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『関ジャム』名カップリング曲特集! サブスク時代における曲単体主義に「B面マインドは忘れずに」

カップリングでルーツと本音をさらけ出す

「リード曲に比べるとカップリングは自由」という松尾の定義は、その通りである。

 今回、番組は福山雅治「桜坂」のカップリング曲「DRIVE-IN THEATERでくちづけを」をエピソード(“未来日記V”テーマソングとして「桜坂」より福山が推していた)を交え紹介したが、それより初回プレス盤にだけ収録された「春夏秋冬」に注目したい。「DRIVE-IN THEATER~」はいつもの福山らしい、いかにもな曲である。一方、「春夏秋冬」は言わずとしれた泉谷しげる作の名曲。オーディションで福山が歌い、デビューのきっかけになったとされるナンバーだ。本音と建前があるとすれば、こっちが本音だという気がする。ミュージシャンのルーツをこんな形で見せてくれるのがカップリング曲の意義だった。

 今企画の提案者・松尾が選んだ名カップリング曲は、宇多田ヒカルの「蹴っ飛ばせ!」(「Can You Keep A Secret?」のカップリング)である。

「デビュー以来、R&Bアーティストと呼ばれてきた宇多田さんは、一方で自分のルーツはロックと言い続けてきましたが、それを初めて楽曲の形で発表したのがこの曲だったと思います」(松尾)

 ブルース・スプリングスティーン「Streets of Philadelphia」を自身のルーツに挙げる宇多田である。ロック好きの一面があることは周知の事実。ただ、「蹴っ飛ばせ!」を聴くと、この路線に彼女が進んでいたら売れていただろうか……? と、首をひねる出来でもあった。やはり、宇多田ヒカルはこっちじゃない気がする。逆説的に言えば、セールス度外視でやりたい放題できるのがカップリングだということ。

 表題曲以上の人気を得る場合もあれば、“ノーメイク”の姿をさらけ出す場にもなるのがカップリング曲。だからこそ、サブスク時代における曲単体主義は少し寂しくもある。今回登場した楽曲は8cmシングル時代、縦長ジャケットのものがほとんどだった。

 果たして、配信主流になるにつれカップリングという概念はなくなっていくのだろうか? 今回の企画提案者・松尾は以下の言葉で「カップリング特集」を締めてくれた。

「今日の企画で『かつてB面というものがありました』『あれ、良かったよね』とただ懐かしむんじゃなくて、B面マインドは忘れずにやっていきましょうよ」

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/09/12 21:00
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