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『フリースタイルティーチャー』紺野ぶるまVS恋汐りんご、エモすぎる“アイドルバイブス”!

恋汐りんごのレッスンはいつもエモい!

 ここからは、“アイドル組”のレッスンを振り返りたい。まずは、えいたそこと成瀬瑛美(でんぱ組.inc) & KEN THE 390のペアから。

 今回、ケンザが指導したのはリズムアプローチについてだった。スローなビートの時にカッコよく倍速で乗りこなすテクニックだ。しかも、ケンザは成瀬に3連譜をやらせようとする。いくら何でも、それは要求レベルが高いか……。いや、大丈夫なのだ。3連譜に成瀬は速攻で適応した。これは凄い! 彼女は本当に難易度の高い事をやっている。そう言えば、でんぱ組.incにはアップテンポの曲が多い。そこを踏まえてのレッスンだとしたら、ケンザの有能さには脱帽である。さらに、この人は説明も抜群に上手い。

「このリズム(3連譜)に当てると、1個も韻を踏んでなくても『おっ、凄ぇ!』ってなるじゃないですか」(ケンザ)

 確かに……! 納得のティーチングだ。まるで、教則ビデオを観てるのかと思うほどの分かりやすい説明。つまり、このペアは有能なティーチャーと有能なスチューデントの掛け合わせだという事。満足度の高いレッスンを成し遂げたケンザは喜びを隠さなかった。

「(成瀬は)飲み込みが早くて、教え甲斐がありますね。(レイザーラモン)RGさんと比べると、飲み込みメチャクチャ早いなと思って(笑)」(ケンザ)

 ケンザがなぜか、突然のRGディス! その正直すぎる吐露には笑うしかなかった。RGには気の毒だが、『フリースタイルティーチャー』史上1番笑った。跳ねるようにラップする成瀬の躍動感は、確かにRGにはないものだ。成瀬はかなり優勝に近い位置にいると思う。

 最後は、恋汐りんご(バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI) & TKda黒ぶちのペアについて。シーズンが始まったばかりの頃、メンバーに恋汐が選ばれた理由が筆者にはよく分からなかった。ラップ未経験だし、番組と親和性がなさ過ぎる。しかし、次第に惹かれていった。頑張る姿を見ているうちに、気になる存在になっていたのだ。

 今回はTKティーチャーも助っ人を呼び寄せていた。「スーパー最適な先生を特別にお呼びした」という煽りで登場したのは、TKの指導で1st seasonを優勝した紺野ぶるま! 恋汐と本番さながらのバトルをしてもらうため、ぶるまパイセンを呼び寄せたという事だ。確かに、これほど最適な練習相手は他にいないだろう。いざバトルが始まると、ぶるまは鬼のような強さを見せた。

恋汐  「そのパンダの服 全然意味分かんないけど
     そんな服より 汐のこの チェックの方が可愛いからCheckして」
ぶるま 「パンダっていうヒント パンダ乱射反乱者半端パンプアップとか
     いっぱい韻踏めるのに1個も踏まねぇな
     この1カ月 何やってたんだよ 恋汐りんご」

 もしかしたら、1st seasonの頃より強くなっているんじゃないか!? 心なしか、ディスの角度がDOTAMA譲りなのも奥深さを感じさせる。当然、TKの判定はぶるま勝利だ。

「これは理由があります。決定的なところでぶるまさんの方がしっかりディスをしてました。言葉を刺しに行き、核心を突いていた。汐りんさんは相手の言う事にしっかりアンサーしてるんですけど、ディスの内容が甘かった。だから、ぶるまさんに入れました」(TK)

 その後、恋汐はぶるまに9連敗を喫した。しかし、以下のディスを喰らった事でついに彼女の魂にスイッチが入る。

ぶるま 「埃まみれのアイドル だけどここで一旗揚げるんだろ
     毎日動画撮ってる? そんなの当たり前だよ
     全員やってんだよ それくらいじゃ勝てねぇぞ」
恋汐  「埃まみれでやってきた 今までアイドルやってる
     だからそれを貶すのは絶対に許さない
     汐のプライド高いとか さっき言ってたけど
     それがアイドルとして ちゃんとやってきたから言える事 
     汐がNO.1」

 初めて、恋汐の素が見えたバトルだったと思う。文句なし、恋汐の判定勝ちだ。

「凄い良かったです。汐りんさんは『私はアイドルとしてやってきたからプライド高いって言われてもOK。私がNO.1』で締めた。主義主張がアンサーに凄い込もってたんで、りんごさんを選びました」(TK)

 初勝利を果たした恋汐は泣いてしまった。「ディスの内容が甘い」とTKにダメ出しされたものの、相手をディスるのではなく主義主張をしっかり出す形で勝利を収めた。「ディスをせずに己を貫けた」という意味の涙に見えたのだ。相手は貶めず「私のほうが凄い!」という角度で勝負するのが彼女流だ。いくらディスられてもアイドルとしてのプライドを貫く芯の強さ。恋汐の武器はアイドルバイブスである。

「勝ちたい……なんか、どうしようもなく勝ちたくて。今日、すごくいいレッスンができたので、それを元にして自分が自信をちょっとは持てるくらい頑張りたいなと思いました」(恋汐)

 恋汐のレッスンは毎回エモい。彼女のプライドの高さは注目である。

 今夜の放送から、いよいよ総当たり戦がスタートする。正直、アイドル編が始まった時は期待していなかった。でも、かなり面白くなりそうだ。参加者それぞれのラップスタイルが全く異なるし、どのアイドルもファンは増えると思う。

 あと、勝つためにプライドを捨てる者と、勝つためにプライドを貫こうとする者の2タイプに分かれたのが興味深い。もちろん、どちらも正解だ。皆、所属ユニットの看板を背負って参加しているだけにプレッシャーは大きいはず。激しい戦いになるだろう。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/12/22 17:00
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