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『家、ついて行ってイイですか?』漫画『ハレ婚。』の作者が豪邸を紹介! 2年半無収入の日々を乗り越え…

売れっ子漫画家、唯一才能を認めてくれた夫との出会いはmixi

 埼玉県久喜市の温泉施設でスタッフが声をかけたのは、息子さんと娘さんを連れたイケメン&美人のご夫婦。34歳の奥さんは漫画家で、45歳のご主人はデザイナー兼、漫画制作の手伝いをしているという。「家、ついて行ってイイですか?」と尋ねると、お2人は訪問を快諾してくれた。

 見るからに成功している。この施設にわざわざ車2台でやって来ていたのだ。しかも、車種はポルシェとプジョー。儲けっぷりがえげつない! 果たして、奥さんは何の漫画を描いているのだろう?

 家に到着すると、もっと驚いた。とんでもなくデカいのだ。超理想的な平屋。渡辺篤史がやって来そうなデザインハウスである。ポルシェにプジョーに注文住宅……漫画家って夢があるんだな。

 築4年、3LDKプラス仕事部屋のこの豪邸は9000万円である。正直、思ったより安い。都心なら軽く2億円はしそうだ。とは言え、ローンはこの先35年続くという。漫画家とデザイナーで、よくローンが組めたものだ。

 四方の壁紙が真っ赤な部屋があったり、ブラックのシャレオツなトイレが設置してあったり、こだわりも凄い。庭がまた、半端なく広い! とにかく、自由なデザインだ。潤沢な予算に建築士もやりがいを感じたのだろう。そして、広さ十分の部屋を与えられ、勉強とスポーツに没頭できる環境を持つお子さんたち。本当に恵まれている。

 さて、気になるのは奥さんの正体だ。彼女のお名前はNONさん。デリヘル嬢の漫画『デリバリーシンデレラ』や、一夫多妻制を題材にした『ハレ婚。』の作者である。正真正銘の売れっ子! そりゃあ、お金持ちなわけだ。

「(『デリバリーシンデレラ』は)累計100万部。(連載していた)ヤングジャンプのランキングでは常に1位は『キングダム』で、2位が『デリバリーシンデレラ』でした」

「(『ハレ婚。』は)累計300万部近く行きました!」(NONさん)

 印税は10%で、コミックス1冊の定価は650~680円。300万冊売れたということは、およそ2億円が入ってくることになる。すごい勝ち組! 漫画家でここまで成功を収められるのは全体の1%程度ではないか? ただ、ヒットを飛ばした漫画の内容は、子どもになかなか説明しづらい気もするが……。

 ちなみに『ハレ婚。』の一夫多妻制というテーマを思いついたのは、夫の手塚大さんだそう。結果、L’Arc~en~Cielのhydeがファンを公言し、夫妻をライブに招待したり食事をともにするほどの仲になった。

――奥さんが描いてる間、ご主人は何をされているんですか?
手塚 「僕はアシスタントの仕事を作ったり、チェックしたり、直したり、入稿の手続きしたり、資料を探したり……」
NON 「あらゆる雑用を。彼がいるおかげで私は作画とストーリーに集中できる」
――漫画家さんしながら子育てって大変じゃないですか?
NON 「『ハレ婚。』の途中で長男が生まれたので、赤ちゃんを抱えながら週刊連載して。でも、夫がほぼすべての育児をやってくれたんです。率先してやってくれるので、私より家事スキル高いです」

 絶えず、夫を立てて話すNONさん。11歳差ある2人の出会いはmixiだったそうだ。絵が好きな手塚さんが投稿していたら、NONさんが「上手ですね」と頻繁にコメントをくれ、交際に発展。当時、NONさんは漫画の専門学校を卒業したばかりで、「漫画家なんかになれるわけねえだろ」「夢見てるんじゃないぞ」と周囲から言われていた。しかし、手塚さんだけは認めてくれたという。

手塚 「(NONさんに)何か光るものを勝手に感じて、絶対なれるだろうなあと思いましたね」
NON 「認めてくれるというか、応援してくれる人もいるんだと思って、すごく居心地が良かったです」

 まだ会社員だった手塚さんは昼にデザイン会社で働き、夜は背景を描くなど妻を手伝いながら二人三脚でデビューを目指した。つまり、夫婦のコンビネーションで成功したパターンだ。週刊連載だと誰かの助けがないと難しいだろうし、何より夫には見る目があった。

 ただ、決して順風満帆ではない。デビュー作『デリバリーシンデレラ』の連載が終わった後、NONさんは6つの作品を発表するもヒットには至らなかった。『ハレ婚。』が生まれるまで、家庭の収入は2年半も0円だったそうだ。漫画家は連載が終わった後が怖い。安定収入を得られる職業ではない。豪邸を建てても維持するのが大変。貯金は減っていくし、ローンは果てしなく続いた。

「まあでも、ローンを背負ったり家族を背負ったりすることで自分を追い込めるんですね。逃げられないぞと(笑)。嫌でも描き続ける状況を作ってしまえば。それくらいおバカなほうが夢を追うには都合がいいかもしれないです」(NONさん)

 逃げられる状況なら、もしかしたらNONさんは漫画をやめていたかもしれない。でも、苦労の末に2つ目のヒット作が生まれた。もう今は、生涯の勝ち組確定なのでは? それにしても、mixiで未来の漫画家の奥さんが見つけられるなら、筆者ももっとちゃんとやってればよかったな……。

 一通り取材を終えた後、ご長男の描いた絵を番組スタッフに披露するNONさん。味のある画風で描いた猫のイラストである。

「可愛いでしょ。ほら、たける(長男)が描きました。いい線いってると思うんですよ。何とも言えない顔が自慢です。可愛いキャラを描く才能がもしかしたらあるかもしれません。フフフ」(NONさん)

 いわゆる、反応に困るやつだ。でも、NONさんの才能を発掘した目利きの手塚さんも同意らしい。漫画家の子どもは、やはり漫画家なのか?

――将来、漫画家になりたいと思いますか?
たける君 「2年生だからそんなんわかりません」

 冷静! そりゃあそうだ。ちょっとホッとするオチだった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/09/01 20:00
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