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VODで観たい映画レビュー「劇場と配信のあいだ」

アマプラで観られる鬼作! 『ランボー』なインド映画『タイガー・バレット』からほとばしるaiko的「好き」の極み

文=加藤よしき(かとう・よしき)

アマプラで観られる鬼作! 『ランボー』なインド映画『タイガー・バレット』からほとばしるaiko的「好き」の極みの画像1
『ランボー』×『コマンドー』なインド映画が爆誕

新連載「劇場と配信のあいだ」がはじまります

 劇場か、配信か。映画の公開形態はこのどちらかに偏りつつあるが、その中間が存在していることを忘れてはならない。レンタルショップに行くと、数えきれないほどの劇場未公開作品が「最新作」として並んでいる。

 配信が普及した今、ああいった映画に触れる機会は、めっきり減っているだろう。まぁ当然っちゃ当然である。ただでさえ現在はコンテンツの過剰供給状態。数えきれないほどの配信サイトが存在し、それぞれが金のかかった配信限定作品をリリースして、プラットフォームの看板として全力で推している。当然ながら劇場でも話題作が続々と公開され、こちらもこちらでバンバン宣伝を打つ。

 そんな状況で、レンタルビデオ屋の片隅にそっと置かれる作品や、配信サイトに人知れず追加されている作品をチェックするのは難しい。劇場公開ではないから、当然ながら映画館で宣伝されることもないし、配信限定でもないので、プラットフォームからの強力な支援は見込めない。さらに映画の完成度自体に問題があることが多いのも事実だ。つまり、劇場未公開作品は、今最も、日の目を見ない映画だともいえるだろう。

 けれどもその中には、母国では大ヒットをかました作品だったり、国際的な賞レースを荒らしまくった作品だったり、評価はまだ追いついていないが、ものすごい才気、志の高さを感じる作品もある。そうした映画が露と消えてゆくのはもったいない、私は単純にそう思う。

 そこでこの連載では、こうした未公開作品、あるいは一部のミニシアターで数日だけ公開されて、速攻でレンタルが始まるような事実上の劇場未公開作品たち、いわば劇場と配信のあいだに存在する傑作・怪作映画を取り上げていきたい。

 映画は劇場と配信だけじゃない。こんな映画も存在しているんですよ。

aiko思想、インドで炸裂!

アマプラで観られる鬼作! 『ランボー』なインド映画『タイガー・バレット』からほとばしるaiko的「好き」の極みの画像2
恋愛哲学日本代表ことaiko

 さてさて唐突だが、「好き!」という気持ちは止められない。私は今、ちょうど34歳なので、世代的に、そういう恋で苦悩しつつも暴走する系の曲を歌う女性シンガーの思考を脳髄に叩き込まれている。Cocco、鬼束ちひろ、浜崎あゆみ……そして忘れてはならない大人物aikoである。

 小学校か中学の頃に、同級生の女の子が音楽室のピアノで勝手に「花火」を弾くと、クラス中の女子が勝手に合唱を始めるシンクロニシティが起きたことがある。「恐るべし、aiko!」あのとき覚えた驚愕と畏怖の念は、今なお私の心中に健在である。いずれは「うちはaiko、ナニワの歌姫やっ」で始まる朝の連続テレビ小説が作られるだろうが、それはさておき、aikoの曲のように、苦しい思いをしても「好き!」という気持ちは収まらないものだ。

 映画も例外ではなく、作り手の「好き!」が止まっていない作品に遭遇することがある。今回ご紹介するインド映画『タイガー・バレット』(2018年)も、作り手の「好き!」がいっぱいに詰まった映画であり、「好き!」によって狂った映画だ。

 インド国境を守る軍人のシン(タイガー・シュロフ)は、かつての恋人ネーハ(ディシャ・パタニ)から「幼い娘が誘拐された。探すのを手伝ってほしい」と連絡を受ける。しかし、実際に現地へ飛んでみると、手がかりは全くつかめず、それどころか「誘拐事件自体が起きていない」「そもそもネーハに娘なんていない」という証言まで出てきた。この事件は元恋人の狂言なのか? それとも事実なのか? 虚実が曖昧になっていくなか、それでもシンは真実を追いかけるのだが……。

 こんな感じのあらすじである。物語だけ見ると『ゴーン・ガール』(2012年)のようなサスペンスを想像するだろう。実際、本編のほとんどの時間は、たまに歌とダンスを挟むものの、基本的にはシリアスなサスペンス映画の雰囲気で進む。しかし……。本作がおかしなことになっているのは、主人公・シンのキャラクターだ。

 シンは徹底的に鍛えられた最強の軍人であり、冒頭から揉めた相手をボコボコにしたうえジープのボンネットに縛って走るなど、『マッドマックス』みたいなマインドの持ち主である。パッと見で数えきれないほど割れた腹筋を持っており、その鋼の肉体は、角材で思い切りブン殴られても、角材の方が折れてブッ飛んでいく始末。

 愛国心と不正を許さぬ心も並々ならぬものがあり、腐敗した警察官に対しては部屋が半壊するほど叩きのめすが、そのとき宙を舞った小さなインド国旗は優しくキャッチ。まさにインド軍人のかがみだ。ちなみに本作は『Kshanam』(2016年)という映画のリメイクだ。その原作の方は恥ずかしながら未見なのだが、とりあえず本作ほど主人公は屈強ではなさそうである。

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