「フィクションだからいいじゃないか」「現実とフィクションを混同するな」という意見があがります。

田中 ドラマや映画が現実じゃないのは、誰しもがわかっていることです。だけど、人が世の中をどのように見るか、男性が女性をどのように見て、どのように扱っていいか、という“ビジョン”がフィクションによって形作られていく部分はあるでしょう。そういう意味で映画もドラマもマンガも、現実社会と無関係とは言えない。だからこそ、コンテンツにはレイティングシステムというものがあるわけですし。

──フィクションが世相に影響するケースがあるからこそ、これまであったまずい表現はもうやめて更新していこうという話なんですよね。もちろん表現の自由というのはあります。でもそれは“ルールに則った上での表現の自由”です。例えば、今回の『快感インストール』がR18のレイティングを採っていたなら、ここまで問題視されなかったでしょう。しかし、幅広いファン層に向けて公開する内容としては相応しくなかったのかもしれません。

田中 ファンを含め、このドラマを問題視している人たちの総意は「エロい番組を作るな」ってことじゃないんです。「女性=おっぱい」のようにただのパーツとみなす作品ではなく、真正面から女性やエロ表現に向き合って作ればそれ相応のものができると思うんですけどね。

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