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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.636

地獄でこそ輝くデスマッチファイター・葛西純。満身創痍のプロレスラーが闘う理由『狂猿』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

地獄でこそ輝くデスマッチファイター・葛西純。満身創痍のプロレスラーが闘う理由『狂猿』の画像1
ハードコア・レスリングとも呼ばれる葛西純の試合。客席から「キチガイ」コールが湧く。

 葛西純にはパンクロッカーのような、かっこよさがある。職業はプロレスラー、年齢は46歳。インディーズ団体「FREEDOMS」に所属し、デスマッチファイターとして知られている。全身がキズだらけ、それでも血を流しながらリングで戦い続ける姿で、ファンを陶酔させている。ドキュメンタリー映画『狂猿』は、デスマッチ界のカリスマとなった葛西純が怪我、年齢、モチベーションの低下、コロナ禍などのさまざまな逆風が吹きつける中で、リングで再生を遂げる物語となっている。

 1974年北海道帯広市で生まれた葛西純は、身長173.5cmとプロレスラーとしてはかなり小柄だ。高校卒業後は東京の警備会社に就職するも、子供の頃からの憧れだったプロレスラーになる夢を諦めることができず、「大日本プロレス」に入門を直訴。1998年にデビュー戦を果たし、以降は第一線での活躍を続けている。

 葛西純が人気レスラーであり続けているのには、理由がある。セルフプロデュース能力に優れており、即興でのマイクパフォーマンスもうまい。そして何よりも、デスマッチにおける凶器アイテムの使い方に、とてもセンスを感じさせるということだ。

 蛍光灯、有刺鉄線、ガラス板、画鋲、剃刀、竹串、椅子、脚立……。ありふれた日用品が、葛西選手が手にすると、キラキラと輝く魔法のアイテムへと変身する。蛍光灯で頭を叩かれ、剃刀で額を切られた対戦レスラーは当然のように血を流すが、同時に流血レスラーとしての輝きを放ち始める。リング上に再現された地獄絵図を、葛西選手は闘いながら楽しげにプロデュースしてみせる。

 くすぶっていた中堅レスラーや飛躍のチャンスをつかめずにいた若手レスラーが、葛西選手とのデスマッチを経験することで、ブレイクしてきた。もちろん、葛西選手自身も流血を重ね、体全体がリストカッター状態となっている。レスラーたちが潜在能力を発揮し、生命力を爆発させる場所、それが葛西選手が仕掛けるデスマッチのリングなのだ。

 生ぬるい日常を生きる自分らにとって、葛西選手は憧れのパンクロッカーのようであり、またリング上で血を流す殉教者のようにも感じられる。

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