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クリストファー・ノーランがコロナ禍の劇場に闘魂注入! 2020年この映画がすごかった3選

文=加藤よしき(かとう・よしき)

──2020年は新型コロナウイルスに振り回される一年だったが、それでもエンタメ業界は暗いムードの世間を盛り上げようと奮闘していた。ここではさまざまな分野の識者に、今年特に熱かった作品を総括してもらう。ここでは、映画ライターの加藤よしき氏に映画作品3本をあげてもらった。

クリストファー・ノーランがコロナ禍の劇場に闘魂注入! 2020年この映画がすごかった3選の画像1
『TENET テネット』公式サイトより

 世界的な疫病の蔓延、今なお混迷を極めるアメリカ、回復の兆しすら見えない日本経済、皇室を混乱させる謎の男……ロクなことがない1年でしたが、映画業界もロクなことがありませんでした。特に僕のような超大作アクションが大好きな人間としては、2020年はつらいの一言に尽きる1年です。

 ですが、そんな逆境の中でも世間を騒がせた話題作や、個人的に「やっぱ映画って素敵やん」と素直に思える映画に何本か出会えました。今回はその中から3本の映画をご紹介したいと思います。

ノーラン、映画館に闘魂注入『TENET テネット』

クリストファー・ノーランがコロナ禍の劇場に闘魂注入! 2020年この映画がすごかった3選の画像2
クリストファー・ノーラン

 冒頭にも書いた通り、今年はコロナ禍の影響で新作が軒並み上映中止になりました。仕方ないのはわかります。映画は客が入ってナンボの商売です。特に巨額の予算をブッ込んだ超大作ならば、人の集まらないタイミングでの公開を控えるのは当然でしょう。とはいえ、それは制作会社レベルのお話で、映画館的には新作が来ないのは死活問題です。何しろ映画館をマトモに開けることもできないうえ、開けたとしても話題作が無いのですから。そんな中、ほとんど玉砕覚悟で公開に踏み切った超大作が、クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』です。

 今年の春、ちょうど世界中で外出禁止令が出た頃に、ノーランは映画業界への支援を訴えるコラムを発表しました。ここでノーランは映画は映画館あってのものだとして、「映画監督として、私の仕事は彼らのような劇場で働く人々や彼らが迎え入れる観客なしに成立することはないと考えている」と、劇場への支援を訴えました。このコラムの存在を念頭に置いたうえで、自身の監督作を興行的に不利な状況で劇場公開に踏み切ったと考えると、ノーランの闘魂が浮かび上がってくるようです。(出典:「クリストファー・ノーラン、エドガー・ライトなど、映画監督が「 映画館を救おう!」と寄稿」MOVIE WALKER PRESS)

 さまざまな制約がある状態での公開ですし、映画の内容が非常に複雑だったこともあって、狙い通りの大ヒットにはなりませんでした。しかし、久々の話題作に劇場が湧いたのは事実です。僕自身、数カ月ぶりに劇場で本物の飛行機を爆破するなどの一大スペクタクルを体感できたのが忘れられません。大画面と大音響、ブチ上がるエンディング曲、そして複雑な話ゆえの、館内が明るくなったときに観客全員が「?」に包まれていた一体感。まさに映画館で映画を観る醍醐味が詰まった作品でした。ありがとう、ノーラン。今はただそう伝えたいです。

MCU組、Netflixで大暴れ『悪魔はいつもそこに』

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『悪魔はいつもそこに』(Netflix公式サイトより)

 劇場がコロナ禍で危機に陥る一方、配信サイトは本格的に戦国時代に突入しています。Netflixの一強状態が続いていたのですが、今年になってから『スターウォーズ』やMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)などの人気シリーズを抱え込んだDisney+が猛烈に追い上げてきた印象があります。何せ天下のディズニーなので、既存作品の知名度では他の追随を許しません。

 そんなDisney+に対してNetflixは「家族向けのお前らにはマネできまい」とばかりにダーク&ヴァイオレンスな作品を連発。そんな中で個人的に最もDisney+を意識している感、「家族向けのお前らにはマネできまい」感を覚えたのが、『悪魔はいつもそこに』でした。

 主演のトム・ホランドはMCUの『スパイダーマン』、助演のセバスチャン・スタンは『キャプテン・アメリカ』のバッキー役で有名です〔MCUのライバルであるDC映画『THE BATMAN』(2022年公開予定)でバットマンを演じるロバート・パティンソンも出演!〕。どちらもMCUでヒーローを演じているわけですが、こちらでは荒み切った役に挑戦しています。

 舞台は1960年代、まだ多くの人々が第二次世界大戦のトラウマを抱えて生きるアメリカの片田舎。悲惨な家庭に育ったトム・ホランドが、大切な妹とちっぽけな幸せを守ろうと頑張るも、ドぐされ牧師、汚職警官、流浪の猟奇殺人鬼などが襲ってきて……という救いが1ミリもないお話です。トムホさんはスパイダーマンで見せたコミカルな演技から一転、悲惨な境遇で鬱々とした日々を暮らす青年を熱演しました。セバスチャン・スタンは体重を大幅に増やして、バッキーとは完全に別人の汚職警官になりきっています(初見では本気で別の俳優だと思ったほどです)。

 Disney+という巨大企業が本格的に参入してきた以上、配信業界が「ディズニー的なもの」と「ディズニー的でないもの」、この対立を主題としていくのは間違いないでしょう。『悪魔はいつもそこに』で「ディズニー的なもの」で名を馳せた役者たちが「ディズニー的でないもの」を全力で演じる姿からは、そんな時代の到来を感じました。

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