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紅白で見たい、黒柳徹子のHBB「ツ、ツ、ツ、ツツ、チュ~」

松本人志「定義をあえて設けることでその定義を裏切ることが漫才なんですよ」

 あれは漫才ではない。そんな声が少なからず上がった20日の『M-1グランプリ2020』(テレビ朝日系)。野田クリスタルがステージ上を七転八倒し、それを村上がツッコミ続ける漫才を披露したマヂカルラブリーの優勝には賛否両論が巻き起こった。いや、実際に賛否両論があったのか、メディアがそんな構図を作ったのかはよくわからないのだけれど。

 その日一番面白い漫才師を決める大会なのだから、“漫才らしい”かどうかは脇に置いといてもいいじゃない、とは思うけれど、M-1の結果に対してはいつだって異議申し立てが起こるもの。ミルクボーイがあまり異論なく優勝した2019年のほうがイレギュラーだったのかもしれない。なにより、私自身もM-1が一旦休止になるまでのいわゆる第1期(2001年~2010年)のころは結果に憤慨していたことがよくある気がするので、人のことはいえない。

 そんな中、M-1で審査員を務めた塙宣之が、ナイツとして26日の『爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭り』(テレビ朝日系)で奇妙な漫才を披露した。バンダナを巻いて手袋をつけた姿でセンターマイクの前にやってきた塙。当然、相方の土屋伸之がツッコミを入れ、塙はそれらのアイテムを外すことになる。さらに、塙の腰回りが少し大きくなっていることに気づいた土屋。指摘を受けた塙がしぶしぶズボンを脱ぐと、そこにはおむつが。で、シャツを脱ぐとブラジャーが。上半身はブラジャー、下半身はおむつだけの姿になった塙に土屋がツッコむ。

「絶対M-1の審査員辞退しろよ」

 さらに翌日、27日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、松本人志が「あれは漫才ではない」という声を受けこんなコメントをしていた。

「漫才の定義っていうのは基本的にないんです。いや、定義はないんですけど、定義をあえて設けることでその定義を裏切ることが漫才なんですよ。だから定義はあえて作るんですが、これは破るための定義なんですよ」

 なるほど、「あれは漫才ではない」に対して「漫才に正解はない」という声があがるは当然だ。けれど、「漫才に正解はない」が完全に受け入れられた世界では、マヂカルラブリーのような漫才は面白さが半減するのだろう。

 定義をあえて設けながらそれを裏切っていく。松本が語り、ナイツが実演した漫才の本質のようなもの。そんな止まることなく動き続ける運動体としての漫才を見ながら、私たちはそれぞれの場所から「あれは漫才ではない」と語ったり、「漫才に正解はない」と語ったりするのだろう。いや、漫才に語らされているのだろう。

 なにはともあれ、黒柳徹子と滝沢カレンのヒューマンビートボックスの後ろで踊るフジモン太夫、その脇で、スーツの下はブラジャー&おむつの塙が審査員席に座っていてほしい。

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