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政治知識ゼロで「生活が不安」なライターが政治家とぶつかり稽古!? 見えてきた「新しい民主主義」という地平【和田靜香×小川淳也トークイベントレポート】

「思う」ライターと「考える」政治家のすれ違い

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星野:この本でも、財政(3章)の辺りまでは、和田さんが教えを請うている感じです。でも、特に住宅政策(3章)に入った辺りからは、小川さんが30年間考えてきた政策の言葉に対して、和田さんが渦中にいる者としての言葉をぶつけている。その政策が正しい、間違ってる、じゃなく、現場の人たちがどんなに絶望的な気持ちでいるかを一生懸命伝えようとしている。そういう場面が起こるんです。それで、小川さんは……。

小川:ある意味、私が白旗をあげるんです。和田さんのストレートな問いかけと熱意、その背景にある本物の不安と不信。専門家を自負してきた私が至らなかった発想であり、私は現実を正しく理解しきれていなかった。それで白旗をあげる瞬間があるんです。

星野:わかっていないことを認める政治家なんて、大半の人は見たことがないと思うんです。そこが今の政治の問題じゃないかと思うのですが、小川さんがそういう反応を素直にとれたのはどうしてなんですか?

小川:それは私のポリシーです。「本当に悪かったな」「想像が至らなかったな」「思いが不十分だったな」と思ったときは、本気で謝りたい。和田さんが住宅の確保にどれだけ苦労し、切ない思いをしてきたか。それは、少なからず日本の政策と関わっているんですが、私はその溝を理解しきれていなかった。だから最初、和田さんが言ってることがわからないわけですね。でも、私の真面目なところは、帰宅してからこの問題を改めて考えてるんです。なぜ、この溝が埋まらなかったのか。
「思う」と「考える」には違いがあり、「思う」はどちらかと言うと自分の感情に支配された状態です。それはそれで重要な意味のあるメッセージなんですが、自分の感情に支配されたまま揺れ動くのが「思う」状態だとすると、「考える」は調べることとほぼ同義です。調べて、事実に行き当たり、事実を突き詰め、分析して……っていう、ちょっと知的な作業が必須なんですね。それで言うと私は、今の住宅政策はどうなっているか、どういう形で税金を使ってるかをもう一度調べました。すると、確かにそこには乖離があった。思いが至ってない人間が応対してたわけで、反応が不十分だった。だからそのことを和田さんに謝りたいし、きちんと説明をしてお返したい……っていう、自然な頭と心の動きなんですよね。

星野:和田さんは、小川さんがそう言ってくださったことで、自分の思いが政治家に通じたという手応えを感じたんですか?

和田:正直、手応えとか感じてないんです(笑)。わかってくれて嬉しいなあっていう。ただ素直に、「小川さんはそんなに考えてくれたんだ」っていう。

星野:有権者と政治家が政治を作るまさにその瞬間を目の当たりにしたシーンでした。この本が作られた意義、さらに類書がないと感じるのは、その過程が生々しく記されているからなんです。ここは「誰でも政治に参加できるんだ」ということにつながっていく重要な過程だと思います。
 後半のクライマックスにあたる、非正規で女性が働くことに関しても、和田さんは小川さんに思いをぶつけにいった。ここでも、和田さんは小川さんの政策の話に「何か違う」とモヤモヤを感じ、そして小川さんに手紙を書いたんですよね。

和田:ここは本当に悩みました。女性に限らず非正規雇用の話をしたとき、小川さんは「非正規と正規の壁を打ち壊していけば、女性の大変な労働の現状も変わっていくよ」と政策の話をしてくれるんですけど、そうじゃなくて、非正規やバイトで働いてる人たちに対しての言葉が本当は聞きたかったんです。だけど、その場では聞けなかったんですよね。なぜ、自分は聞けなかったのか。
 きっと、小川さんに「そんなのわかんないよ」と言われたらすごいショックだと思ったんですよね。そこはまだ小川さんを信じ切れてないところで申し訳なかったんですけど。 でも、帰宅してからもずっとモヤモヤしていて。それで星野さんにメールをして、「小川さんにこういうことを聞いたらおかしいかな?」って聞いたら、星野さんが「いや、絶対聞いたほうがいいよ。すごく大切なことだから」って。「政治家が市民に寄り添って言葉をかけてくれることが、政治に一番近づくことだ」「だからこそ、小川さんに聞いたほうがいいよ」って星野さんが言ってくれて、「そうか、じゃあ聞こう!」と思って。

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小川:あのとき聞かれたのは、直接的には政策のことだと思ったので、政策的なやり取りにどうしてもなってしまったんですよね。限られた時間だし、和田さんに喜んでほしいということ以前に自分自身の思いもあるので、先に政策の話を片付けて、その上で一番大事な話をしようじゃないかと思っていたんです。
「ささやかな人生」という言い方をしていいのかどうかわかりませんが、その尊さとか、愛しさとか、切なさとか、それが政治のテーマにならないはずがないんですよ。それこそが政治なんですよね。もちろん、私にとっても他人事ではありません。それは、今もパーマ屋の店先に立っている私の母であり、戦争から帰って行商をして4人の子どもを育て上げた私の祖父でもあり……。父は戦後すぐの生まれですけど、カレーライスにお肉が入ってたことは1度もなくて、お揚げしか入ってないんです。魚肉ソーセージが1本あると、兄弟4人で分けて食べてね。小さい頃は、魚肉ソーセージ1本まるかじりすることが夢だったんですよね。まさにそういうことの積み重ねで、世の中はできてるわけでしょう。

星野:小川さんが政治をしているのは、そこが原点としてある。

和田:やっぱり、政策の話をしているだけではそこが見えてこないというか、伝わってこない。

星野:そうですね。和田さんは「思う」について話したかったんだけど、そこで「考える」ほうの言葉が返ってくると、すれ違っちゃうんでしょうね。

和田:そうそう。私はあくまでも素人の「思う」人で、小川さんはプロとして「考える」人で、一見するとうまく話は進んでいるようなんだけど、実は合致してるようでいて合致してない部分っていうのがそれまではあったと思うんですね。でも、この話ができたことで、すごく合致したような気がしました。

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