
井筒和幸監督の新作で松本利夫(EXILE)が「人格崩壊寸前」の熱演! アウトロー映画『無頼』が描く、戦後の成長と歪み
EXILE 井筒和幸 無頼 松本利夫

閉塞的な社会にパッチギ(頭突き)をかまそうとする若者たちを主人公にした『パッチギ!』(05年)、メガバンクに眠る金塊の強奪を企てる男たちのロマンを描いた『黄金を抱いて翔べ』(12年)など、骨太なエンタテインメント作品を放ってきた井筒和幸。そんな井筒監督が、ダンス&ボーカルグループ「EXILE」の松本利夫を主役に迎え、異色タッグとして送り出したのが、上映時間2時間26分の大作映画『無頼』だ。日本の戦後昭和史を、アウトロー視点から描いた異色かつ刺激的な大河ドラマとなっている。いわゆる“ヤクザ映画”に初めて挑むことになった2人が同作品の舞台裏を語った。
井筒 ソーシャルだ、アフターコロナだとか、世間はガタガタうるさいな。コロナはワクチンができれば、コロッと元に戻るよ。科学の力は大したものだから。それなのに今の日本は、コロナ感染者を叩いたり、感染拡大地域に出入りする人を色眼鏡で見たりと、冷静さを失い、人を気遣う優しさがまるでない。そんな社会だからまた差別が生まれるし、差別社会が今回の作品でも描いたヤクザ者たちを生み出しているんだよ。
松本 井筒監督は不良ものは撮ってますけど、実はアウトロー映画は撮ってなかったんですね。
井筒 それもあって、ちゃんとしたヤクザ映画を撮っておきたかった。『ゴッドファーザー』(72年)や『仁義なき戦い』(73年)を観て育った世代だしね。ヤクザ映画はずっと撮りたかったけど、ちゃんと調べないといけないので時間がかかった。猪野健治さんの『やくざ戦後史』(ちくま文庫)はすごく勉強になった。昔、角川映画で『二代目はクリスチャン』(85年)なんていう、教会のシスターがヤクザと結婚するなんて作品も撮ったけど、あれはドタバタコメディだったからね。原作者のつかこうへいさんに怒られるけど、荒唐無稽なお話。好きで撮ったわけじゃないよ。
松本 『二代目はクリスチャン』も面白かったですよ。
井筒 監督として名を売ろうとしていた頃だったからね。引き受けたからには「よっし、やったるか!」と気合いを入れて撮ったよ。『ゲロッパ!』(03年)もやはり、ヤクザもののコメディだった。物語の背景として、1978年に京都のキャバレーで起きた「ベラミ事件」もあって抗争が続く中、子どもの頃に別れた父娘(西田敏行、常盤貴子)が25年後に再会するソウルコメディにしたからね。真面目なヤクザ映画は今回が初めて。
──松本さんは、井筒監督作品はよくご覧になっていた?
松本 リアルタイムで観たのは『パッチギ!』からですが、そこから遡って『ガキ帝国』(81年)から井筒作品はほとんど観ています。
井筒 『ガキ帝』を撮っていた頃、木下ほうかはまだ16歳だった。あいつ、暴走族に入っているヤンチャな高校生だった。マスクしてオーディションに来ていたらから、「おい、風邪を引いてるのか?」と尋ねたら、「いつも、こんな感じで……」と。それで通したんだよ(笑)。
──木下さんは『無頼』にも重要な役で出演。40年近くにわたって、井筒作品に出演しています。
井筒 そうなるね。まぁ、2カ月も一緒に映画を作っていると、スタッフもキャストもみんな、自分の身の振り方を考えるようになる。がむしゃらになって映画を一本撮ると、それぞれ学ぶわけだ。自分には映画の世界は向いてないと感じた者は去っていくし、やりがいを感じた者はその後も続けていく。「こんなヤンチャなやつ、これからどうすんだろう」と木下ほうかは気になっていたけど、あいつは『ガキ帝』の後は大阪芸大に入り、役者の道に進んだからね。
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