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【短期集中連載】音楽ライターが検証する『大豆田とわ子と三人の元夫』のED評

大豆田とわ子のED曲「Presence」が際立たせる物語のテーマ ドラマとリンクし、内容をフラッシュバックさせる緻密な戦略

文=斎井直史(さいい・なおふみ)

大豆田とわ子のED曲「Presence」が際立たせる物語のテーマ ドラマとリンクし、内容をフラッシュバックさせる緻密な戦略の画像1
フジテレビ『大豆田とわ子と三人の元夫』公式サイトより

 これまでBIM、NENE、Daichi Yamamoto、そしてT-Pablowとのサプライズ共演が話題になっているドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)のエンディング。

 今回は誰がゲストとして登場するのかと、予想をめぐらせながら第6話を見てみれば、第1章完結となる5月18日放送分のエンディングを飾ったのは、「Presence I」のKID FRESINOによる同曲のセカンドヴァースだった。そこで今回は、そもそもの「Presence」(=今現在)の楽曲自体を解体し、なぜこのドラマでさまざまなラッパーが起用されたのかを考察・推測してみたい。

 まず「Presence I」の前半では、松たか子演じる主人公・とわ子に未練を残す元夫たちと、彼女が絶妙な距離感を保っている様子が描かれている。松が歌うフック(サビ)は、彼らとの離婚を受け入れ、前を向いている様子が伝わる。しかし、描写は後半で異なってくる。

 セカンドヴァースの前半「1人にさせて」「全て知ったふりして歩いてるweekday」では、多忙な日々を送るとわ子の姿を思わせるが、後半では「待たせてるかも一生ものの貴方を」「溢れた想いを誰もglassには戻せない」と歌い、誰かと共有する幸せに後ろ髪引かれる思いを描く。つまり、「Presence」はストーリーが進み、関係性が明らかになるにつれて主題歌そのものが物語を暗示していたことがわかる。

 また、松と共演するラッパーたちのリリックも同様に、その回の内容をリリックに落とし込んだものだ。毎度エンディング曲が現在の振り返りとして機能している点も、「Presence」と銘打っているゆえんかもしれない。

 そして、これまでに起用された5人のラッパーは、それぞれの個性を地上波でアピールするだけでなく、ドラマを見た者だけがわかるギミックも多く忍ばせている。

 性格に強い癖のある元夫、および友人を題材にしてきたこれまでの6話。それぞれの内容を毎回エンディング曲に練り込むには、なるほど、話者となるラッパーを変えるほうがベターであろう。

 では、個別にリリックを簡単に振り返ろう。

 第2話に登場するBIMの「Biggieなプライドと Smallsな器/普通が何だかdon’t knowさ普通は」というリリック。これは一見すればザ・ノトーリアス・B.I.Gの名前とBUDDHA BRANDの有名なパンチラインを引用していて、ラップ愛聴者にだけ向けたようなリリックにも思える。しかしドラマを見たなら、これが3番目の夫・慎森(岡田将生)のことをだとわかるだろう。しかも、次回にメインとなる2番目の夫・鹿太郎(角田晃広/東京03)が器の小さい男と呼ばれていることにもかかっている。

 また、岡田が涼しげに挟み込む「馴染みのソファだって今日で新品」という部分は、慎森にとってトラウマチックな展開と言える2話の後半のシーンを振り返るものだった。

 第3話のNENEは、鹿太郎ととわ子がダンスとカメラを軸にして結婚へ至った過去を振り返る。中年男性による鹿太郎の前のめりなラップは、クールでトレンディなラップが続く「Presence」シリーズの中で異質に映るかもしれない。しかし、このフロウは嘘を必死に現実にし、高嶺の花であるとわ子と結ばれた鹿太郎らしさが反映されたラップなのだ。「ヒーローじゃなくて雑用でもいい/いまだ君にピントが合ったままさ」というリリックには、不器用でもロマンチストな彼の一面もしっかりと拾われており、シリーズ内でもっとも登場人物らしいラップだといえる。

 第4話のDaichi Yamamotoは、最初の夫である八作役の松田龍平との共演。「あの日急遽曲がった交差点」とは、幼馴染のかごめ(市川実日子)がとわ子と仲良くなるキッカケの出来事を踏まえたのだろう。続く松田龍平は5lackの人気曲である「hotcake」をサンプリングし、メロウなラップを歌うようにハメる2人。リリックは決して叶うことのない、八作が抱く意外な人物への片思いを思わせる。

 これまでSTUTS、もしくはKID FRESINOと縁あるラッパーたちが出演していたが、第5話におけるT-Pablow(BAD HOP)の登場は、さらなるサプライズだった。過去3度の離婚を取引先の男性社長から揶揄されるも、気丈にふるまうとわ子に寄り添うようなリリック。またハードな曲が多いT-Pablowが普段使わないタイプのビートで、その声すら普段より少し柔らかな印象を受ける。

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