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絶賛公開中! 映画『無頼』公開記念対談

井筒和幸監督の新作で松本利夫(EXILE)が「人格崩壊寸前」の熱演! アウトロー映画『無頼』が描く、戦後の成長と歪み

文=長野辰次(ながの・たつじ)

映画『無頼』が1956年から始まる理由

──主人公・井藤正治を演じてみて、気づいたことは?

松本 この映画『無頼』が伝えたいことになると思うんですが、生まれた時からひとつの道で生きるしかなかった男の物語なんだなということですね。今の僕らは選択肢のある世の中を生きていますが、この映画の主人公には生きていくための道はひとつしか残されていなかった。その道で生き残るために、1日1日体を張り続けた。泥水をすすってでも生きていくという男たちの生き様が昭和という時代にあったことを強く感じましたね。

井筒 この物語は1956年ごろから始まるけど、なぜかというと経済白書で「もはや戦後ではない」と発表された年だったから。太平洋戦争が終わって、日本中に民主主義が広まった。朝鮮戦争でずいぶん儲かりました、極貧者はもういません。あとはみんなで平和な社会を築きましょう、と体制側は公言したわけですよ。ただ、それはウソだよ。当時、僕は4歳だったけど周りはみんな、まだまだ貧乏だったよ。魚肉ソーセージを食べるのがやっとだった。それで作中にも、主人公の少年時代に、ソーセージを食べたがるエピソードを入れたんです。血を売る人もいたし、僕が中学生の頃は、パンツのゴム紐を売りにくる大学生もいた。学生帽を被って学生服を着ているけど、苦学生を装った偽物だよ。中学生の俺でも偽物だと分かった。でも、うちのお母(か)んは偽大学生から、わざわざゴム紐を買ってた。お母んも分かっていて、買ってたんでしょう。職のない奴は、ゴム紐を売り歩くくらいしかなかった。

松本 ゴム紐売りは、さすがに見たことないですね。

井筒 なんでゴム紐売りの話をしたかというとだね、気になっていたことを書き記したメモを撮影中はもう使わないなと思ったら、どんどん捨てていくんです。「ゴム紐売り」と書いたメモだけ、撮影最終日までずっと残っていた。本当は、ゴム紐売りは偽大学生だと見破った主人公が、そいつからお金を奪い取るシーンをどこかに入れたかった。お金のない者同士が、お金を取り合う様子を見せたかった。

松本 主人公は少年時代に、自宅の屋根の銅板を外して売ってますけど、銅板って売れたんですか?

井筒 銅板(アカ)売りというのがいたんだよ。道に落ちてる銅板を集めて、金屑屋に売るとけっこうな値段になった。銅板がその辺にあったというのも、時代を感じさせますよ。今の分別回収されたキレイな街とは違ったからね。そういう極貧生活者がいたことを知らしめたかった。今の人は、知らないでしょ? でも、今の若い子たちも欲がなくて慎ましいよなぁ。うちらの世代は欲の向くまま、贅沢もさせてもらったけど、今の若い子たちは生まれた時からずっと贅沢できていない。「今日は牛丼を一杯食べたので十分です」とかさ。スタッフルームにいた若い子に「もっと食べろよ」と言っても、「ピザを一枚いただいたので大丈夫です」と遠慮するし、「飲みに行くか?」と誘うと「いや、もう帰ります」と。EXILEのメンバーは気合いの入った生活を送ってると思うけど、今の若い奴らはスタッフも役者も慎ましく暮らしてますよ。

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