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浦沢直樹『漫勉』で見た安彦良和の“超絶技巧” 天才たちの驚愕エピソード

『浦沢直樹の漫勉 neo』(Eテレ)

 漫画家といえば子供たちの憧れの職業だが、そんな簡単になれるものなのか──第一線で活躍する漫画家が、子供たちの夢を打ち砕くような驚異のテクニックをテレビ番組で見せつけた。

 漫画ファンなら必見の番組『浦沢直樹の漫勉 neo』(Eテレ)の新シリーズが6月9日に始まった。『MASTERキートン』『YAWARA!』『MONSTER』などで知られる漫画家の浦沢直樹が司会を務めるこの番組は、普段は見ることができない漫画家の創作の現場にカメラが潜入し、名作が生まれる瞬間を捉えるもの。2015年に『浦沢直樹の漫勉』としてスタートし、2020年に「neo」と改められ、9日に2021年度版がスタートした。

 その第1回に出演したのは、『機動戦士ガンダム』のアニメーターとして知られる安彦良和。番組では、これまでも色々な漫画家が素晴らしい技を披露してきたが、現在73才の安彦の凄まじいテクニックに浦沢は言葉を失った。

「漫画家は必ず“ネーム”というものをやります。これは漫画の設計図のようなもので、コマ割りやセリフ、構図などを決めるもの。ところが安彦良和はネームをやらずにいきなり白い紙に絵を描き、アタリ(顔や体のバランスを取るため、線を引くこと)も取りません。

 圧巻だったのは、部屋に何人もの人がおり、それを俯瞰で見ているコマを描くシーン。安彦は1人の人物の顔から描き始めると、複雑極まりない構図のコマをサラサラと描き上げ、これには浦沢も『あり得ない』『とんでもない』『想像を遥かに上回る描き方』と、ただただ驚いた様子でした」(フリー編集者)

 浦沢自身が稀代のヒットメーカーであると同時に、画力の高さは当代随一。そんな浦沢をして、ここまで言わしめる安彦の技術に、ツイッターには、

「天才ってああいうのを言うのか?」
「全てが異次元過ぎて訳分からん」
「人智を超越した神業」

 と、驚きと絶賛の声が寄せられた。漫画を読む人が気にするのは“ストーリーが面白かどうか”“笑えるかどうか”。創作の過程に光が当たる機会は稀で、だからこそこの番組は長く続いているわけだが、マンガ業界には、まだまだ驚くべきエピソードは存在する。

「絵の上手さでいえば、業界を変えたと言われるのは大友克洋と鳥山明です。俗に『大友以前、大友以後』『鳥山以前、鳥山以後』と言われるほど、2人の絵は後進に莫大な影響を与えました。

 一方、画力以外でも常人離れした漫画家のエピソードはたくさんあります。『ドラえもん』は長い間、『小学一年生』から『小学六年生』まで、全ての学年誌で連載されていましたが、藤子・F・不二雄は読者レベルに合わせて話を書き分けていましたし、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治は40年間1度も休載しませんでした。手塚治虫は、編集者に指示を出す際、“『○○』の何ページ目の上から何コマ目の……”と、自分の書いた内容をすべて覚えていたという伝説があります。『ゴルゴ13』のさいとうたかおは、下書きなしにいきなりペン入れし、インクを乾かすためにタバコの火を近付けてしまうそうです」(大手出版社関係者)

 こんなエピソードを知ってしまうと、漫画を見ても笑えなくなってしまうかも!?

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2021/06/16 06:00
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