産業医と映画Pの配信作品批評「ネフリんはほりん」#3

「鬼滅=歌舞伎」説! 劇場版ヒットで判明したストーリー消費のパラダイムシフト

文=伊丹タン(いたみ・たん)

「鬼滅=歌舞伎」説! 劇場版ヒットで判明したストーリー消費のパラダイムシフトの画像1
歌舞伎顔。(『鬼滅の刃』公式サイトより)

 サブカル好き産業医の大室正志とB級映画プロデューサーである伊丹タンが、毎回ひと
つのVOD作品を選んで、それぞれの立場から根掘り葉掘り作品を掘り尽くす本連載。

 今回は、年末の配信回ということで、2020年の国内映像業界を独占する話題、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の超メガヒットについても語った。

劇場で感じた違和感の正体は……?

――おふたりは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は見ましたか?

大室 見ましたよ。映画館に行きました。

伊丹 僕もアニメの序盤を少し見た程度の知識ですが、映画館に行きました。大室さんはどうだった?

大室 “映画館で観るという作品”という意味でいうと、なにか最後まで違和感がついて回ってきて……。その違和感の正体というのが、ひとつは漫符の表現。いわゆる走るときは下半身がうずまきになったりするマンガ特有の表現で、我々はそれを理解してるから。ギャグシーンで急に2頭身になっても違和感を持たないで済む。ただこれってマンガの表現だからテレビアニメ化する際にやや減り、劇場アニメだとさらに減るというのが今までの通例でした。

 でも本作では、それがすごく散見される。制作会社(ufotable)はアニメの時から一貫して、原作を忠実に再現してるからそりゃそうなんだけど。逆にエヴァンゲリオンなんかは漫符をほとんど使わないから、普段アニメを観ない層にも違和感なく受け入れられた部分はあると思う。このような表現を多用すると、いわゆるオタクアニメっぽくなるので。もちろんそれが悪い訳ではないんだけど、それは好事家達のためのややマイナー競技で、大ヒット狙いの時はそういったテイストをやや薄めるものだとばかり思っていたので、マンガの世界を忠実に表現したものを大画面で見せられる不思議さがあった。

伊丹 局地的に人気になったアニメの劇場版なら使われることもあっただろうけど、ジブリや最近の新海誠作品のように社会現象になるタイトルではほぼ見られないもんね。

大室 もうひとつは“劇場版らしさ”がないこと。例えば『ドラえもん』の劇場版だったら、のび太の服の色が黄色から緑に変わったり、ジャイアンがいいやつになっていたりと、ここは“いつもの世界”ではないことを何かで明示するでしょ。

伊丹 そうすることで、この作品はいつもの作品世界みたいな終わりなき日常じゃなくて、映画ならではの一致団結して何かを成し遂げる世界なんですよ、とアピールできるからね。

大室 『ドラゴンボール』でも何でも、人気のあるアニメの劇場版って、やっぱりちょっと普段とは違って、どこか襟を正すところがある。でも『鬼滅の刃』は、そんなのは皆無だったよね。アニメの続きを映画館の大画面で流す。だから我々がイメージしている劇場版アニメ(=映画)じゃないんだよ。

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