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インド映画『WAR ウォー‼』爆発×ダンス×男の因縁! 後先を考えない“起転転転転結”の痛快脚本

文=加藤よしき(かとう・よしき)

──劇場か、配信か。 映画の公開形態はこのどちらかに偏りつつあるが、その中間が存在していることを忘れてはならない。YouTubeやVODで見られる劇場未公開、あるいはひっそりと公開が終わってしまった傑作を加藤よしきが熱烈レビュー!

インド映画『WAR ウォー‼』爆発×ダンス×男の因縁! 後先を考えない起転転転転結の痛快脚本の画像1
この連載で2度目の登場! インドの大スタータイガー・シュロフ。日本の俳優だと岡田将生と同い年です。(Getty Imagesより)

 今、巷を騒がしている「戦狼外交」という言葉がある。中国の強気な外交姿勢のことだが、この語源は映画『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』(2018年)という1本の映画である。

 アクションスターのウー・ジンが監督・主演を務め、“戦狼”と呼ばれるエリート軍人がアフリカで功夫(カンフー)を武器に悪党どもをブチのめす痛快娯楽作品で、中国で大ヒットした。この強く頼もしい“戦狼”になぞらえて「戦狼外交」という言葉が生まれたのである。こんなふうに映画が現実に影響を及ぼすことがあるのだ。

 そして私は、そろそろインドで「タイガー外交」という言葉が生まれるのではないかと思っている。というのも、このウー・ジンに勝るとも劣らないアクションスターがインドに存在し、現に大ヒット作を生んでいるからだ。今回ご紹介するのは、以前に紹介した『タイガーバレット』(2018年)でも大暴れしていたタイガー・シュロフの作品であり、同年のボリウッドの映画興行成績で1位を獲得した大ヒット作『WAR ウォー‼』(2019年)である。この映画は社会を動かすほど景気がよく、勢いがあり、問答無用で面白い。

 インドの特殊工作員、カビール(リティク・ローシャン)が、突如としてインド政府の要人を暗殺した。国家に忠誠を誓ったはずの真の軍人であるカビールの裏切りに、インド政府は動揺するが、とにかくカビールを一刻も早く粛清しなければならない。そしてカビール追跡に名乗りを上げたのが、カビールの愛弟子であり、カビールも認めた真の軍人・ハーリド(タイガー・シュロフ)だ。カビールとハーリド、2人には海よりも深い因縁と、男同士の熱い絆があった。ハーリドは初めてカビールと出会った日に想いを馳せる。

 あれは2年前のこと……。出会いは最悪だった。何せハーリドの父親は、国家を裏切ってカビールを撃った挙句に、カビールに殺されていたのだ。カビールから見れば、ハーリドは裏切り者の息子。ハーリドから見れば、カビールは父親を殺した男。お互いに信頼度0%だったが、しかしハーリドは懸命に訴える。「父が裏切り者だと密告したのは、オレの母親です。オレにはそんな母の血も流れている。だから、どうかオレを信じてください……! オレに、名誉挽回のチャンスをください!」真の軍人であるカビールは器も大きい。懸命に訴えるハーリドに、作戦参加を許可するのであった。

 カビールの部隊が向かったのは、テロリストの討伐だ。真の軍人であるカビールは、リスキーな作戦にでる。自分を囮にするために、あえてテロリストに捕まったカビール。そしてカビールは、筋肉が絶妙にチラ見する不自然なほどセクシーに破れた服で拷問を受ける(※書き忘れましたが、リティク・ローシャンさんもタイガー・シュロフさんも、冗談のように男前でスタイルが良くて筋肉がムキムキです。あまりの筋肉に、基本的に着ている服が悲鳴を上げています)。

 そしてテロリストが集結しているところに、ハーリドが『エクスペンダブルズ2』(2010年)を完コピしたスタイルで突撃してくるのであった。ハーリドとカビールは力を合わせ、遂にテロリストの親分をやっつける。命を賭けた作戦は成功に終わり、2人は互いを認め合った。チームでクラブに繰り出し、「シヴァ神万歳~♪ ワイルドな雰囲気~♪」と大いに歌い、キレキレのダンスで親睦を深める。(以下のYouTube動画は必見)

 そんな真の軍人であるはずのカビールが国を裏切って、テロ行為に走っている。信じがたい事実にSee-Sawの「あんなに一緒だったのに」が流れてきそうな雰囲気になるハーリド。しかしカビールの凶行は止まらず、要人暗殺の次は軍用機を空中爆破。スケールのデカいテロ行為で国家を危機に陥れるカビールを倒すため、ハーリドは遂に立ち上がる。かくして2人の男の壮絶なWAR(戦争)が始まるのであった。

 結構ストーリーを書いてるじゃねぇかと思ったそこの貴方、心配ご無用である。これだけでまだ全体の5分の1程度、前振り部分を書いただけにすぎない。本作はインド映画なので上映時間は151分と結構長めである。そうなると今度はダレるんじゃないか? と思ったそこの貴方、それも心配無用。本作は一瞬たりともダレる瞬間がない。絶対に観客を退屈させてなるものかと、とにかくあの手この手で観客の目を奪おうとする。信じられないほど金がかかっており、爆発しそうなものはだいたい爆発する

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