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カーシェアリングがコロナ禍でも絶好調の伸び率! 半面で勝手に売られるなどの犯罪も横行

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 新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が縮小する中でも、カーシェアリングが拡大を続けている。カーシェアリングの登録車両台数は4万3000台を突破、会員数も224万人にまで拡大している。順調に拡大を続けるカーシェアリングだが、問題がないわけではない。

 カーシェアリングは、1台の自動車を複数の会員が共同で利用する仕組み。1980年代後半に欧州で始まり、90年代に北米などにも広まった。国内で運用が本格的に始まったのは、2000年代に入っていから。

 交通エコロジー・モビリティ財団によると、02年には登録車両台数が21台、会員数が50人だったが、05年には登録車両台数86台、会員数は1000人を突破し、1483人に拡大した。その後も飛躍的に拡大が続き、翌06年には登録車両台数が118台と100台を超え、会員数は1712人となった。

 08年には登録車両台数が510台と500台を突破、会員数は3245人と3000人を超え、10年には登録車両台数が1300台と1000台の大台を超え、会員数は1万6177人と1万人の大台を超えた。

 倍々ゲームで拡大した登録車両台数と会員数は、14年には1万2373台、46万5280人、17年には2万4458台、108万5922人、2019年には3万4984台、162万6618人と拡大し、20年には登録車両台数が4万290台、会員数が204万6581人にまで達している。

 21年3月現在の車両登録台数は4万3376台、登録会員数224万5156人と02年の登録車両台数で2066倍、会員数で4490倍にまで普及した。

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 そんなカーシェアリングには、さまざまな効果が指摘されている。

 駐車場の少ない都市部では、車両をシェアリングすることで、保有車両台数の削減や駐車場の削減による土地の有効利用が図れる。また、交通インフラが発達した都市部では、必要に応じてクルマを利用することで、交通量の削減にも貢献すると考えられている。交通量の削減はCO2排出の削減につながり、地球環境への貢献ともなる。

 若い世代では、運転免許証の取得率が低下し、クルマの保有台数も低下しているが、カーシェアリングが普及することで、クルマを保有する経済的負担を軽減しながら、必要に応じてクルマを利用することができるようになり、運転免許証の取得率改善にもつながる可能性がある。

“良い事づくめ”のように見えるカーシェアリングだが、いくつかの問題も内包している。近年、社会問題となっているのが、カーシェアリングで借りたクルマを勝手に売却する犯罪だ。

 売買に必要な書類を偽造などして、借り受けた高級車を中心に売却するという犯罪が行われており、カーシェアリング運営の仕組みに問題点があるとの指摘も出ている。また、シェアリングしたクルマにより交通事故が発生した場合の保険や補償が問題になるケースもある。

 こうした問題を解決し、利用しやすいシェアリングの仕組み、運営を行っていくのは、今後のカーシェアリング普及のためには必要だろう。

 さらに、国内のカーシェアリングの状況を見ると、21年3月現在、運営会社数は25社に上るものの、地域を限定した運営が多く、全国展開を行っているのは10社以下にとどまっている。

 中でも、タイムズモビリティが運営する「タイムズカー」は車両ステーション数で全体の68.7%、車両台数で69.9%、会員数で69.6%のシェアを占めている。さらに、上位5社で全体の車両ステーションの95.3%、車両台数で90.9%、会員数で97.1%と圧倒的なシェアを占めている。

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 この点では、カーシェアリングは寡占状態であり、必ずしも競争原理が働いているとは言えない状況だ。カーシェアリングをより一層普及させるためには、競争原理を働かせ、価格等でより利用しやすい環境を整備することも必要だろう。

 カーシェアリングは拡大を続けているものの、まだまだ改善点はあり、より多くの利用者がメリットを享受できる運営の仕組みを構築していくことが、今後のカーシェアリング普及拡大の鍵となりそうだ。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2021/07/09 17:00
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