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副業の実態は単なる「資産運用」!? 厚労省ほかが発表するデータで寂しい実態が…

それって副業なの?な業種が第一位に

 この調査で「副業をしている」と答えたのは8.0%に過ぎず、基礎属性を見ると、男女別では、男性が8.1%、女性が7.6%だった。

 副業を行っている人の職業としては、トップは「クリエイター・クリエイティブ職」の16.5%で、10%を超えていたのは、「専門職(コンサルタントなど)」「販売・サービス職」「医療系専門職」の3職種だった。

 反対に副業の割合が低かったのは、技術系職種で「技術職(化学・素材・化粧品・トイレタリー)」(4.8%)や「技術職(機械・電気)」(5.6%)などだった。

 また、副業を行っているのは、69.6%が「休日」と回答、「勤務終了後」が47.5%となっている。

 肝心の副業の内容だが、1位は「株/FX」の21.1%、2位が「サービス業(接客・販売)」の17.9%、3位が「ネットビジネス(通販・アフィリエイト・ネットショップ運営)」の12.7%となった。

 サービス業やネットビジネスは確かに副業かもしれない。しかし、果たして株/FX取引を副業と呼ぶのだろうか。筆者には、「資産運用」としか思えないのだが。労働の対価と資産運用によって得られる投資利益とは、別物ではないだろうか。

 さらに、株/FX取引を行っている割合が高いならば、副業を行っているのが休日や勤務終了後というのは整合性が取れていないように思える。休日や勤務時間には、取引のメインとなる株式やFXの市場は終わっているからだ。となれば、勤務中の休憩時間、あるいは勤務時間中に行っていると考えるのが、整合性が取れていると思うのだが。

 もっとも気になる「副業はどれだけの収入に結び付くのか」という点については、月10万円以上がもっとも多く34.4%、次いで1万円台の18.6%、3番目が5万円台の13.3%だった。そして、10万円以上のほとんどは株/FXによるものとなっている。

 こうして副業の実態を見ると、日本の副業事情は、副業とは仕事や労働ではなく、資産運用が多く、前述した厚労省があげている副業のメリットには、必ずしも結び付かないように思える。

 資産運用は運用する資産があることが前提となる。雇用や所得の悪化で、本当に副業が必要な人にとって必要なのは、収入を得られる仕事だろう。

 少子高齢化により労働力人口が減少している日本では、労働者のノウハウや知識、意欲が発揮でき、収入に結び付く副業の環境が整い、拡大していくことが強く望まれる。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2021/10/24 07:00
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