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ワクチン接種開始も…新型コロナ“変異種”といたちごっこに?

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

ワクチン接種開始も…新型コロナ変異種といたちごっこに? の画像1
写真/GettyImagesより

 国内でも、新型コロナウイルスの変異種への感染が見つかり、連日、報道されるようになっているが、英国で見つかった変異種が米国で“急激”に感染拡大しているとの共同研究が1月7日に発表され、話題となっている。その上、WHO(世界保健機関)が変異種にはワクチンの効果が低い可能性について警鐘を鳴らしている。

 この共同研究は英BBCが取り上げたもので、未発表の研究資料を掲載する「MedRxiv」に投稿された。ただし、査読(専門家などによる検証作業)は行われていない。

 共同研究によると、従来の新型ウイルスよりも感染力が強いこの変異種は、米国での新規感染報告の割合が9日ごとに2倍に増えているという。この変異株は米国の従来種の新型コロナウイルスと比べて感染力が35~45%高いという。

 その上で、「変異種による感染の大半を占めるようになった各国と似た傾向が米国でも見られており、感染率と死亡率を最小限に抑えるために直ちに断固とした対策が必要だ」と指摘している。

 CDC(米国疾病対策センター)は、3月までにこの変異株がアメリカでの感染の大部分を占めることになるだろうと推測している。

 この変異種は現在80カ国以上で確認されており、日本でもNIID(国立感染症研究所)
が「感染性が増加している可能性があることから、まん延した場合には、従来と同様の対策では、これまで以上の患者数や重症者数の増加につながり、医療・公衆衛生体制を急速に圧迫するおそれがある」と警鐘を鳴らしている。

 厚生労働省も新型コロナウイルスの変異種について、「英国や南アフリカ共和国において報告された変異した新型コロナウイルス感染症(変異株)」の感染者情報を発表している。

 筆者は、当サイト2020年11月12日配信の「新型コロナワクチン開発が前進も『欧州で猛威を振るっているのは変異種』治療薬が効かない可能性も」https://www.cyzo.com/2020/11/post_258329_entry.htmlで、欧州で新型コロナウイルスの変異種が発生し、感染が急速に拡大していることを取り上げ、せっかくワクチンや治療薬が開発されても、効果が低い可能性に言及した。

 この危惧がどうやら現実味を帯びてきている。

 WHOは2月9日付の報告書で、南アフリカ、ブラジルに続いて英国の変異ウイルスでも、ウイルスを攻撃する抗体から逃れる、いわゆる「逃避変異」と呼ばれる変異が確認されたと発表した。

「逃避変異」したウイルスは抗体の働きを弱めるため、ワクチンの効果にも影響を与えるおそれがあると指摘している。

 米モデルナは1月25日、同社のワクチンの変異種に対する効果を調べた結果、南アフリカで見つかった変異株では中和抗体の産生量が従来型に比べて6分の1に減少したと発表している。この南アフリカ型の変異種は、すでに日本国内でも感染者が出ている。

 すでに各国で接種が始まっている新型コロナワクチンでも、変異種に対する効果が低いとの臨床試験の結果も出ている。こうした状況に対して、ワクチンを製造している米ファイザー、米モデルナ、米ジョンソン&ジョンソン、独ビオンテックなどの製薬メーカーでは、変異種に対応するためにワクチンのバージョンアップを進めている。

 しかし、新型コロナウイルスは次々と変異種が生まれており、ワクチンのバージョンアップとの“いたちごっこ”になりつつある。その上、ワクチンが変異種の対して効果があったとしても、その効果がいつまで続くのかという点は明確になっていない。

 もし、ワクチンの効果が3カ月や6カ月しか続かないようであれば、年に数回のワクチン接種が必要になる可能性が出てくる。

 新型コロナウイルスという未知のウイルスとの戦いは、当分終わりそうもない。

鷲尾香一(わしお・こういち)

鷲尾香一(わしお・こういち)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」ほかで執筆中。

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Twitter:@tohrusuzuki

最終更新:2021/02/13 21:00

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